【雑記帳15】ルアーの強さ
皆さんはルアーを選ぶとき,何を基準に選んでいますか?
このノートでは,自分で考えて釣果を得るためのフレームワークについて考察しています(【雑記帳8】も参照).その中でも今回は,「何を投げるか」の判断に役立つ,ルアーの強さという概念について,考えてみたいと思います(【雑記帳14】も参照).
ルアーの強さとは
田辺哲男さんの「バス釣りビッグフィッシュパターン」によれば,ルアーに対して「強い」「弱い」という表現は当時のアメリカでも用いられていなかったそうで,田辺さんが初めて考えた概念だそうです.その後も,田辺さんは「最強のバス釣り入門: 「自分の力で釣りたい人」の必読書」などで強さの概念を解説されています.また,北大祐さんも「バス釣り超思考法」でルアーのパワーランクという考え方を紹介するなど,最近では一般によく用いられる表現になってきているのではないかと思います.
では,ルアーの強さとは何かというと,田辺さんの書籍によれば魚からのルアーの気付かれやすさのことを指すそうです.そして,ルアーの強さは主に以下の要素で決まるようです.
ルアーサイズ
音
カラー
フラッシング(カラーの一種と考えてもいいかもしれません)
動きの大きさ
要は,バスの視覚と聴覚(側線を含む)に訴える部分なのかなと思います.バスの立場で考えれば,五感を使ってルアーに気づくしかないわけです.その際,味覚,触覚,嗅覚に基づく情報は,かなりルアーに近づかないと知覚できないということを考えると,基本的にはまず視覚と聴覚でルアーに気付くはずだと思っています.
ルアーの強さに基づいて何を投げるか判断する
ルアーの強さがなぜ「何を投げるか」の判断に役立つかというと,基本的に以下のような傾向があると言われているからです.
強いルアーほど魚に気付かれやすい反面,活性の低い魚には食わせにくい.
弱いルアーは気付かれにくいものの,気付かせることができれば活性の低い魚にも食わせやすい.
したがって,その日の魚の活性を考慮して,投げるルアーの強さを調整していけばいいということです.また,水が濁っていて魚がルアーに気づきにくい場合はルアーを強くするなど,外部の状況によっても強さを調整する必要があります.
このようなルアーの決め方の良いところは,釣れるルアーにたどり着くまでの効率が非常に良くなることです.クランクベイトで釣れなかったからミノーを投げてみよう,ミノーもだめだったからスピナーベイトを投げてみようというように,単にその日まだ試していないルアーを投げていても,なかなか釣れるルアーにたどり着くことはできません.これでは,その日の状況というものを全く考慮できていませんよね.そうではなくて,少し水が濁ってきたからルアーを強くしようとか,活性が落ちてきた気がするからルアーを弱くしよう,といった形で判断していくことで,その日の状況に合わせやすくなるわけです.
強さを基準に手持ちのルアーを整理する
上記のように現場でルアーの強弱を調整するためには,あらかじめ強さを基準として手持ちのルアーの位置づけを整理しておく必要があります.あくまで自分の中での整理の仕方で構わないということは上記の書籍でも触れられていますし,私もそのとおりだと思います.例えば私の場合は,ルアーカテゴリを強い順に並べると以下のようになると大まかに考えています.
スピナーベイト,バズベイト
クランクベイト
トップウォーター,バイブレーション,ジャークベイト
バルキーなワーム
ライトリグ
そして,同じスピナーベイトの中でもクリスタルSのほうがハイピッチャーより強い,というように同一カテゴリ内でも強さを基準にルアーを整理しています.そうすることで,現場でのルアーチェンジの判断がしやすくなっています.
以下の書籍を読めば,田辺哲男さんや北大祐さんがどのようにルアーを整理しているかが,詳細に述べられていますので,ご興味のある方はぜひ読んでいただければと思います.当然ですが,私の少ない経験に基づく整理とはレベルが違います.
田辺哲男,バス釣りビッグフィッシュパターン,地球丸,2003年.
田辺哲男,最強のバス釣り入門: 「自分の力で釣りたい人」の必読書,地球丸,2009年.
北大祐,バス釣り超思考法,つり人社,2018年.
ただ,これらの書籍の内容を鵜呑みにするのではなく,自分で考えて,納得しながら自分なりの基準を作っていくべきなのだと思いますし,その過程を楽しむことこそ,このノートで追求したいバスフィッシングの楽しさなのだと考えています.