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Modern Tuxedo

※このnoteは当店のインスタグラムにアップしたカクテル解説になっています。

今回はTuxedo No.1のtwist。
なぜこれを捻ろうと思ったのか、きっかけはまるで覚えていない。だけどブラウザ閉めずにとっておいたってことは何か引っかかるものがあったのだろう、と思いつつ読み進めているうちに気づいたら手を動かし始めていた。
とりあえず原型レシピ。

Tuxedo No.1
<stir / cocktail glass>
オールドトムジン 1
ドライヴェルモット 1
マラスキーノ 1dash
アブサン 1dash
オレンジビターズ 2dash
アンゴスチュラビターズ 2dash

1:1レシピに化粧を施す、といった感じの構成。
クラシックではよく見る作りだけどずいぶん厚化粧に思える。
で、作ってみると…やはりちょっとやりすぎ。いや、僕のバランスの取り方がよろしくないのかも知れない。オレンジビダーズないからとトリプルセックで代用したし。
でもこんなに細かく入れてもな、とは思いました。

歴史を辿ってみるとどうやら30's辺り。
そう考えるとマラスキーノとアブサン入れる理由はなんとなくわからんでもない。
この2種、同時期のカクテルブックでは散見されるんですね(僕の見てきた範囲内だけですが)。
要するに流行っていたんだと思う。
言い換えると、香味的に意味が無くとも視覚的には意味があったんじゃないかと。
−もちろん香味的にまるで無意味とは言わない。が、それよりもメイク時の視覚とレシピが文書化されるという部分での方が大きそうな気がする。根拠はないけど。

しかし、なぜtuxedoという名前なのか?いまいち納得しかねる…って思い出した。なんで捻ろうか考えたのはこれだ。
「やはりマティーニベースに厚化粧を施して色気出させたようなレシピだからか?
でもコレ、今じゃ流行んないよなあ…なら現代的な表現にすればいいじゃない。
どうすればできる?」
という流れだった。
奇しくも手元に現代アレンジ−いわゆるクラフト−のトムジンもあったからこれは手を出せるな、と。

話が少々逸れた。

辿ったところに書いてあったのだけどtuxedoは服の方じゃないんですね。
アメリカのジェントルマンズクラブでTuxedo Clubというのがあって、そこのオリジナルだったとの事。
そんなことは想像だにせず、調べる前に手を出したものだから僕のネーミングは誤謬も甚だしい。
言うなればそのおかげでこうして捻る事ができたようなものだけど、それはそれ。これはこれ。なんともお恥ずかしい限りである。
ま、とりあえずこちらもレシピいきましょうか。

Modern Tuxedo
<swirling / cocktail glass>
トムジン15(グリーンフックジンスミス)
ロンドンドライ(ビーフィーター)20
ドライベルモット 25(ノイリー ドライ)
アブサン 1/2tsp(ペルノー)
キュンメル 1/2tsp
※Birdy.デキャンタで左回し

核となるトムジン、使用したものはカルダモンをセンターに、けっこうキャラクターは強め。
変に全方向的なメイクアップをそのままアレンジしてもジンに喰われるので一点突破を狙った。
オリジナルレシピからアブサン以外のビダーズを省いてキュンメル(キャラウェイのリキュール)を使用。よりクセのあるアブサンを纏わせるイメージに。
トムジンのみの構成だとまだ他が喰われるので、緩衝材としてドライジンを噛ませる。使う分量的には後者の方が多くなるけどこれくらいがよき塩梅。
トップにトムジンとアブサン&キュンメル、中間~下にドライヴェルモット&ドライジンという感じのデザイン。
言い方変えるとベースをマティーニ、その上に今回のレシピを乗せた”カクテルonカクテル”という解釈も成り立つかもしれない。

デキャンタの回転が左なのは素材の立体感が出ると感じたため。
これは好みかと思うので作られる方いたら左右どちらにスワリングするかは自分の指向性次第でってところ。

カクテルのnoteはどうしてもいつも以上に長くなってしまう。
年末から懸案のカクテルも、まだ手を出せていないカクテルもあるし、今年もぼちぼち頭使って捻って作っていこうと思います。

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