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何気ないひとときをテイスティに彩るランタンに込められた想い|Deep Dive into BALMUDA

ものづくりの思想や開発の裏側を社員の活動と共に紹介するマガジン「Deep Dive into BALMUDA」。今回はBALMUDA The Lantern(バルミューダ ザ・ランタン)について、製品デザインを担当したプロダクトデザイン部の比嘉一真ひがかずまによる解説を交えながら紹介します。


現在、プロダクトデザイン部の部長を務める比嘉。ランタンには担当デザイナーとして携わった
左からブラック、グレー、ホワイト、オンラインストア限定のネイビーブルー、クラシックレッドの全5色。カラバリ展開としては、バルミューダ製品で最多となっている

BALMUDA The Lanternは、バッテリーを内蔵したポータブル式LEDライトで、クラシックなデザインとダイヤル操作で暖色~温白色を無段階に調節できるのが特徴。暖色にした際は、ほのかに“ゆらめく”ことで味わいのある空間をつくり出します。

テイスティな時間を

暖色時のほのかなゆらめきは、ずっと見ていても飽きない

本を読むとき、音楽を聴くとき、食事がテーブルに並べられるとき。そんな日常の傍らに、ほのかな灯りがあると同じ時間が少し味わい深く、テイスティになります。BALMUDA The Lanternは、人生にテイスティなひとときを生み出す道具を目指しました。

「今から4〜5年前、LEDランタン市場は青白い光、または真っ白な光を高輝度で放つ製品で溢れていました。そこへテイスティな暖色を持ってくるという提案です。バルミューダは、すでにキッチンシリーズを展開していたので、ただ便利な道具というだけでなく、わくわくする体験を届けたいという文脈でつながっています」(比嘉)

暖色と温白色は、ランタンに内蔵された2種類のLEDがそれぞれ担っています。その切り替えは、太陽が1日で空の彩りをゆっくりと変えるように、シームレスな体験として実装しています。

電源をオフにする際は、必ず暖色になってから消灯
無段階の調光は、安らかな時を妨げない

「人生をテイスティに照らす灯りとは? 答えに近づくためにキャンドルの炎やキャンプファイヤーの動画を延々と再生し、研究しました。そして試作機をつくっては、あらゆる場所へ持ち込んで考察を巡らせました。最終的に実装した暖色時の“ゆらめき”は、パターンではなくランダムになるようにソフトウェアで制御し、ずっと見ていられるような灯りにしています」(比嘉)

光源が上にある理由

通常、LED照明は光源を下部に設けることが多い中、BALMUDA The Lanternでは、あえてこれを上部に持ってきています。

上部の光源から、導光性のある管を通り下へ灯りが伸びていく

「さまざまな実験を繰り返した結果、暖色の灯りを綺麗に出すには間接照明のように、上から照らすほうが効果的だということがわかりました。光源となるLED基板の光を中央の“ライトパイプ”と呼ぶ管を用いて下方へ導いています。ライトパイプは内部が二重構造になっていて、光の拡散と反射、双方の役割を持たせてあります。シンプルですが高度な技術で、まるで下からも同時に照らしているかのように見えます」(比嘉)

デザインが決まるまで

BALMUDA The Lanternの見た目はクラシカルなランタンそのものという感じですが、そこへたどりつくまでには長い道のりを経ています。

初期の試作機に火を灯らせる比嘉

「実は当初、四角柱に近いデザインを検討していました。試作機をつくってみたら、どうも食卓にマッチしなかったんですよね。そこで、丸みを帯びた形状にしてみると、だいぶしっくりときました。そこからしなやかなフォルムの検討を重ね、現在のデザインへ方向性が固まっていきました」(比嘉)

検討したデザインの数々

デザインの方向性が固まったら、それをイメージ通りの質感で仕上げるためのあらゆる調整作業に入ります。クラシックな世界観でいくことにはなりましたが、生産性やコストなどさまざまな側面から、外装に金属やガラスをふんだんに用いることはできません。強度が必要なパイプ部分やフレームは金属、外装は樹脂と使い分けながら、全体として重厚なデザイン・質感の実現を目指しました。灯りを覆うアクリルやポリカーボネートのパーツは、見分けが付かないレベルまでガラスの質感に近付けています。

3Dプリンターで成形したモックアップ(右)とガラスを用いた試作機(左)。理想へ近づけていくため、素材やその加工法を探究した

「灯りの外装には、車のヘッドライトなどに使われるポリカーボネートという素材を用いています。ブロー成形という製法により、どこにも切れ目がなく、普通の人が見たらガラスだと思うはずです。素材と加工法を見極めることで、デザインに忠実でありながら強度と安全性を確保し、かつコストを下げることができます。バルミューダではこうした調整を、あらゆる製品で行なっています」(比嘉)

細部へのこだわり

操作部は道具を使う人との大事な接点であり、与える印象に大きく影響します。

ダイヤルを回したとき、どこかクセになるような“重さ”を追求した

「ランタンは可動部が少ないので、ここでチープな印象を与えてしまうと、ほかのこだわりがすべて台無しになってしまいます。ダイヤルの回転は重すぎず、軽すぎず、子供が意味もなく回したくなるような感触を追求しました。上部の吊り下げ具は、パタンと倒れてしまわないように内部にゴムを仕込んでいます。動かした際、どの位置でもピタッと止まるというだけですが、これだけでだいぶ信頼感が変わってくるのです」(比嘉)

吊り下げ具がパタンと倒れてしまわないよう、内側にゴムが仕込んである

人生を楽しむ灯り

BALMUDA The Lanternは、屋内だけでなく、キャンプやグランピングなどのアウトドアシーンでの使用も念頭に設計しています。

「よく子供たちを連れてキャンプへ行くのですが、キャンプ場でバルミューダのランタンを使っていただいている方を見かけては、こっそり喜んでいます。私も必ず持って行きますが、夜、テントの中で唯一の灯りにすると、なんとも言えない特別な時を感じさせてくれます。それと、テントから外の手洗い場などへ出かける際、子供たちに懐中電灯を持たせると、あっちこっち照らして周囲の方に迷惑をかけてしまうのですが、BALMUDA The Lanternだとそういった心配がない上、それを持って歩いている姿がすごく絵になるんですよね」(比嘉)

自然を楽しむキャンプに、ランタンは相性抜群(比嘉撮影)
お手洗いに行く場面も灯りひとつで絵がガラリと変わる

自然な灯りと暖色が彩る空間。何気ないひとときが、つまみを少し回すだけで特別なものに変わる瞬間を、BALMUDA The Lanternで、ぜひ体験してみてください。