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「ストーリーを語れない事業に成功はない」という話 仕事

多くの企業は、新たなマーケットを求めて「新規事業開発室」と称する部署を持っています。

しかし、こういったプロジェクトが大成功し、イノベーションを生んだという話はあまり聞いたことがありません。

以前 セミナーをさせて頂いた企業の話ですが、売上が中々上がらない中、昨今流行の事業に手を出して大失敗しました。

今日は、成功する新規事業とは何かについて話してみたいと思います。

1.失敗する新規事業は、こんな風にして生まれます。

その会社は、機械部品を販売する商社で、業界でも知名度のある企業でした。

しかし、不景気のあおりを受けて本業の売上があがらず窮していたとき、役員会でA役員がこんなことを言いました。

「これからは、我が社も新しいことに着手していかなければ生き残れない」

「既存の業界だけに囚われていては、成長はない。」

「そこで売電事業に参入したいと思っています。」

「売電事業者の資格を得る根回しは完了しています。」

「是非、この事業を我が社の柱にしていきたい」

また別のB役員がこんなことを言い出しました

「社内だけで考えていてはダメだ」

「もっと外の意見を聞いて、新たな事業を考えるべきだ」

「大手コンサル会社に依頼して、当社を分析してもらい、どんな新規事業をすべきか提案して貰った方が、素早く成果を上げられる」

結果はどうだったのか?
A役員の提案した売電事業は、事業部を立ち上げたものの一向に売上が上がりませんでした。理由を営業マンに聞いてみると


「これって会社は本気でやってるんですかねぇ。。。ダメだったらすぐ止めるんじゃないでしょうか」

「第一、売り方も製品知識もまったくないのに、どうやればいいんでしょうか」

「私たちは役員の捨て石になって、ダメだったら干される運命なんでしょうかねぇ。。」

B役員のコンサルから提案されたプランは、この会社の風土風習などは織り込まれず、この業界や会社に馴染まないようなサービス開発や、商品開発をすることでした。

まぁ、多額のコンサル費用を支払った訳でもなく、事業の成功失敗に責任を持たないコンサルは、言いたい放題ですから仕方ない話ですが。。。。

2.失敗した新規事業を観察すると面白いことが分かります。

経営に関わる事案は、分かり易く説明できる資料作りから始まります。

しかし、ここに盲点があります。

多くの企業では、経営に関わる重要な資料作成は経営企画室が担います。
彼らは情報整理とプレゼンテーションのプロフェッショナルです。
つまり経営のプロフェッショナルではないということです。

ですから、流行のテンプレート(Swot分析や階段グラフ)に載せた美しく、見やすい資料を作り、分かり易いプレゼンテーションをしてくれます。

しかし、よくよく彼らのプレゼンテーションを聞いてみると、マーケティングや数値の話ばかりです。

利益の正当性があればGo、なければStopという論調です。

この考え方。。。。大切なことが欠けていることにお気づきでしょうか?

欠けていることは、次の3点を熟考していないことです。

1)自社の理念、Vision、Mission、Valueと照らし合わせて、当社がやるべき事業なのか?

2)当社のコアコンピュタンス(強み)を活かすことができるのか?

3)その結果、顧客にどんな喜び、貢献ができるのか?

多くの経営企画室は、トップダウンで動きます。

この3つの視点でトップに物言うことは、異を唱えることになりかねませんから、そこには触れず提案に沿ったプレゼン資料を作ります。

さきほど、お話した社員の言った言葉の中に、

「これって会社は本気でやってるんですかねぇ。。。ダメだったらすぐ止めるんじゃないでしょうか」

がありましたが、一般社員はこのことを敏感に感じ取っているのです。

3.社員がやる気になる新規事業とはどんな事業か?

たとえ他社が流行りの事業で成功していたとしても、経営トップがまず最初に考えるべきことは、自社の理念、Vision、Mission、Valueに沿ったものかです

さらに、自社のコアコンピュタンス(強み)を活かして、この課題を解決して成果を上げられるかを考える。

そのうえで、顧客への貢献と利益がでると確信したら事業化に進む。

このプロセスは、以下のようなストーリーとして語れます。
1)何故、この事業を当社はやるのか?(理念、コアコンピュタンス)
2)この事業をやったら、当社はどうなるのか?(目指す姿)
3)顧客にはどんな喜びや貢献ができるのか?(Vision、Mission、Value)

経営者と社員がこのストーリーを共有できれば、新規事業の成功の確率は格段にあがる筈です。

それは「何故これをやるのか?」を全社員が共有できるのですから、モチベーションが上がらない筈はありません。

皆さんはいかがお考えでしょうか?



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