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なんかそろそろのアレなのでというお話(2019年の展覧会、良かった本など)

さて年の瀬になりましたが、なんだか色々と間に合いそうに無いので、今の時点でできることを書いておきます。今これを読まれているあなたにとって、2019年はどんな年でしたでしょうか。

私は、そうだなあ、色々なセレンディピティに出会って自分自身を取り戻せたと言うか・・めっちゃ平たいこと言ってしまった。

駆け足になりそうですけど、今年よかったものなどを振り返ろうと思います。

今年よかったなあと思った展覧会

個人的に今年はあいちトリエンナーレの問題もあり、アートの界隈に多少なり辟易していた瀬もありました。

相対的に見れば、あいちトリエンナーレも「アート」というものに触れるためのショック・ドクトリン的に機能したのかもしれないなあと思いつつ、個人的には多方面で断絶が広がったり広がらなかったりしているのを見ているのが辛かったりして。

・・しかしながら、偶然にも巨匠の作品をたくさん見ることができ大変に眼福の至りでもありました。

【クリスチャン・ボルタンスキー『Lifetime』】

個人的にはインスタレーションの素晴らしさを初めて体感的に理解できた展覧会でした。そして、コンセプトを飛び越えるアートのダイナミズムというか、作品の持つ圧のようなものを感じられて、やはりアートとはこうあって欲しい、というものを観られた気がしました。

ボリュームもあり、また図録の完成度も素晴らしく、本当に行けてよかったなーと思いました。これについてはざっくりレビューも書いております。

【ジュリアン・オピー(オペラシティ)】

ジュリアン・オピーの作品は実は生で観たことがなく、まず入り口から見える『Walking in New York』など(じゃなかったかもしれない・・)2mを超えるとても大きな作品のスケールに圧倒されました。

作品における「没入感」ってとても大切で、そのために必ずしもスケールが必要かと言うとそうでもないのですけれど・・「重要なことは作品の「前」にいることではなく、作品の「中」にいることです。」ボルタンスキーもこんな風に言っていましたよね。

大きな作品の持つ人間の知覚を凌駕した得体の知れなさ、窺い知れない感じはやはりそのままストレートに迫力としてでるのだなあ、と実感しました。

マックス・リヒター『Infra』で観られたようにドットとして抽象化された人、魚、鳥などありましたがどれも素晴らしかったです。

また、ジャスパー・ジョーンズ『Usuyuki』、O JUN『途中の造物』、岡崎乾二郎『視覚のカイソウ』、『虫展』など面白い展覧会を沢山拝見することができました。

今年買って良かったなあと思った本

基本的に本は毎月1万円までと決めているので、新しく出た本を買うこともあればそうでないものを買うこともあり(古本屋さんでの爆買いなど)、必ずしも毎月の新刊に目を通しているわけではないのですが、個人的に良かったなあと思うものをあげます。

【蛾売りおじさんのめくるめく蛾の世界】

ハンドメイドで蛾の作品を作られている方です。絵を描く方と、立体作品を作る方と二人いらっしゃるようです。twitterでお見かけして、このように本として作品に触れることができるなんて!ととても嬉しい気持ちで買わせていただきました。

一つ一つ刺繍で作られている蛾の模様はとても精巧で、この本はハンドメイドのいわゆる作り方の本ではなく、蛾の図鑑のようなものでしょうか。本の装丁も素晴らしいですよね。

【スラヴォイ・ジジェク『真昼の盗人のように』】 

基本的には彼の言っていることは『イデオロギーの崇高な対象』や『ポストモダンの共産主義』の頃から変わっていないのですが、ジュリアン・アサンジやドナルド・トランプ、金正恩を持ち出しつつも革命やイニシエーションを失う男性性のことを描かれています。

結局のところ、投票そのものが機能を失っていることを知ってはいてもその制度をやめられない、だから投票を廃止して革命を、というのもわからなくはないものの、なんだか切実な瀬だなあと思いました。

【驚異と怪異:想像界の生き物たち】

展覧会の図録で、残念ながら私は見ることができませんでしたが、古今東西の幻想的な生き物の立体、絵などがあり、文献もとても参考になりました。

師走・出会って良かったなあと思ったアーティスト

私は2012年ぐらいからじわじわと音楽を聴かなくなり、ここ4〜5年は全く音楽に触れていない生活をしていたため、現代のシーンに対して長らくブランクがありました。

そのため色々とキャッチアップをする中で、「今月こんなものを聞いていました」という記事を書いていたりするのですが、それの縮小版で師走に聴いていたものをちょこっと・・

今年デビューでないものに関しても今年出会ったものとしてカウントさせていただいております。

Karen Gwyer

USはアイオワ出身の女性アーティスト。現状ベルリンにお住まいなのかロンドンなのかちょっとよくわかっていないのですが、ソリッドな音がとてもかっこいいです。個人的には、「子育てや育児とDJのナイトライフは両立可能か?」というインタヴューがとても面白く、ふむふむと読ませていただきました。

BadBadNotGood

Moses Sumney

Sir Was

★来年に向けて

来年の目標としては、①キュレーション(研究)②コレクション(収集)③制作をやりつつ、いろいろと経済的な活動に繋げていけるよう、自分でも社会のレイヤーを上手く見つつ遣って行けたらなあ、と思います。

2019年、このnoteに目を通していただいた方、いいねを押していただいた方、ありがとうございました。また来年もよろしくしていただければ幸甚です。

2019/12/31 ・ Ogri(筆者)




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