【レポート】生活インフラに関する一考【電気編】
自己評価:範囲が広すぎてレポートにふさわしくないテーマ
経済通産省の審議会で発表された資料では、リスキリング(reskilling)は、以下のように定義されています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。」
リスキリングは、「新たにスキルを身につけること」とされ、多くの方が、スキルアップを目指してさまざまな取り組みに挑戦していることと思いますが、独学で専門性を拡大できる人が強い時代に入ったとも言えるかもしれません。
その様な環境下、日本において、主体的な学びを妨げる1つの要因として、強いて勉めないといけない勉強の悪いイメージが大きく働き、学びに楽しさや面白さを感じる人が少ないことが上げられると推定します。
大切なのは、例えば、目先にとらわれた功利性の追求ではなく、学びの楽しさや意味を感じることですよね。
学びに楽しさや面白さを感じられない人は、スキルアップひとつとってみても、そこに見出す視点が異なれば、スキルアップ≒勉強と捉える人は、新しく学ぶことが強制になって、益々、楽しくなくなるかもしれないけど、逆に、普通のスキルアップだけではつまらない!と感じる人は、交渉スキルを歴史人物から学ぼうなんて考えたりするかもしれません。
主体的に学ぶとは、つまり、自分が昨日より今日、今日より明日、何かひとつでも学びを増やし、より豊かな人間に成長していくことです。
これは面白そうだと興味が湧いたテーマを見つけたら、とりあえず学びに取りかかることを心がけてみてはどうでしょうか?
与えられたテーマではなくて、自分なりの自由研究ぽく、遊ぶ感覚で、何かを学んでみる。
【関連記事】
生きる力と勉強する理由
https://note.com/bax36410/n/n64ee5accb1a1
何事も土台がしっかりしていないと、砂上の楼閣となって、崩れ去ってしまうので、それを楽しむ余裕があれば良いけど、そうならない様に、私たちに必要なのは、基盤となるスキルを、まず構築した上で、その基盤上に何かに特化した個別のスキルを積み上げて行く必要があると考えています。
【参考記事①】に記載ある通り、急速に広がる混乱の世界が投げかける問題に立ち向かうため、培わなければならないスキルは、土台となり、骨組みとなるスキル達であり、その基盤となる重要なスキル(資質)として、以下の3つのスキルが土台形成に必要ではないかと、私も、そう感じました。
【参考記事①】
混乱の時代に必要な3つの重要なスキル
https://jp.weforum.org/agenda/2019/10/no-ni-na3tsuno-sukiru/
逆境に負けない心「レジリエンス」を高めるには?激動の時代に必須のスキル
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1433.html
1.ラーニングアジリティ(学習機敏性):これは、学習する能力と意志、そして、不慣れな状況の中でも打ち勝つために、学習したことを効果的に適用する能力と意志です。
2.レジリエンス: これは、人生に打ちのめされたときに立ち直ることを可能にする資質です。
3.根拠のある楽観主義:楽観主義は、起こりうる最善の結果を予測する性向です。
そのスキルを得るには時間が掛かりますが、それらのスキルを得るための学びの小さな芽が、私たちの5年後、10年後を大きく変える原動力になると確信しています。
その学びの小さな芽を得るための視点として、今、私たちは、VUCAの時代に生きています。
VUCAとは、Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
この、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)は、時代の特性を表しています。
VUCA時代を乗り切るために必要なスキルとして、以下の3つのスキルが上げられますが、
・テクノロジーの理解と情報収集力
・自らの頭で考える力
・ポータブルスキル
変動性、不確実性、複雑性、曖昧性に特徴づけられる世界に暮らしている私たちの世界で生きる上で鍵となるのは、以下のOODA(ウーダ)ループ(OODAとは、「観察する(Observe)」「状況を理解する(Orient)」「決める(Decide)」「動く(Act)」の頭文字をとった言葉です。)を、
観察する(Observe):市場や顧客など外部環境をよく観察し、「生データ」を収集する。
状況を理解する(Orient):集めた生データをもとに、今何が起きているのかを把握・理解する。
決める(Decide):理解した状況に対して、具体的な方針やアクションプランを決定する。
動く(Act):プランをもとに、実行に移す。
確実に実行できるスピーディーで柔軟な姿勢が、今後、不可欠になっていくと推定され、失敗した数が問題なのではなく、どのくらい速く立ち上がるかがポイントだと考えます。
そう、転ぶなら前のめりに!
