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林伸次
2020年8月19日 07:02
1度だけ仕事で一緒になった、8歳年下のちょっと可愛いカメラマンの男の子から、食事に誘われた。彼は、日本の若手カメラマン10人にも選ばれていて、かつては有名なモデルとの噂もあった。彼が連れていってくれたお店は、日本酒と気のきいたおつまみがあるカウンターだけの私好みの小料理屋で、「良いお店ね。若いのによくこんなお店知ってるのね」と私が言うと、「絵里子さんの職場関係の人たちにヒアリングして、絵里子さ
2016年11月25日 08:38
#小説 #超短編小説 月から地球を望遠鏡で見ていると、こちらを望遠鏡で見ている少年と目があった。僕は右手を軽く振ってみると、少年も右手を振って答えてくれた。少年が紙に何かを書きこちらに見せた。見ると「どうして月にいるの?」とあった。僕も急いで紙に書いて答えた。「地球上で起こる全てがイヤになって月に逃げたんだ」すると少年がまた紙を見せた。「ならどうして地球を見てるの?」
2016年11月18日 08:53
#小説 #超短編小説 「彼女、同性の友達がいないタイプなんです。すごく綺麗だし、頭も良くて性格も明るいようには見えるんです。たまに同性の友達が出来ると僕に紹介してくれるんですけど、だいたいちょっと地味な女の子で、どう見ても彼女の綺麗さを引き立てるためのような役割の女の子なんです。その女の子も途中で自分が引き立て役だって気づくんでしょう。なんとなく彼女から離れていくんです。だから彼
2016年11月4日 08:48
#小説 #超短編小説 毎朝、8時35分渋谷発の銀座線の前から2両目に乗る女の子がいる。彼女がどんな日でも必ずその電車の2両目に乗るって気がついてから、僕も必ずその電車の2両目に乗るって決めてしまった。年齢は25、6歳くらいだろうか。身長は165センチくらい、髪型は基本はボブで前髪があったりなかったりする。服はジーンズにTシャツにスニーカーの時もあるし、たまに花柄のワンピースなんて時も
2016年10月28日 09:07
#小説 #超短編小説 「私、お見合い結婚なんです。私、小さい頃から自分はそんなに綺麗な方じゃないってわかっていたし、ずっと女子校だったから、男の子と恋愛みたいなこともなかったし、もう全くそういうのがないまま大人になっちゃったんです。就職したところも小さい会社で若い人も全くいなくて、毎日ぼんやりと暮らしていました。たまに合コンとかも誘われたんですが、もちろん私がモテるわけもないし、テレ
2016年10月21日 08:44
#小説 #超短編小説 「ねえ、雨だから出て行くのは明日にすれば?」「絶対に今日のうちに出て行く。だってこのままこの部屋で寝てしまって、明日起きたら出て行くきっかけがなくなってしまうもの」「でも、こんなに雨が降っているのに、荷物、全部持って行くの?」「出たところですぐにタクシー拾うから大丈夫。だって私の物を何か残してしまったら、また取りに来なきゃいけなくなるじゃない」「わざわざ取り
2016年10月7日 08:56
#小説 #超短編小説 今はミニチュア・ライオンを飼っているんだけど。 うん、猫科だからね。 性格とか行動とかは猫みたいなもんだよ。 うちはオスを飼ってるんだけど。 やっぱり昼間は草原っていうか、うちのふわふわの絨毯で寝転がって偉そうにふんぞり返ってるよ。 やっぱり百獣の王って意識は小さくてもあるんだろうね。 うん、トイレは猫と同じ。 ちゃん
2016年9月23日 07:15
#小説 #超短編小説 SNSで「友達じゃないですか?」と薦められた人達の中に20歳の頃の自分がいた。名前も経歴も遊んでいる友人も何もかも20年前の自分だ。投稿している記事も、最近買った本やレコードについての青臭い評論文みたいなことを書いている。これはどう考えても20年前の自分だ。僕はおもいきって「20年後の自分です。これも何かの縁です。友達になって下さい」と友達申請をした。翌日、20
2016年9月16日 08:41
#私小説 #超短編小説 20歳を少し過ぎた頃、お金を貯めるために、昼はレコード屋で働きながら、深夜は電報局で働いたことがある。深夜は本来の一般的な電報を受ける115番は営業を終えていて、僕が担当していたのは船舶からの電報を受け付ける番号だった。大手町のNTTの大きいビルの地下の小さな部屋にオペレーター用の机が20個くらいあり、そこに常時10人くらいの男性が座って、世界中の海上にいる船から
2016年9月9日 08:44
#小説 #超短編小説 街を歩いていると「魔法使い養成講座。素人大歓迎」という看板をみつけた。なんだか怪しそうだけど、もし魔法使いになれたら夢がかなえられると思った僕は扉をノックした。「こんにちは。入り口の看板をみたんですけど…」「いらっしゃい」「あの、魔法使いになりたいんですけど…」「では、まず最初に魔法使いになりたい動機を聞かせてもらおうかな。大金持ちとか世界征服とか…」
2016年9月2日 08:38
#小説 #超短編小説 ああ、また失恋しちゃった。もう絶対に恋なんてしないって決めたんだ。私の方から好きになりすぎちゃいけないっていうのは、わかっていたのに。ママの遺言の意味が本当にわかってきたなあ。もう一回ちゃんと読んでおこう。1.女の子の方から先に好きになってはいけない。2.相手に奥様か恋人がいるかどうか確認してから好きになること。3.最初からすごく慣れている誘い方やデ
2016年8月26日 08:39
#小説 #超短編小説 あ、彼女がまた自分の写真をインスタグラムにアップした。ああ、なんて可愛いんだろう。あ、もう12時過ぎかあ。彼女、今、寝る前に自分の部屋でスマホをさわってるんだろうなあ。そして、可愛く撮れたからアップしたんだろうなあ。彼女に気軽に【今インスタグラムにあげた写真、可愛いね】ってLINEを送りたいなあ。もちろんそんなこと無理だけど。僕はただの仕事上の知り合いで、もちろんた
2016年8月19日 08:47
#小説 #超短編小説 彼女が初めて僕の部屋に泊まった夜、季節は秋で、窓を開けるとちょうど涼しい風が入ってきた。僕は夜中の2時に目を覚ましてしまって、ずっと可愛い彼女の寝顔を見つめていることにした。彼女は赤ちゃんのようにぐっすりと眠っていたので、キスしたいなと思ったけど、起こしてしまうから僕はぐっと我慢をした。夜空の雲が途切れて、月があらわれた。満月だ。月の明かりが彼女を照らし、彼女が
2016年8月12日 08:36
#小説 #超短編小説 毎月第4週目の日曜日の朝は私の部屋のベッドの中で必ず彼がいた。朝の7時頃までは彼にくっついて彼の匂いを嗅いでいるのだが、8時を過ぎると彼はベッドから抜け出し、私のキッチンで朝食を作り始めた。彼はイタリアン・レストランのシェフだから、料理は上手だった。冷蔵庫を開けてあまっているアスパラガスやトマトやアボカドを使って美味しいサラダを作った。ベーコンをカリカリに焼いてスク