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ベイビートと採算とケプラーと。3


ビッチが意外といい結婚する理由って、これかもしれません。


1 最良の出会いってなんだろう?

さて、長々と続けてきた「ビイビートと採算とケプラーと。」、北海学園大学演劇研究会 第66回定期公演「ベイビート!!」を通じて色々考えてきた今回は、「出会い」についてです。

ベイビート3

舞台「ベイビート」の主人公は、モテない中年男性の体の中が舞台でしたが、男性は一人の女性と出会い、結ばれ、子供を生むことになります。

残念ながらその中年男性がどうやってその女性と出会い、結ばれるに至ったのかについて、舞台内で語られることはありませんでしたが、

その女性は、果たしてその中年男性にとって最良の女性だったのか?

ということに、ふと思い至りました。

そして、この誰もが気になるこの問題について、数学的に取り組んだ人物がいます。

ドイツの天文学者/数学者である、ヨハネス・ケプラー氏です。

2 ケプラーさんってどんな人?

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ケプラーさんは1571年12月27日、当時の神聖ローマ帝国で生まれました。

大学を卒業後、天文学と数学の教師となりますが、当時魔女狩りが横行する中、コペルニクスの地動説を全面的に支持していたため、当時住んでいた町から追い出され、失職してしまいます。

そんな折、当代きっての大観測家であったティコ・ブラーエの助手として招待されるなどし、ティコの死後、膨大な観測資料等から有名な「ケプラーの法則」を考案、理論的に天体の運動を解明しました。

そんな天体物理学者の先駆的存在であったケプラーさんにもいくつか悩みがありました。

1つは先程も書いた宗教的な問題。もう1つは結婚だったのです。


3 ケプラーの再婚問題って?

さて、このケプラーさん、教師の時代に富裕な粉ひき工場主の娘バーバラと結婚します。

バーバラさんは結婚歴もあり、7歳の連れ子もいました。
ケプラーさんはバーバラさんの連れ子を可愛がっていましたが、バーバラさんは病気がちで給料の安いケプラーさんを馬鹿にしていたそうです。

そんなバーバラさんが天然痘で亡くなってしまうと、その2年後、ケプラーさんは再婚することになります。

ケプラーさんもおそらく前回の結婚を反省したのでしょう、再婚するとき、「どうすれば限りなくベストに近い相手と結婚できるか?」という問題に数学的に考察します。

これがケプラーの再婚問題です。

それによると

・出会った全体の36.8%に達するまでは結婚相手として決めないこと。
・そのあと、「最初の36.8%の中で一番良かった人」を上回る相手にめぐりあったら、即座に結婚すること。

ということでした。


4 「ケプラーの再婚問題」はどうやって使うの?

女性を例にとって考えてみましょう。

女性の場合、民法上結婚できるのは16歳から、あなたは30歳までに結婚したいと考えています。

つまり求婚活動期間は14年です。

あなたはちょうど真ん中、7年目の23歳で、今までに5人の男性と交際しているとします。

ちょうど真ん中で5人交際しているということは、おそらく30歳までに合計10人位は交際者がいる、と予想されます。

10人の36.8%ということは、

10人☓0.368=3.68人

つまり、大体4人目から結婚を意識し、それまで付き合ったきた男性の中で一番良かった人と思えた男性と即座に結婚すれば、確率的には最良の選択だと言えるのです。

この法則のいいところは、最初の36.8%をやめている、という点です。
最初の36.8%中に「自分の中で、一番いい男とは何か」を作ることができますし、更には余りにも酷い相手と結婚しないというストッパーの役割も出来ます。

もちろん、最初の36.8%の中に最良の相手が入っている場合もあるかもしれませんが、そうである確率は数学的には低いのです。


5 ビッチが意外と良い結婚をする理由って?

ここまでくれば、いわゆる「恋多き女性」が素敵な結婚をする理由というのもわかってきます。

彼女達は過去、たくさんの男性と付き合い、自分の中で「イイ男」の基準が出来ている可能性が高い。

更に先程の法則を使うと、総数が20人なら大体8人目から、100人なら大体37人目から考えればいいので、ゆっくり吟味することも可能です。

当然ロクな男でもない場合は捨てるでしょうから、この法則を知らなくても本能的に「最良の選択」をする可能性が高い。

男性であろうと女性であろうと、「出会い」は多いに越したことはないのかもしれません。

6 最後に

さて、実はこの法則を考えたケプラーさん、結局、スザンナ・ロイティンガーという女性と再婚し、彼女との間に6人の子供をもうけるのですが、一説によるとこのときの女性が実は最低の女性だったという説もあり、やはり男女の中は侮れません笑。

このお話は、以後数学者のマーティン・ガードナー氏が、いわゆる「秘書問題」として解明しており、後戻りできない選択をするときにも使うことが出来ます。

いかがでしたでしょうか?

今回は舞台から、採算、挙句の果てには出会いのお話まで話題が飛びました。

今後も、雑感と目移りしてしまった「何かと何かと何か。」をみなさんと共有できれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

また、フライヤーの掲載を快諾していただきました

北海学園大学演劇研究会
(HP:https://doramagakuen.wixsite.com/mysite
 Twitter:https://twitter.com/hgu_enken)

の皆様にも深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

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