なぜならば、立ち上がって再スタートが早くきれるから(^^)/
【参考記事②】
これからの時代に必須な「考える力」を身につける5つの方法
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1333.html
ポータブルスキルとは?具体的なスキル例と効率よく鍛える方法
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1005.html
そこで、私たちの生活に欠かせないライフラインと呼ばれる電気に関して、途上国に対して、どの様なインフラ整備を行うのが効果的なのか?の観点から主体的に学んだ結果を、備忘録的に書き記しておきます。
国民生活や経済活動の基盤となるインフラの内、機能が停止したり、低下したりすれば特に大きな混乱を招くと見込まれるものについて、政府は、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油の14を重要インフラ分野と位置づけています。
ここで、前述の重要インフラを含めて、様々なインフラの種類の中でも、特に、毎日の生活を支えてくれているものが生活インフラです。
生活の基盤や生活の基本、生活の土台などと言われることもあり、時に、生活必需品を意味することもありますよね。
特に、日常生活に必要となるインフラは、「ライフライン」と呼ばれ、電気、ガス、水道、通信関係、交通関係の5つが該当します。
いずれも私たちの生活に深く関係していて、震災や事故などがあって普段通り使えなくなってしまうと、とても不便になってしまうものばかりですが、今回は、その中で「電気」に関して、何が重要なのか?に関して、一考してみたいと思います。
持続可能な社会の実現とは、今日も、明日も、全ての人が先進的な生活を送れる仕組みをつくることと定義されていますが、その対象となる社会は、ご存じの様に、様々な制約環境下の中で成立しています。
例えば、先進国と比べると、途上国はインフラ面での整備が遅れている状況ですよね。
途上国が経済成長して発展するためには、まず、インフラ整備が必要不可欠とされています。
ここでのインフラとは、発電所・上下水道・道路などを指します。
経済的余裕がなく、インフラに投資する資金が不足している点は、無視できません。
これは、インフラ整備には、莫大なコストがかかりますが、将来的にはインフラ整備が経済発展の礎となるためです。
経済が発展すると共に、途上国の貧困の解消にもつながります。
インフラ整備の大切な考え方として、質の高いインフラ整備という考えがあります。
やみくもにインフラ整備をしたとしても、質が悪いインフラ整備は、社会全体に悪い影響を及ぼしかねません。
質の高いインフラ整備の特徴としては、下記の通りですが、
①利用しやすい
②長持ちする
③環境配慮がなされている
「電気」に関して言えば、③項の何を優先するかで、適用技術が変わってきます。
つまり、持続可能な再生エネルギーと安定供給のバランスに、どう折り合いをつけるのか?です。
求められる電気の供給源としての要件定義は、安定した発電を続ける力がある事が、基盤技術として一番重要です。
それを、どうやって構築していくのか?がポイントになります。
確かに、インフラ整備=質の高いインフラは、中長期的に低コストかつ雇用創出につながっていくため、途上国の人々を結果的には助ける形になる筈です。
しかしながら、「電気」に関して、温室効果ガス削減を主にしてしまうと、①及び②項が阻害されるといった矛盾が生じてしまう点に注意が必要です。
つまり、先進国は、既に、「①利用しやすい」、「②長持ちする」、電源の基礎基盤を有しているのに対して、途上国は、それを有していないからです。
まず、その安定して供給できる電力システム基盤を早急に構築する必要があるのだと、相手の立場に立った整備を進めて行く必要があります。
近年、最重要視されている温室効果ガスを削減すべきだとのマジョリティの声に押されて、目的であるエネルギー生成の過程で排出される二酸化炭素(CO2)をいかに減らすのか?に目を奪われ過ぎていないか?
先進国もしかりですが、途上国の「電気」に関するニーズは何?、何??、何???を忘れてやしないか?
