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面接は「選ばれる」ためだけの場じゃない

12月上旬、ついに出願完了!とっても達成感がありましたが、気を抜いてはいられません。出願した5校中4校は、書類を通過したら面接が予定されていました。面接の招待が来ることを願いつつ、準備をすすめます。

ポートフォリオを作る

アート・デザイン系志望ならあたりまえのように提出するポートフォリオ、なぜかドラマ・スクールのステージ・マネジメント部門でも求められる場合がありました。アマチュアでもなんでも、過去に関わった公演や作品などの例をまとめたポートフォリオを求められ、直接的なステージ・マネジメント経験がない私はけっこう焦りました。とりあえず、中学生時代の英語演劇部で作った衣装の写真を引っ張り出したり、音楽業界時代に担当したバンドのライヴ映像のリンクを貼り付けたりして、なけなしの業界経験をアピール。結局ポートフォリオについて面接で触れられることはなかったので、実際どれくらい見られたかはわかりません。もしかすると、触れるまでもないと判断されたのかもしれません。笑

質問と回答を想定する

面接準備の鉄板。自己紹介や志望理由、業界の経験など、訊かれそうな質問を想定してメモを作りました。それぞれの学校のコースについてまとめたメモをおいて、「自分が相手のことをよく知らない」と思われないようにすることを心がけました。あと一番気をつけたのは「最後に何か質問はありますか?」と訊かれたときのための質問を用意すること!「特にないです」だと興味がないと思われても仕方ないので、これは回答を面接中に言われてしまうことも想定して何パターンか用意しました。そしてこの用意してきた質問が、最終的な進学先の決めてを与えてくれることになりました。

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長い面接期間のスタート

出願した5校中、Guildford School of Acting (以下GSA - University of Surrey の一部)・The Royal Central School of Speech and Drama(以下CSSD - ロンドンにある学校)・Royal Welsh College of Music and Drama(以下RWCMD - 今通っているカーディフの学校)の3校の面接を1月〜3月にわたってSkypeで受けることになりました。仕事の時間と時差を考えて、たいてい会社から帰宅後、日本時間の夜遅く(イギリス時間の午後1時〜3時くらい)に面接をお願いしました。

最初の面接はGSAで、1月上旬に行いました。初面接、当然緊張もしたし、事前に確認したのになぜかパソコンのSkypeでビデオ通話ができず、バタバタとスマホに切り替えたりして、先方に手間取らせてしまったので「あーあー」と思いながら臨んだのを覚えています…笑。事前の確認は大事!面接は学部長の素敵な女性の方とで、トラブルはあるわ緊張してるわでまともに話せていない私の話を一生懸命に聞いてくださったのが唯一の救いでした。本来の英語力(と当時自分が思っていた会話力)の半分も出せず「ボロボロ」の手応えだったので、翌日にまさかの合格通知が来たときには心底ぶったまげました。

「合わない感覚」は結果に出る

次は2月下旬のCSSDの面接でした。ここは少し変わっていて、面接前にポートフォリオに加えて2つの課題を出されました。ひとつは最近見たライヴ・イベント(演劇でもコンサートでも)のレポート、もうひとつは自分で3つのイメージをピックアップし、なぜそれを選んだのかの理由を説明しつつそれらを使ってストーリーを考える、というものでした。この2つ目の課題に大苦戦。あらゆる想像力(創造力)は小学生以降に失ったと思い込んでいる私は、かなり無理のあるこじつけで話を作り上げて提出するしかありませんでした。

事前課題で既に不安を抱えた状態で臨んだ面接当日は、前回の反省をいかしてトラブルこそなかったものの、当然のように幕開けから不穏でした。開口一番「Stage Management で応募してくれてるけど、Technical & Production Management の方には興味はないのかい?」と訊かれたのです(ちなみに今は Stage Management & Technical Theatre という1つのコースに統合されたようです)。当時の私、当然 Stage Management と Production Management の違いなんて知らないので「とにかくバックステージで働きたいので、あなたがそう言うならそれでも」と答えてしまい、そこから Technical Theatre コース前提で面接を進められました。CSSDは学部編成の時点で他のドラマ・スクールに比べて専門性が高く、面接でも経験や専門性を問われている印象で、ちんぷんかんぷんで広く学びたい私とはなんとなく会話が噛み合わない状態が続きました。

