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📒だからわたしは会社員をやめない。

終身雇用なんて、この先なくなるよ。


そういわれて育ってきた。


自分の両親は終身雇用制度真っ只中の世代。余程のことがない限り、会社を辞めることはなかった。一生が保証されていたからだ。そんな彼らからそんな言葉が出るなんて、夢も希望もあったもんじゃなかった。

そんな現実主義な家庭にいたけれど、それがかえって良かったと思う。なぜなら『どう働くか』『どう生きるか』を考えるきっかけになったからだ。

私は会社員とフリーランスのスポーツカメラマンの二刀流生活を、かれこれ数年続けている。今の状態に至るまでに、本当に色々なことがあった。

大学四年次。

上手くいかない就職活動。
面接にこぎつけたと思えば簡単にへし折られる。
書いたエントリーシートは何枚だったか。
受けた企業は数えきれない。

生きるために働かねば。
その一心で就職活動を続け、無事に就職することができた。いっちゃいけないが決して『やりたいこと』ではなかった。

それでも、私は会社員になって良かったと思う。
なぜならこの経験が、新たな働き方を生み出したからだ。


会社員は経験した方がいい

終身雇用や安定などはなから期待なんてしていない。しかし、私は大学を卒業して一般就職をした。やりたいことがあったわけではない。今の会社を選んだというより、内定を出してくれたからという理由に過ぎない。

とはいえ会社員になるメリットはたくさんある。

・基本的なビジネスマナーが習得できる。
・(やばい会社でない限り)毎月必ず給料がもらえる。
・組織で動く力がつく。
・研修が充実している。
・人間関係を作る基礎が身につく(ビジネスに繋がる)。
・組織が守ってくれる。

上記の利点がある一方、気を付けなければならないことがある。

必ずしも組織はあなたを守ってくれるわけではない。

2020年。コロナ禍に入ったころ、たくさんの企業が倒産した。ずっとあるだろうと信じていた会社がなくなってしまう。即ち働く場所を失うのだ。

会社があるうちはあなたのことを守ってくれる。給料だって振り込まれるし、やらかさない限りはクビを切られる心配もない。でもそれはある日突然やってくるのだ。大企業だろうと中小企業だろうと関係ない。路頭に迷ったとき、初めて問われるのだ。


あなたには何ができるのか。


会社員になってぬくぬくいわれたことだけをこなせばいい。その時代は終わった。必要なのは『個の力』だ。あなたにはどんな力があって、何ができるのか。大企業勤めだから優遇されて、中小企業だから不利。そういった側面が絶対にないとは言い切れない。しかし、会社の名前だけでカバーできる世の中ではないのもまた事実だ。

周囲の人から
「カメラマンとして独立しないの」とか
「会社はやめないの」なんて、たくさん質問をもらう。

確かに今なら独立も視野にいれてもいいかもしれない。しかし、フリーランスのカメラマンとしてなぜ活動できているのか、原点に立ち返って考えてみよう。

それは私が会社員として、スキルを伸ばしてきたからに過ぎない。

会社組織に入って社内の人間関係はもちろん、取引先との関係。はたまたお客様との接点など、人と関わる機会がたくさんある。この経験はフリーランスで活動する中でも生かされている。

ビジネスマナーを一人で習得するのは難しい。組織の約束事、取引先との働関係構築など、自分だけでは困難を極める。組織にいたからこそ、一人で全て完結することができるのだ。


フリーランスは誰も守ってくれない

会社員は組織(会社)が守ってくれるが、フリーランスの後ろには誰もいない。自分の責任は100%自分が負わなければならない(会社員だから甘いとか責任を分散できるという意味ではない)。

ビジネスマナー然り、対外的な処理など、やらなければならないことはたくさんある。それに、会社員と違って仕事は降ってこない。自分で取ってこなければ、報酬を得ることはできない。

フリーランスとしての働き方、人間関係の構築方法、報連相などの基本的なことは全て『会社員の経験があってのもの』だ。組織で働かなければ、恐らくフリーランスとして活動はできなかっただろう。

就職活動をせず独立しようと考えている人もいると思う。もちろんその気持ちを否定するつもりは毛頭ない。ただ、会社員を経験してからでも遅くはないというのが私の考えだ。誰にも守ってもらえないところにいきなり飛び込むより、守ってもらえるところで地盤を固めるのが安心ではないかと思うのだ(冒険したい人にとっては安定志向でつまらないかもしれないが)。


あなたにはなにができるの
これからの働き方

個の力が求められる時代だと書いた。終身雇用は崩壊しつつあり、会社だって必ず明日あるとは限らない。しかし、フリーランスだって常に安定しているともいえない。

じゃあどうしたらいいんだよ。


明日会社が潰れてもいいように、自分のスキル(好きなことでも何でもいい)を磨く。それで報酬を得られるくらいの力をつける。とにかく自分にできること、手札を増やすのだ。

私は会社がどうなってもいいように、カメラマンとしての力をつけている。書くことも仕事に繋ぎたいので続けている。無論、今働いている会社で身に着けた営業力、顧客応対や事務能力だって一生ものだと言い切れる。ただ漠然と椅子に座っているわけではない。

個の力を組織の中で身に着け、
いつでも独り立ちできる力をつける。

私の思う、現代の働き方だ。

これらの考え方は、高校野球や大学野球に似ているように思う。

野球が好きだからたとえてしまうけれど、ただ“強豪校にいました”ではなんの効力も発揮しない。厳密にいうと、ブランド力はあるが『そこでなにをした』『どんな成績を残したのか』など、あなた自身がやってきたことを問われる。甲子園に出たとか、神宮大会に出たとか、それはチーム全体の成果。その組織でどんな活躍をしたのか、当たり前だがそっちの方が重要である。

今、就職活動をしている学生の皆さん。
フリーランスとして独立しようと考えている方。
会社員なんてつまんないよと思っている人。

必要な力は、実は組織の中で習得できる。
今の経験、やってきたこと、絶対に無駄にはならない。

私が会社員をやめないのは、個の力が身に着くからにほかならない。今の環境があって、カメラマンの仕事に繋がっているといっても過言ではない。

あ、

劣悪な環境に身を置いている方はすぐに逃げて。


社会はどんどん変わっていく。
その変化に対応できる人間でありたい。

上手く生きているとは決して思えないが、二つの軸を武器にこれからも力を伸ばしていく。だからわたしは会社員をやめない。







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