そう、目的と手段をはき違えていないか?ってことです。
今、「電気」に関して言えば、国単位で異なるインフラ基盤(前提条件)に対して、二酸化炭素(CO2)をいかに減らしていくかの手段は、必ずしも再生エネルギーの導入だけではありません。
例えば、発電事業などを手掛けるJ-POWER(電源開発株式会社)に拠ると、日本の火力発電技術の最高水準性能を誇る石炭焚き変圧貫流ボイラを、二酸化炭素排出量の多いアメリカ、中国、インドに適用した場合、日本の年間二酸化炭素排出量よりはるかに多い、年間で約12億トンもの二酸化炭素の削減効果があると試算されています。
この技術を導入すれば、途上国にとっても有益ではないでしょうか?
それでも、石炭を燃焼させるのは、絶対、ダメなの・・・・・・か?
先進国であろうと、途上国であろうと、私たちの生活や仕事に大きな影響をあたえるエネルギーは、日本のエネルギー政策の基本的方針(【参考記事③】を参照ください。)で言えば、
【参考記事③】
エネルギー政策を考えるための、4つの理想
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/s_3e.html
以下に記載した様に、さまざまな“理想”(「S+3E」政策)を同時に追求しながら、バランスよく実現して、ベストなエネルギー政策を考えていく必要があると謳っています。
理想のエネルギー①「絶対に安全なものを使いたい」
理想のエネルギー②「いつでもどこでも安定して使えるようにしてほしい」
理想のエネルギー③「値上がりすると生活が苦しい。安いものがいい」
理想のエネルギー④「地球のため、環境にやさしいものを選びたい」
前述の4つの“理想”は、どれも重要なものですが、4つをまとめて叶えられるような夢のエネルギーは見つかっていないのが事実であり、さまざまなエネルギーを組み合わせて、4つの“理想”をできるだけバランスよく実現し、リスクを低くできるようなエネルギー政策が必要となる様に、世界各国の事情で動いているのが実態です。
エネルギー政策のあるべき姿について考える上で大切な視点は、何事においても、多面的・多角的な見方ができるかどうかです。
例えば、以下の参考記事②の内容についても、いろんな意見がある筈ですよね。
ただ、前述の見方ができない人は、自分一人で考えているわけではないということに注意が必要です。
その意味で、知識や知恵といったものは、個人個人の脳にインストールされているものよりも、その外側にある部分のほうがずっと大きくて、常に、自分の考え方にバイアスが掛かっている点に気付く必要があります。
そのことを自覚すると、勉強することがもっと面白くなると思いますよ(^^)/
【参考図書】
「エネルギーをめぐる旅―文明の歴史と私たちの未来」古舘恒介(著)
「新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突」ヤーギン,ダニエル(著)黒輪篤嗣(訳)
「エネルギー400年史―薪から石炭、石油、原子力、再生可能エネルギーまで」ローズ,リチャード(著)秋山勝(訳)
「大地の五億年―せめぎあう土と生き物たち」(ヤマケイ文庫)藤井一至(著)
「エネルギーとはなにか―そのエッセンスがゼロからわかる」(ブルーバックス)ニュートン,ロジャー・G.(著)東辻千枝子(訳)
「グリッドで理解する電力システム」岡本浩(著)
「グリーン・ジャイアント―脱炭素ビジネスが世界経済を動かす」(文春新書)森川潤(著)
「間違いだらけのエネルギー問題」山本隆三(著)
「エコファシズム―脱炭素・脱原発・再エネ推進という病」有馬純/岩田温(著)
【参考記事④】
なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_sekitankaryoku.html
国によって異なる石炭火力発電の利活用
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/sekainosekitankaryoku.html
【インタビュー】「安定的で安価な石炭は今も重要なエネルギー源、技術革新でよりクリーンに」−北村 雅良氏(前編)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/interview17kitamura01.html
【インタビュー】「先進技術で石炭のゼロエミッション化を目指し、次世代のエネルギーに」−北村 雅良氏(後編)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/interview17kitamura02.html
非効率石炭火力発電をどうする?フェードアウトへ向けた取り組み
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/hikouritu_sekitankaryoku.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画① 再生可能エネルギー(1)コスト低減、地域の理解を得てさらなる導入拡大へ
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu01.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画② 再生可能エネルギー(2)設置場所を確保し、太陽光発電をさらに拡大
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu02.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画③ 再生可能エネルギー(3)高い経済性が期待される風力発電
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu03.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画④ 再生可能エネルギー(4)豊富な資源をもとに開発が加速する地熱発電
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu04.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画⑤ 再生可能エネルギー(5)再エネの導入拡大を実現する「系統制約」克服の取り組み
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu05.html
もっと知りたい!エネルギー基本計画⑥ 安定供給を前提に、脱炭素化を進める火力発電
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu06.html
みんなで考えよう、エネルギーのこれから。ー バランス供給は、日本のエネルギーの解決策 ー
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/lp/
みんなで考えよう、エネルギーのこれから(30秒Ver.)
