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ハン・ガン「すべての、白いものたちの」

読んだ本の紹介

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出版社:河出書房新社
発売日:2018年12月30日邦訳初版
単行本:186ページ
内容:光州事件が舞台の小説「少年が来る」を出版後、在ポーランドの翻訳者の誘いに、ワルシャワで子どもと一学期間(夏から初冬)過ごした著者が書いた小説。

この本を読んだ理由

きっとどこかの書店員さんがおすすめの書籍ということ紹介されていたので図書館にリクエストしていたのだと思うのですが、すっかり忘れてしまっていました。図書館から新着のお知らせが来て初めて読み始めました。

あらすじ

チョゴリ、白菜、産着、骨……砕かれた残骸が、白く輝いていた――現代韓国最大の女性作家による最高傑作がついに邦訳。崩壊の世紀を進む私たちの、残酷で偉大ないのちの物語。

Amazon内容紹介抜粋

感想

先日韓国梨泰院での事件が頭の片隅をよぎりながら、2016年マン・ブッカー賞国際賞を受賞した、ソウルの代名詞的な川と同名のハン・ガン氏の作品を読むというのは、なんとなく導かれた感じもしました。

本作は韓国とポーランドの「すべての、白いものたちの」表情が感受性豊かに文章化された作品です。

さらに本の活字が印刷された「白い紙」も色々に組み合わされていて、5種類の色の違う「白紙」が使用されています。
1頁から32頁まで少し赤みがかった白い紙。
33頁から80頁まで少し黄色みがかった白い紙。
81頁から112頁まで少しだけ黄色みが薄くなった白い紙。
113頁から160頁まで真っ白な紙。
161頁から最終頁まで茶色みがかった白い紙。
まさに紙の本で読む良さをも味わえる本です。

白く笑う、という表現は(おそらく)彼女の母国語だけにあるものだ。途方に暮れたように、寂しげに、こわれやすい清らかさをたたえて笑む顔。または、そのような笑み。
あなたは白く笑っていたね。
たとえばこう書くなら、それは静かに耐えながら、笑っていようと努めていた誰かだ。
その人は白く笑っていた。
こう書くなら、(おそらく)それは自分の中の何かと訣別しようとして努めている誰かだ。

本文101頁

私の母国語で白い色を表す言葉に、「ハヤン(まっしろな)」と「ヒン(しろい)」がある。綿あめのようにひたすら清潔な白「ハヤン」とは違い、「ヒン」は、生と死の寂しさをこもごもたたえた色である。私が書きたかったのは「ヒン」についての本だった。

182頁作者の言葉より抜粋

生と死の寂しさをこもごもたたえた白色(ヒン)の本。まさに今の私が読むべき作品で、再読したいと思います。

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