「ストーリーを語れない事業に成功はない」という話 仕事
多くの企業は、新たなマーケットを求めて「新規事業開発室」と称する部署を持っています。
しかし、こういったプロジェクトが大成功し、イノベーションを生んだという話はあまり聞いたことがありません。
以前 セミナーをさせて頂いた企業の話ですが、売上が中々上がらない中、昨今流行の事業に手を出して大失敗しました。
今日は、成功する新規事業とは何かについて話してみたいと思います。
1.失敗する新規事業は、こんな風にして生まれます。
その会社は、機械部品を販売する商社で、業界でも知名度のある企業でした。
しかし、不景気のあおりを受けて本業の売上があがらず窮していたとき、役員会でA役員がこんなことを言いました。
また別のB役員がこんなことを言い出しました
結果はどうだったのか?
A役員の提案した売電事業は、事業部を立ち上げたものの一向に売上が上がりませんでした。理由を営業マンに聞いてみると
B役員のコンサルから提案されたプランは、この会社の風土風習などは織り込まれず、この業界や会社に馴染まないようなサービス開発や、商品開発をすることでした。
まぁ、多額のコンサル費用を支払った訳でもなく、事業の成功失敗に責任を持たないコンサルは、言いたい放題ですから仕方ない話ですが。。。。
2.失敗した新規事業を観察すると面白いことが分かります。
経営に関わる事案は、分かり易く説明できる資料作りから始まります。
しかし、ここに盲点があります。
多くの企業では、経営に関わる重要な資料作成は経営企画室が担います。
彼らは情報整理とプレゼンテーションのプロフェッショナルです。
つまり経営のプロフェッショナルではないということです。
ですから、流行のテンプレート(Swot分析や階段グラフ)に載せた美しく、見やすい資料を作り、分かり易いプレゼンテーションをしてくれます。
しかし、よくよく彼らのプレゼンテーションを聞いてみると、マーケティングや数値の話ばかりです。
利益の正当性があればGo、なければStopという論調です。
この考え方。。。。大切なことが欠けていることにお気づきでしょうか?
欠けていることは、次の3点を熟考していないことです。
多くの経営企画室は、トップダウンで動きます。
この3つの視点でトップに物言うことは、異を唱えることになりかねませんから、そこには触れず提案に沿ったプレゼン資料を作ります。
さきほど、お話した社員の言った言葉の中に、
「これって会社は本気でやってるんですかねぇ。。。ダメだったらすぐ止めるんじゃないでしょうか」
がありましたが、一般社員はこのことを敏感に感じ取っているのです。
3.社員がやる気になる新規事業とはどんな事業か?
たとえ他社が流行りの事業で成功していたとしても、経営トップがまず最初に考えるべきことは、自社の理念、Vision、Mission、Valueに沿ったものかです。
さらに、自社のコアコンピュタンス(強み)を活かして、この課題を解決して成果を上げられるかを考える。
そのうえで、顧客への貢献と利益がでると確信したら事業化に進む。
このプロセスは、以下のようなストーリーとして語れます。
1)何故、この事業を当社はやるのか?(理念、コアコンピュタンス)
2)この事業をやったら、当社はどうなるのか?(目指す姿)
3)顧客にはどんな喜びや貢献ができるのか?(Vision、Mission、Value)
経営者と社員がこのストーリーを共有できれば、新規事業の成功の確率は格段にあがる筈です。
それは「何故これをやるのか?」を全社員が共有できるのですから、モチベーションが上がらない筈はありません。
皆さんはいかがお考えでしょうか?
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