https://www.youtube.com/watch?v=NrNNnZ0dLuA
低効率な「5%の火力発電所」を閉鎖すれば、発電由来のCO2排出量の7割超を削減できる:研究結果
https://wired.jp/2021/10/31/most-of-the-power-sectors-emissions-come-from-a-small-minority-of-plants/
地球温暖化説を疑え 喧伝される「脱炭素」で得をするのは誰か? 今こそ考えるべきだ【EU自動車産業の将来を読み解く】
https://merkmal-biz.jp/post/14326
「温暖化の暴走」を煽る研究者の暴走を咎める
https://cigs.canon/article/20221111_7101.html
世界エネルギー危機の犯人は脱炭素か否かという論争
https://cigs.canon/article/20221013_7022.html
気候帝国主義への怨嗟と叛逆
https://cigs.canon/article/20221019_7031.html
世界で進む石炭の復活
https://cigs.canon/article/20221005_7015.html
開発途上国から化石燃料を奪うのは不正義の極みだ
https://cigs.canon/article/20220902_6955.html
途上国で化石燃料を禁止し、電力を奪う先進国ニッポンの「正義」とは?かくて途上国は中露を頼る
https://cigs.canon/article/20220906_6972.html
中央銀行が用いるNGFS気候変動シナリオの問題点 世界金融へのリスク評価に採用されている気候シナリオは、果たしてその目的に適っているか?
https://cigs.canon/article/20221101_7074.html
原発新増設が必要なこれだけの理由(産経新聞社 月刊「正論」2022年11月号に掲載)
https://cigs.canon/article/20221026_7065.html
エコテロリストが示す「環境社会主義」の終わり ウ○ラ○ナ戦争で左翼のお遊びは終わった
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72670
「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/lifecycle_co2.html
再生可能エネルギー拡大に欠かせないのは「火力発電」!?
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/tyoseiryoku.html
アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ammonia_01.html
アンモニアが“燃料”になる?!(後編)~カーボンフリーのアンモニア火力発電
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ammonia_02.html
世界の開発途上国は石炭増産へ:日本は支援すべきだ
https://agora-web.jp/archives/2056437-2.html
世界で進む石炭の復活
https://agora-web.jp/archives/220925090837.html
普及させるほど自然エネルギーはコスト高になる
https://agora-web.jp/archives/220817014142.html
ドイツ、高騰はガスだけではない:バカバカしい「脱原発」原理主義
https://agora-web.jp/archives/220814083809.html
日本人が「政治の話をしない」背景にあるもの フランス人は所構わず政治の話をしている
https://toyokeizai.net/articles/-/237334
国際情勢・政治の話が出来ない大人
https://anond.hatelabo.jp/20221102120535
読解力を鍛えるメリットと高めていく方法
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1306.html
理解力がないと仕事は非効率に。鍛えるための4つの方法
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1106.html
「多面的・多角的に考える」を理解する際に、どうしても「多面的」とはどのように捉えたらよいのか?
また、「多角的」とはどのようなことなのか?と、言葉を分けて分析的に理解したい気持ちが先に立ちますが、このように使われている場合の”・”(中黒)は、不即不離の関係を表すものであり、分けて考えるのではなく一体として捉えることが妥当です。
私たちが住んでいる社会での例を参考にすると、多角的とは、それぞれの立場に立って考えることであり、また、道徳における多角的に考えるとは、それぞれの人物の立場になり切って考えればよいことがわかります。
では、多面的とはどのように捉えればよいでしょうか?
