📒何がいいたいかわからないっていわれる？とりあえず落ち着いてみかんでも食べとこ。

職場の上司が物凄い不穏な空気を漂わせていた。まずい、これはきっと何かやらかしてしまったに違いない。

席がすぐそこの私は平常心を装った。私は何もやっていない。何も知らない(だって本当に何もやっていない)。しかし、上司の視線は私めがけて一直線だった。驚くほどのストレート。

「ちょっといい」

ほらきた何やった私。今年は大きな問題もなく、平和に幕を閉じられそうなほど順調だったのに、年の瀬にきて何があった。

｢言いたいことが伝わらないの。どうしたらいい。｣

いきなりのお悩み相談に私は目を丸くした。鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしていたに違いない。上司の目は真剣そのものだった。それがまたおかしくて仕方ないのだが、心の底からの質問だ。

上司は話をするたびに周囲から『それで何がいいたいの』といわれてしまうそうだ。無意識のうちに話の着地点が迷子になったり、話している途中に別の話題にうつってしまう。それで家族や友達に呆れられてしまうと悩んでいた。

その上司とは仕事の話しかしたことがなかったので、あまり実感はなかった。だからこそ私はとても驚いた。聞く人間誤っているとは今も思うけれど。

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私自身も人のことをいえたものではなくて、話の途中で話題が変わってしまうことは多々あった。それだけに留まらず、ゴールの見えない会話を続けることもあった。しかし、それらは仕事を通じて改善されていった。さて、どうやって克服したのか。大事なのは以下の四つだ。

• 考えながら話さない。
  ⇒話を先にまとめておく。

• 結論から先に話す。
  ⇒前置きが長いと話が逸れやすい。

• 面白く話そうとしない。
  ⇒人のウケより重要なのは伝わるか否か。

• 相手の話に耳を傾ける。
  ⇒聞かなければ意見は生まれない。

考えながら話さない。

あれもこれもと頭にアイデアが浮かぶ人はきっとこれに陥りがち。あらゆることを一気に考えられるので、多くのことを関連づけることができる。弱点はただ一つ。まとまっているようで『支離滅裂』になりやすい。

考えている段階ということは、話がまとまっていないということ。自分の頭の中でも整理されていないのだから、初めて聞く他人に伝わるはずがない。自分だって一瞬の考えを口に出しているので、記憶にほとんど残されていない。これが会話のループの原因だ。

自分の頭の中は相手には見えない。自分の中で関連づいていると思っても、聞き手にとっては散らばった点がそこかしこにある状態。話は進んでいるはずなのに、一向にゴールにたどり着かないのは、考えがまとまっていないからだ。

結論から先に話す。

伝わないかもしれないと不安なら、先にゴールを示してしまえばいい。私はこう思う。それはなぜかと説明を付け加えていけば、話の信ぴょう性も増す。意見の骨組み(結論)さえしっかりしていれば、そうそう過程(話の内容)がぶれることはない。

仕事でもプライベートでも、私は先に『結論』を話すようにしている。お喋りのような会話を楽しむ場面であれば別だが、相談や悩みを打ち明けられたときは、先に自分の意見を伝えた方が有効だからだ。話のオチを提示しているので、相手に無駄なストレスも与えない。

面白く話そうとしない。

仕事のようなパブリックな場面ではあまりないかもしれないが、何事も『面白く伝えよう』と意気込む人がいる。もちろん面白さを追求することは良いことだし、それ自体を否定はしない。私が伝えたいのは『面白くしようと頑張りすぎないこと』だ。ウケを狙おうとすれば狙おうとするほど、問題の本質から逸れてしまう。落としどころがわからなくなり、不時着してしまう。

相手の話に耳を傾ける。

これが最も大事。会話は『相手の話があってこそ成り立つ』と信じてやまない。コミュニケーションだもの。相手の意見を聞き、自分の思いを伝える。その繰り返しから良質な会話が生まれると考えている。

相手の話を聞かずして、質の高い意見はでてこない。自分本位の話に、誰が耳を傾けるだろうか。仕事でも友達でも家族でも同じだ。何がいいたいかわけのわからない人は、人の話もきちんと聞いていない。なぜなら、会話のキャッチボールをしていないからだ。ぶつけあいのドッジボールになってしまっては、相手は耳を塞ぐだろう(おまけに心も閉ざすかもしれない)。

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重要項目四つを挙げて上司に説明をした。一番大事なのはやはり『相手の話を聞くこと』だと思っている。

相手の話を一切聞かないって、考えてみればとても失礼だ。でもそれほど、矢継ぎ早に話をしたい気持ちもわかる。そのときの心理は決まって『とにかく聞いて』と矢印が自分に向いている。

何がいいたいかわからないっていわれるときって、決まって心に余裕がない。だからさ、まぁ、みかんでも食べて落ち着こう。壁に向かって話をするわけではなく、相手があることなんだからさ。さすがに上司にそんな軽口は叩けないけれど。

それで『しくった』って思ったときはさ、止めちゃっていいんだよ。すみません今、何がいいたいかわからなくなりましたって正直に。話そうとすれば話そうとするほど、ドツボにはまるからさ。

会話は戦いではない。相手にターンを渡したら負けなんかじゃない。どんどん意見や思いを言い合って磨いていくもの。だからこそ相手の話をじっくり聞き、ゆっくりまとめ、落ち着いて話す。この繰り返しが大事だと社会に出て改めて感じている。