面接の最後、案の定「質問はないか」と訊かれたので「卒業後イギリスで少しキャリアを積んでから日本に帰りたいと思っているんだけれど、留学生に対しても就職のサポートはしてくれますか?」と尋ねました。「社会人留学で舞台監督の勉強をしても、キャリアがなければ帰国後どこも雇ってくれないだろう」と思っていたので、どの面接でも必ず就職サポートについて訊こうと決めていたからです。GSAでは模範解答的に濁されてしまったのですが、CSSDは「うーん、保証できないし無理だと思うなぁ」と完全否定。それまでの面接の雰囲気も重なって、気持ちが決裂した瞬間でした。当然、結果も不合格でした。

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運命すら感じた最後の面接

最後の面接は3月中旬のRWCMDでした。12月の書類提出後、一切の連絡がなかったので3月になって面接連絡が来たときは飛び上がりました。下見で環境がめちゃくちゃ良さそうな印象があり、志望度が高かったのです。

面接はコース長ともう1人の2対1で行われました。3回目なのでそろそろSkype英語面接に慣れてきた感覚もあったし、1対1じゃないのでどこか和やかな雰囲気もありました。コース長とは下見のときに面識があったので(向こうは覚えていなかったみたいでしたが)、それも少し緊張を和らげてくれる要因になりました。2月のCSSDの面接で少し知ったかぶってひどい目にあったので、素直に「とにかく経験がないので1から学びたいからこの年だけど学部志望だし、広く学べるRWCMDのコースに興味があるんです」と訴えました。

決定打は最後のお決まり質問コーナーでした。いつもどおり卒業後の就職サポートについて質問すると、「100%就職できる保証は残念ながらできないけど、君がそうしたいならイギリスで就職できるように僕たちにできる限りのことはするよ」と言ってくれたのです。前回CSSDに否定されたこともあり、私はすっかり感動して「そんなこと言ってくれる学校は他にはなかった、ありがとう」と伝えました。そして感動のまま「最後に1つどうしても伝えたいんだけれど、去年見学に行ったときに直接対応してもらったり、わざわざキャンパスツアーをしてもらったり、ものすごく感謝している」とも。Skypeを切るときは3人とも笑顔。終わったあとぼんやりと「ここに行くんだろうなぁ」と思いました。

「素直に話せる」大切さ

振り返ればこのときも就活のときも、「素直に話せる」面接は良い結果になることが多いなぁ、と思います。就活では大学4年の10月まで内定0。とにかく面接が下手で、周りに圧倒されて終わるか、気合が入りすぎてから回るか、なんの印象も作れずに終わるかが9.5割でした。そんな中ある面接で、大学1〜2年で友達作りに大失敗してサークルを辞めた(今思えば些末な、当時の自分としては重大な)挫折体験をなぜか素直に「さらけだすことができた」ことがあり、結果そこが唯一の内定になりました。また、2次面接で落ちたとある大企業の人事さんが「2次面接では緊張のせいか、1次面接のときのように自由なあなたを見れなかったので」と言ってくれたこともありました。確かにその企業の1次面接は、就活中初めて「楽しい」と思えた1日でした。

RWCMDの面接も、なぜか自分を飾りすぎることもなく、崩れた英語に対する恥ずかしい気持ちもなく、終始ありのままの自分のまま、最後には思わぬやりとりもあったりして、「これは良い面接のパターンのやつだ」という手応えがありました。そして面接後のぼんやりとした予想通り、数日後に合格の知らせが届きました。「素直に話せる面接」の大切さ。ただ、突然これができる面接があるだけで、意識的に再現できないのが難点なんですけどね……(百戦錬磨の面接王ならできるのかもしれない)

自分が「選ぶ」ための面接でもある

3校面接して1番感じたことは、面接というのは「先方に選ばれる」だけでなく「私が選ぶ」ための機会でもあったということ。話していて合わないな、と思ったCSSDとは結局お互いに縁がなかったし、ここなら良いかもしれない、と思ったGSAとRWCMDには合格をもらうことができました。そして最終的に進学先をRWCMD決める決定打となったのは、面接でこちらから質問した内容への先方の回答でした。そして今、当時の回答どおり、イギリスで就職する権利(=ビザ)を得るためにもう1年院生として学校に在籍させてもらっています。

面接というシチュエーションそのもの、慣れない英語、リモートでの通話…緊張する要素はたくさんあるけれど、「自分が相手を選ぶ」くらいの気持ちで面接に臨むと、案外良い出会いがあるのかもしれません。

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