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終わりの始まり

こんにちは。読書も心の余裕がないとなかなか進まず、久しぶりの本の感想です。

読んだ本の紹介

出版社 ‏ : ‎ 書肆侃侃房 
発売日 ‏ : ‎ 2022年10月10日
単行本 ‏ : ‎ 176ページ

この本を選んだ理由

私の住むいなか町が属する県、および町も韓国の町と交流しています。そういうこともあってか、県立図書館に比較的新しい韓国の作家の作品も購入されることが多いです。今回選んだ作品もその一つです。

あらすじ

本書はタイトル通り「終わり」を迎えた3人の男女の物語。小さい頃、父に死を目撃し、その後生きることが億劫になってしまった郵便局長のヨンム、飾らないヨンムの態度に惚れ、結婚したものの、どこか満たされない日々を送る出版社エディターのヨジン、大学を卒業したものの就職がうまくいかず、バイトを転々としているソジュン、3人の視点から描かれた、とある春に訪れた別れの物語だ。

訳者の言葉より

感想

春を迎えたある日、ヨンムは母からがんを、妻から離婚を切り出されます。彼の心模様が、私が昨日伯母の死に直面した時の心に重なって、私の心を打ちのめし、私は思わず涙が流れました。

さらに桜が舞い散る街の描写や、3人の心模様の対比には、私自身が日本人であることと重なる感覚を覚えました。また誰もが抱える他人には知られたくない記憶や秘密が、自然に描かれており、それにも共感しました。

最後には題名の通り、桜の花が散るように終わりがあれば、その後は新芽が出るように何かが始まるという、一筋の希望の光も差していて、私も救われる心持ちがしています。

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