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【雑記帳18】ルアーの食わせ力

ルアーは単に弱ければ弱いほど食わせやすいのでしょうか?

このノートでは,自分で考えて釣果を得るためのバスフィッシングフレームワークについて考察しています.その中でも最近は,「何を投げるかの判断」を「ルアーの強さ,向き,速さの判断」と捉えて,それぞれについて考察してきました.すでにルアーの強さ向き速さそれぞれについて記事を書いています.当初はこれらの観点を考慮すれば十分と思っていたのですが,これらとは別に,最終的にどうやってバイトに持ち込むかという部分をルアー選びの観点に加えておくべきだったと思いました.

本ノートのバスフィッシングフレームワークにおける「何を投げるか」の判断に食わせ力を加えてみる.

強さ=気付かせる力,では気付いた後は?

いくつかの書籍を見ると,ルアーの強さとは魚からの気付かれやすさとされています.そして,「弱いルアーは気付かれにくいものの,気付かせることができれば活性の低い魚にも食わせやすい」という傾向があるそうです(【雑記帳15】も参照).たしかに,大きな傾向としてはそうなのだと思いますが,では単にルアーを弱くしさえすればいつでも食うのかというと,そんなことはないですよね.したがって,そこには何か強さ以外の要素が存在しているはずです.そこで,この記事ではルアーが持つバスをバイトに至らせる力のことを仮に食わせ力と呼んでみたいと思います.

ただ,一つ言えることは,魚はまずルアーに気づいて,その後食ってくるということです.この点は田辺哲男さんの「最強のバス釣り入門: 「自分の力で釣りたい人」の必読書」でも述べられています.したがって,まずは魚に気付かせるための強さを基準にルアーを選ぶというのは理にかなっていると思います.そして,気づいた瞬間ためらいなく食ってくる魚というのもいるでしょう.私は岩盤でバズベイトを巻いていて数m下からビッグフィッシュが突進するようにバイトしてくるのを目の前で目撃したことがありますが,あのときは写真を取ってリリースしたあとも心臓がバクバク言っていました.むしろ,ビッグフィッシュほど強いルアーを使ってこういう状況に持ち込まないと食わせきれないという面もあるのかもしれません.

しかし,いつでもそのようなバイトが得られるわけではないですし,それでも最終的にはルアーを食わせなければいけないわけで,ルアーを気付かせた後どのように食わせるのかというのをルアー選びの観点に加えるのは自然なことではないでしょうか.

食わせ力の種類

ルアーを気付かせた後,どのように食わせるか,という観点で開発された製品の例としては,ノリーズのフェイントベイトシリーズ(すでに廃盤)があります.これは,クリアボディの一部だけにペイントが施されたルアーで,大きなボディの出す波動で気付かせて,小さなシルエットの弱さで食わせるというコンセプトだったようです.ただこれは,弱いほど食わせやすいという考え方が背後にあるので,強さ弱さでは説明のつかない「食わせ力」というわけではないかもしれません.

これに対して,ノリーズのビハドウというルアーはプロップの持つ微波動によって食わせのスイッチを入れることを狙った,「弱さ+αの変化球」ルアーだという解説が田辺哲男さんの「最強のバス釣り入門: 「自分の力で釣りたい人」の必読書」にあります.この記事で議論したい「食わせ力」は,この変化球に近い考え方かもしれません.ただ,私の思う「食わせ力」はビハドウのように特別な意図を持って開発されたルアーだけに当てはまるものではなく,むしろどんなルアーにもそのルアーなりの「食わせ力」があるのではないかという仮説を立てています.そして,ルアー選びの際にはそれを意識すべきなのではないかと思います.

では,どのような力が食わせ力なのかというと,現時点で私が思いつくのは以下のような力です.

  • 弱さ

  • ハングオフ(軽い根掛かりを外す)などの瞬間的な速さ

  • ポーズやそこからの動き出し

  • フラッシングやローリング系アクションによって生じる明滅

  • 障害物へのコンタクトやチドリアクションなどで生じる動きの軌道変化

    • モグラチャターは中層タダ巻きで生じる不規則な軌道変化(チドリ)を狙ったルアーだと言われています.

    • バスではあまり使われないかもしれませんが,シーバスなどでよく行われるドリフト釣法ではどこでルアーをターンさせるかがキーとされています.

  • スカートのゆらめきなどのシルエット変化

  • 匂い

    • 伊藤巧さんのタクミ漬けが有名ですね.

食わせ力に着目したルアーチェンジ

特に,ルアーの選び方という観点で重要となるのは,異なるルアーで似たような食わせ力を表現できるような場合だと考えています.私自身の体験で言えば,ブッシュをテキサスリグで撃っていて,回収時に枝を乗り越えたところで追いかけてきたバスがバイトしたことがありました.そのとき,枝を乗り越える動きはクランクでも演出できるのでは?と思ってクランクに変えたところ,少し先のブッシュで同じように魚が釣れたという場合がありました.このように,食わせに必要な動きがわかったら,同じような動きを別のルアーで表現できないか考えることで,釣りの効率を上げたり,より丁寧にバイトを引き出したりといったことができるようになるかもしれません.

逆に,あるルアーでしか表現できない食わせ力がキーになっている場合は,ルアー以外のところ(地形やカバーの見極めなど)でいかに釣りの効率を上げていくかが重要になるのかもしれません.

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