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【寄稿者:間藤まりの】「同じ」と「ちがう」。小さな違和感に耳を傾けていきたい(寄稿記事vol.3)


場の発酵研究所、運営お手伝いをしている間藤(まとう)です。
普段私は長野県にいて、文章をつくるライターの仕事をしています。


所謂場づくり的なことをはじめたのは2016年。今年小学校2年生になった息子が生まれたあとのこと。自分が生まれ育った場所で自分が子育てをはじめたとき、改めて地域を自分の目で見る機会をもらいました。

「なんか、こんな感じだったかなあ・・」
いの一番に感じたのは違和感。人もいて、場所もあって、そんな大規模に変わったわけじゃない。でも圧倒的にワクワクが足りない。

あの道の先には何があるんだろう。この山の上からは何が見えるんだろう。川には何が住んでいて、この畑は何が実るんだろう。そんなことを思って自転車で走り回っていた小学校時代。この地域は私にとって“知っている”と“知らない”が混じり合ったオモチャ箱みたいなものでした。

「地元が大好き!盛り上げたい!」というモチベーションとは少し違うかもしれないけれど、私は私なりに、今も昔もこの場所で営む暮らしが好きです。
「いいよね」って言ってくれたら精一杯分かち合いたいし、「なんか気になる」って言ってくれたらお迎えして一緒にあそびたい。だれとでも、いつかここでお茶でも飲めたらいいよね、と思っています。そして近い将来、子どもたちにも「うちの地元ってなんかいい感じなんだよね」って、友だちを連れて遊びに来てほしいです。

具体的にはといえば最近は、公園でイベントやったりマルシェ開催したり、空き家を改修してお店や居場所をつくったり、「何かやりたい」と「空いている場所」を結び合わせる活動をしています。なにかするときに思うのは、「じゃあどうやったらワクワクを描けるだろうか」。極論、自分がたのしみたくて右往左往しているという話もあるかもしれません。



そんな私が最近、本当に一番最近感じているのは「共感ってなんだろう」ということです。

先日、サッカー教室に通っているAちゃんが、「楽しそう!気になる!」と言った友だちのBちゃんに、「体験会参加する?」と声をかけた話を聞きました。「お母さんに聞いてみるね!」と言って帰ったBちゃんは翌日、「お母さんに相談したら、“女の子のサッカーは中学で部活がないから、どうせやるならバスケにしたら?”って言われた。今回はやめとこっかな」と、Aちゃんに伝えたそうです。


これを受けてあるお母さんから、「子どもの“やりたい!”を止めてしまうなんて可哀想だ」という話が出ました。

「ちょっとどうなの?って思って」
「そうだよね、まず行かせてあげたらいいのにね」
と、(多分)共感が生まれました。

「私だったらまず行かせてあげたいなと思う」という話だと思うのです。
Bちゃんは、“かわいそう”なんでしょうか。

彼女は行くという選択のために、例えば「中学行ったら私がサッカー部作るよ!」も、「部活じゃなくてクラブで続けられるかもよ」も、「その時はその時で考える」も、「まずは行ってみたいんだよ」も、いろんな反論や提案を持っていたかもしれません。それでもお母さんの一言(もしかしたら二言三言)を聞いて、「じゃあ今回は行かない」を選んだのかもしれません。


何かを通じて私たちの耳や目に入る情報はきっと、たくさんある一部が掬い上げられ届いていて、他方には掬い上げられなかったものがあると忘れずにいたいと、ぼんやり思いました。

「共感」はなにか、イメージとして、わりとポジティブに使われる言葉だと思うのですが、一方で「感性が合わない」を生み出してもいるのだと感じます。合わない、思わない、選ばないといった「ちがい」は、敵ではなくて、悪でもない。

ただ、「認め合いましょう!」といえば結局「同じ」と「ちがう」の間に溝があって、「じゃあとりあえずこうしましょう」と妥協すると片方はないもの、のようにされてしまう気がする。


共感や感性によって、なにが成り立つのか。

そもそも、共感ってなんなのか。


「感性だけで選択を続けていったら、世界はどんどん細かく同質な集まりで分断されていきそうだなあ」とは、この話を同じくぼんやり聞いてくれた友人の言葉。分断は必ずしも悪いものではないと思うのですが(これは長くなりそうなのでまたいつか)、でもそうして同質で分断された世界は、私が描いているワクワクとちょっと違うなと思っています。



今回の「発酵」という言葉がいいなあと感じるのは、そうした小さな違和感や声、掬い上げられないもの、もやもやもきっとその場に残っていって、時間を越えてじわっといつか、なにかに影響しそうだと思うからです。

いろんな視座、いろんな視野、そしていろんな場所の人が集まったらたのしいだろうと思います。学び、考え、深め、試す。それぞれが感じた実感を持って、いろんな「ちがう」と「同じ」が同居する未来を、覗き見られたら嬉しいです。


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