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「スト2」をベースにルール作り!【ブブブブ分数カードバトル開発秘話③】

♯2からの続き)【分数絵本】から【分数カードゲーム】へ路線変更した私。格闘ゲーム『スト2』をイメージしつつ、人生初のカードゲーム作りが幕を開けましたとさ。


どりゃあ!! 昇竜拳で【1/3】ダメージだぁ〜! 

『スト2』をイメージした分数カードゲームということで、相手を攻撃し、そのダメージを分数で表す基本的な方向性はすぐに決まりました。

たとえば一番弱い「弱パンチ」は、12回攻撃すると相手を倒せる攻撃力。つまり【1/12】ダメージになります。「中パンチ」なら少し強くて【1/8】ダメージ。
それなら必殺技の「昇竜拳」は一気に【1/3】ダメージを与えられる。こんな感じです。

この「〇回攻撃すれば相手を倒せる攻撃力」という表現は、わかりやすくて、分数の導入としては便利かなと個人的に思ってます。やんちゃな少年に対しては「ケーキを○等分」よりも、興味を持ってくれそうです。

さて、こんな感じでカードの種類を考えるわけですが、あまりに攻撃力のバリエーションが増えすぎると困ってしまいます。
そこで【1/20】は小さすぎるから最小は【1/12】にしようとか、【1/7】は使いにくいぞとか、【1/5】と【1/10】はつながりが生まれそうだから入れよう。【1/9】は……悩ましいけど今回になしに、というように、使い勝手の良さそうな分数を選んでいきました。

2つのカードに分けるナイスアイデアが降臨!

また攻撃力の種類としては、たとえば【3/10】など、分子が2以上のものも考えられます。ただ、そこに手を出すと種類が増えすぎるし、どの数字の組み合わせを選ぶかが難しい。
かと言って、全部が「分子1」ってのも、簡素すぎるし……。悶々と悩んでいる時、ふと閃きました。

分母と分子でカードを分ければええやん!

「攻撃力=分母」と「攻撃回数=分子」という考え方にして、2つをセットで出すことにしました。

「弱キック【1/10】で【3回】アタックだから【3/10】ダメージ」という表現ならば、別に分母と分子がなんだかわからなくても、十分理解できそうです。

カードの種類は抑えて、シンプルさは保ちながら、自由度が高まり、ゲームの奥深さが増す。
我ながらナイスなアイデアだなと感動しました。

攻撃力を表す【パワーカード】(製品バージョン)
攻撃回数を表す【アタックカード】(製品バージョン)


目的は知育! 約分通分に触れさせるべし

相手を攻撃する基本ルールはOK。まぁこれだけでも楽しく遊べそうですが、もう少しルールを付け足したいところです。

このゲームの最終目標は「分数を理解する」ことです。
ゲームを通して、学べること、身に付くことが多いに越したことはありません。現時点の攻撃だけのルールだと分数の量感や分母と分子の関係を学ぶだけで終わってしまいます。
できれば分数の計算や約分通分にも触れられる作品にしたいのです。

そこで本家スト2にもある「ガード」つまり防御のルールを追加できないか考えました。

新しくカードは増やしたくないので、すでにある2種類の攻撃カードを使う前提であれこれ考えた結果、「相手と同じ強さ(大きさ)のカードを出すと防御できる」新ルールが誕生しました。

相手が【1/10】の【4回】アタックで攻撃したきた時、自分も(カードを持っていれば)【1/10】の【4回】アタックを出して相手の攻撃を無効化できるのです!

そして、このガードの最大のミソは
同じ大きさなら他の組み合わせでもOKなこと。
相手の【1/10】の【4回】アタックに
【1/5】の【2回】アタックで防御することもできるのです。

このルールを追加することで、ガードをするチャンスが増えますし、何より数が変わっても同じ大きさを作れるという、分数ならではの面白さを伝えることができるようになりました。目標としていた約分通分につながる要素を加えることができたのです。

というわけで、ざっくりと楽しく遊べるルールになったので、試作を作って遊びました。決して算数が好きというわけではない我が子(小4男子と小1女子)ですが、すんなりとルールを覚え、こちらの想像以上に盛り上がってくれました。

そういえば、「スト2」イメージで作っていた本作ですが、子どもたちの賛同は得られず、絵本の時と同じく「にゃんこ大戦争」での試作となりました。
(父は、リュウとケンで作りたかったなぁ……)

(その4に続く)

試作バージョン

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