「面」で思い起こされるのは心理面とか倫理面の言葉ですが、一例として、小1道徳の教材として使われる「はしのうえのおおかみ」で考えてみると、おおかみが熊の後ろ姿を見て、親切を体現していくところで物語は終わっています。
「はしのうえのおおかみ (新装版)」(チューリップえほんシリーズ)奈街三郎(作)花之内雅吉(絵)
では,その後について「これからのおおかみさんは、どうなっていくかな?」や「これから先、みんなは幸せに暮らせるだろうか?」など、将来を見据えた発問が推察できますよね。
このことも多面的に捉えることになると考えられます。
基本的には、多面的に考える、あるいは、多角的に考えると分類するのではなく、あらゆる可能性を想定して総合的に考えていくことが大切だと思います。
だからこそ、前述の多面的・多角的な考え方を持ち得た上で、国の発展状況に応じて、何を、その国の主力電源とすべきと考えれば良いのか?
再生可能エネルギー?
原子力?
火力?
この点に関して、私たちに必要なスキルのひとつは、「Self-awareness」(自己に対する気付き)を、どう自分なりにセットできているかです。
以下のような言葉(あるいは似たような言葉)を聞いたことがあるかもしれません。
「人は、ドリルが欲しいのではない、穴が開けたいのだ!」
これは、ニーズについて語られた有名な言葉で、欲しいのは商品ではなく欲求を満たすことであって、商品はその手段であるというものです。
つまり、こんな機能が欲しいという我々の要求(と思われる発言)は、その機能自体が欲しいわけではなく、その機能が提供している何かの価値が欲しいということなのです。
これに気付くこと、これが何某かの改革の第一歩となります。
前述の通り、学校では、多面的・多角的に考えなさいって言われ、大人の世界では、全世界的に、多様性が大事だって言うけど、本当に、多面的・多角的に多様性って考えてるの?、世間も世界も?、っていう疑問も持っているので、この点を考える上で参考になると思い、以下の本も読んでみました。
「多様性の科学―画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」サイド,マシュー(著)
本書の問題提起として、同じような考え方を持つ人材ばかりいる集団だと、盲点に気づきにくいということが投げかけられています(^^;
世界情勢を多角的に捉え、リスクを多面的に検討し、多様性適応率が高いと推定できるCIAの例においてさえ、似たような社会階級、文化などの人材が集まっても異なる視点からなら気づけたはずのことを見過ごし、9・11という取り返しのつかない事態を招いた要因だったのではないかと述べられています。
この状況は、最近の海外事情で言えば、ウ○ラ○ナ情勢や気候変動枠組条約締約国会議でも、同じ状況なんじゃない?って感じです(^^;
また、起業の観点からは、「既存知」と「既存知」の新結合、すなわちイノベーションが、多様性の一つの形としては分かりやすいです。
しかし、最初のイノベーションは起こったとしても、やがて「ベンチャーで働きたい」という思考を持つ人ばかりが集まっていると・・・・・・、いわゆる普通のサラリーマンのような思考が抜けてしまうかもしれませんよねぇ~
これが盲点です。
この盲点に関しては、独特な世界観で形成された知識や認識は、業界である程度共通化され、業界内の人もずっと投資をやっている人たちばかりになってしまいがちだと思われます。
また、とてもネットワークが重要な世界においては、コミュニティのなかで情報が流通してしまい、エコーチェンバー現象(ソーシャルメディアを利用する際、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象にたとえたものである。)になりやすいのではないかと推測できそうです。
多様性のメリットは、異なる視点(多面的・多角的に考え方等)から問題解決にアプローチができることですよね(^^)/
たくさんの個人では優秀な人がいても、同じ思考の人で集まると、新しい視点が獲得できず、烏合の衆になってしまうという・・・・・・、なんとも感慨深い状況が、国内外で見られる現象と感じるのは、私だけでょうか?(^^;
とはいえ、生きている限りにおいては、集団のなかに入らざるを得ないので、そのコミュニティのなかだけで過ごすことなく、しっかりと別の世界ともつながりを持ち、世間や業界、広く国々の当たり前に疑問を持ち、日々かかってしまっているバイアスがあるかもしれないことを意識していくことが大切ですね!
