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値上げが許容されつつあるという言葉の考察

最近、日銀の黒田総裁が、家計において値上げの許容度が上がっているというような発言をして、「生活が苦しい庶民のことがわかっていない」等の批判を受けて、発言の翌日に謝罪していた。国民の生活にとって値上げは家計を苦しめるのでそういった発言が批判をされるのは理解できるけれども、多少なりとも経済学を勉強している者としては、感情的な批判ともとれて、違和感があった。

今回の批判は需要が弱い時だからこそ、そのような批判が特に出たのだと思うが、需要供給曲線の座標軸で見ると、経済が成長して、生産量が上がっていくためには、仮に供給の増加のシフトが起こった時には、需要の増加のシフトが供給のシフトより大きい時にさらに生産量が大きくなり、その際に物価が上がるから、生産量が増えて国民の生活が豊かになるためには、物価の上昇が必要ということがわかる。供給のシフトがない場合には、生産量が上がるためには、需要の増加のシフトが行われなければならないが、もし起こった場合、需要の増加のシフトが行われないと、生産量が上がらず、需要の増加のシフトが行われた場合には、物価が上昇することがわかる。

今の経済状況では、物流停滞や政治要因による物不足のための供給減少であり、供給曲線の減少のシフトが起こり、需要は一定とした価格の上昇であろう。これに需要がさらに増えればさらなる物価の上昇になるが、今現在アバウトにそれは起こっていないと考える。

究極の理想は供給が増えて、供給曲線の増加シフトが何度も起こり、需要曲線は変わらず、生産量が増えて人々が低い価格で物をたくさん買える状況にあると推測するけれども、座標軸で見ると、そういった時には、物価が0円になり、需要の増加シフトがなければ、生産量の増加は限界になると考える。価格が0円である時に、供給側の利益はなしということになり、供給側の生産意欲はゼロになり、そんな時は、人間の手を必要としないロボットが全て生産している世界であると想像する。

いずれにせよ、現実の世界では、ここでも何が幸せかという究極の議論は無しにして、物が増えれば一般的に人々の生活が豊かになると仮定して、生産量が増加するためには、価格が上がらなければならないということがわかる。

物価が上がり、生産量も増えれば、利益率が変わらなければ、利益の大きさも自然と上がるのだけれども、資本家など少ない人が取り分をもっているより、その取り分を給料という形でより多くの人に分配されれば、より多くの人の消費にその分回り、需要が喚起されるのだけれども、先行き不透明の時には、資本家に分配させるのは難しいことでもある。

資本家が分配せず、貯蓄に回せば、その物が有効活用されず、老廃してしてしまう間、生産者の生産が滞る、言い換えれば、消費があってこそ、交換相手が増えるため、無駄な生産のリスクが減り、生産者は生産を増やしていく。

しかしながらも、やはり、物価の上昇があってこその分配の上昇であるから、そんな意味を含んで黒田総裁はそのような発言をしたと思うが、発言だけ捉えると感情的に捉えられてしまうということであると思った。値上げを受け入れるというよりもどちらかというと値上げはしょうがないと人々が思っている時に値上げをして、利益率を好転させて、うまく利益が分配されて、よい循環に向かっていけばいいということではないだろうか。

バブルの時など需要が強い時であっても、値上げが許容されつつあると発言すれば、批判されたであろうと思う。根本的には、値上げは経済にとって悪いことであるというような考えを持たせるようになってしまった日本の金融の教育の乏しさから来ているものだと思う。

借金も悪ということもよく日本では考えられがちであるが、借金をしてそれを次の生産のために使用してその後その生産物を生産して返す、すなわち、物を借りてそれを使用して返すための物を生産することによって、事後的、総体的に生産物が増え、結果的に借金を返すことができるのであれば、借金というのは返すために行動を促すということから生産物を増やす一つの原動力になる必要なものであると考えることもできる。約束通り返されなければ、それはリスクとなり、以後の人々の貸し付けは小さくなり、生産減少のリスク要因となるのであろうが。しかし、返す分だけの生産に留まらず、借りた物を使用して、それ以上の生産物を増やすことができれば、それは余剰となり、債務者の追加利益ともなる。よって、貸し付けが増える時に経済は好転するとも言われるのだろう。

やはり、言葉にとらわれず、本質的に物事を捉える必要があると再度感じた。

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