さて、話を戻して、この異なる視点(多面的・多角的に考え方等)を活用して、途上国のエネルギー政策のポイントを考えてみると、地球環境の悪化を考慮して再エネの主力電源化を目指していきたい世界各国ですが、実は、再エネを増やしていく中で注意しなくてはいけないのは、太陽光や風力のような発電方式には、その特性上、現時点で、他の発電方法と比較して”弱い”という点です。
火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電や風力発電といったさまざまな発電方法には、それぞれの特性があります。
従って、どのような発電方法を組み合わせるかという電源構成を考える際には、電源ごとの発電効率や特性も踏まえることが、とても重要になります。
まず、発電効率に違いは、以下の通りです。
(1)水力発電システムは、水路に流したときの摩擦損失が小さく、ほとんどを運動エネルギーに変換できるため、発電システムで生じる損失を加えても発電効率は約80%もあります。
(2)一般的な風力発電システムの発電効率は最大約45%、平均的には約20~40%です。
(3)一般的な太陽光発電システムで約20%です。
(4)地熱発電システムは、発電の原理は火力発電や原子力発電と同じですが、水蒸気の温度が火力や原子力よりも低いため、発電効率も約10~20%とあまり高くありません。
(5)バイオマス発電システムは、地熱発電と同じく温度が低いため発電効率は約20%です。
次に、電気的な特性は、以下の通りです。
(1)火力発電のようなタービンなどの回転体を利用して発電する電気は「交流」。
(2)太陽光発電や風力発電でつくる電気は「直流」。
(3)私たちが家庭やオフィスのコンセントを通じて受けとり使っている電気は、すべて交流電気です。
(4)そのため、直流電気を発電している太陽光や風力といった発電は、発電後に電子機器をはさんで交流電気に変換してから送電線へ流しているという特徴がある。
(5)風力発電は、風車の回転運動を電気に変えるため、タービン発電と同様に「交流」の電気を発電している。
(6)風の強さは常に一定ではなく、風車の回るスピードは風によって大きく変動してしまうため、一定の回転スピードで発電するほかのタービン発電とは合わず、そのまま送電してしまうと電気の品質に悪影響を与えてしまうので、回転の変動による影響をなくすため、一度「直流」に変えてから、再度安定した「交流」の電気に変えている。
(7)直流電気を送電線へ送る際には電子機器を挟む必要があり、この電子機器は電気の性質や電気の流れの急激な変化に弱い。
(8)もしも、送電線のどこかで事故が起きて電気の性質や流れが大きく変わった場合には、電子機器が壊れてしまう恐れがあることから、発電を一度止めて機器を保護する必要が生じる。
(9)つまり、太陽光や風力といった発電方法は、現時点では、送電線に何か事故が起きた場合には連鎖的に止まってしまう可能性がより高い発電とも言えますが、特に対策をおこなうことなく太陽光発電や風力発電を大量に導入してしまうと、送電線で発生した突発的なトラブルに対して影響を受けやすくなる可能性が高まる。
(10)再エネの中でも、水力や地熱、バイオマス発電は交流のタービン発電である。
では、前述の各電源ごとの発電効率や特性を考慮して、途上国における最適な電源構成、つまりニーズは何か?
優先すべきは、以下の2点ではないでしょうか。
①安定的な電力供給を維持できる強い電源基盤の構築する。
②それが維持できる様に発電方法の組み合わせに注意を払う。
③発電効率の低い発電所を廃止し、一旦、発電効率の比較的高い電源を主力電源化することでCO2の排出を低減する。
このように、安定的な電力供給を実現するためには、各エネルギー源としての特性を踏まえて活用することが重要となります。
例えば、前述の参考記事②で取り上げた記事「原発新増設が必要なこれだけの理由」に記載されている通り、原子力発電であれば、一度燃料が装荷されれば、一年以上にわたって発電を続けることが可能であり、有事で日本へのエネルギー供給が途絶した場合、原子力発電所が果たす役割は極めて大きいと言えます。
また、同記事で指摘(下記参照)されている様に、デジタル産業には多量の安定に供給される電力が必要なのだという事実を抜きにしては、脱炭素の議論も砂上の楼閣だと考えられます。
「(原子力発電所の)新増設が必要な理由は、発電部門における化石燃料への依存を下げること、電化を進めること、それによりCO2を削減することに加えて、安定・安価な電力供給によって、これからの日本の産業を支えるためである。
今後ますますICT(情報・通信)産業は発達し、それが経済成長の原動力になることは確実だ。
このICT産業は電力多消費である。
データセンター、AI(人工知能)、スーパーコンピューター、インターネットデータ通信などは莫大な電気を使う。
端末やディスプレイなども含めると今日、すでに電力消費量の約1割はICT関係だという。
ふんだんで安価な電力供給があることが、産業の発展にとっての基盤になる。
しばらく原子力の新増設が停滞していたため、関係する事業者はすでにかなり弱体化してしまった。
新増設には立地地点の調査、計画の作成、地元の合意、そして建設といった具体化に時間がかかる。
この間、技術力のある事業者を維持するためにも、早々に着手してゆく必要がある。」
つまり、今回の例で言えば、脱炭素社会の実現と安定した電源の確保(二律背反)は、どちらの命題も同じくらいの妥当性があり、どちらも正しいものだという概念設定を正しくしておかないと、間違った方向に舵を切りかねない危険性を孕んでいます。
日常会話などでは、二律背反よりも矛盾の方がよく使われるかもしれませんが、矛盾は、どちらかに妥当性が存在しなかったり、あるいはどちらかが間違っているということがあり得るということですから、混同して使用しない事も大切ですね(^^)
また、二律背反の類語・言い換え表現は、パラドックスやトレードオフが適切であると考えられるため、例えば、
「「ブライスのパラドックス」で言われているように、道路が増えれば渋滞が必ずしも解決するわけではない。」
「時給で働いている人にとって、労働時間と賃金はトレードオフの関係にある。」
といった事実も、今回の電気に関するテーマを考える際に参考にあると思います。
パラドックスは、正しく見える前提や論理から、納得し難い結論に行き着いてしまうことです。
また、トレードオフは、経済用語で、同時には存在し得ない二律背反する関係を意味します。
前者の「ブライスのパラドックス」とは、有名なパラドックスの一つで、道路が増えると移動時間が減るどころか、渋滞が増えてかえって移動時間が長くなってしまうケースがあるというものです。
普通に考えると移動時間が短くなりそうな気がしますが、交通工学では必ずしもそうならないことがあるということが分かっています。
そう、この普通に考えるが曲者なんですね(^^)
今回の二酸化窒素に因る気候変動についても自然現象が相手ですから、普通に考えて理解するには困難な境界条件が多数あり、一筋縄では解決できない何台であり、その解決策は、脱炭素だけではないという視点、つまり俯瞰的に物事を見る視野が必要です。
後者は、働き方改革とも繋がりますが、時給で働く人が賃金を増やそうと思うと、最も手っ取り早いのは労働時間をその分増やすことです。
逆に、休みが欲しければ労働時間が減るので、その分賃金も減ります。
このように、同時には存在し得ない二律背反する関係を経済用語でトレードオフと表現されるのですが、非正規雇用労働者の雇用の安定や待遇改善に向けた取組に関係してくる問題です。
要は、私達の生きる世界は、二律背反的な事柄の多い世界であり、今回のテーマの様に、この電源を安定に供給し続ける力の上に成り立っている空間が私達の住む世界でもあり、例えば、現在、世界中から注目を集めているオンライン上に構築された3次元仮想空間(メタバース)等のインターネットを含めた電脳空間も、この力が揺らげば、簡単に崩れさっていく、脆弱な空間だと言えます。
「ザ・メタバース 世界を創り変えしもの」マシュー・ボール(著)井口耕二(訳)
【参考記事⑤】
メタバースが何かを、まだ誰もわかっていない:その破壊力の真のインパクトに迫るマシュー・ボール著『ザ・メタバース』
https://wired.jp/article/book-matthew-ball-the-metaverse/
多方面に渡って電気の力(大量に・安定して・継続的に供給される電力)で活かされている現代の在り方について、二元論ではなく、多角的に、そして、多面的に考えてみるきっかけになれば幸いです(^^)
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