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“デザイナー”という仕事に疑問を持ったら読む本
「デザイン」という言葉が示す範囲はとても広く、現代のデザイナーたちが担う職務は、業種や事業フェーズにより様々です。そんなデザイナーたちが、自分の仕事に迷いを抱いてしまったとき、参考になりそうな本をまとめました。
Q.デザイナーは、見た目を良くする仕事?
「デザイン」と聞くと、多くの人は見た目のスタイリングやデコレーションをイメージします。しかし、それらはデザインにおける手段であり目的ではありません。
1.『誰のためのデザイン?』 D.A.ノーマン著 / 新曜社 (1990年)
著者はUXの提唱者でもあるD.A.ノーマン氏。「見た目にこだわるあまり、かえって使いにくいデザインになってしまったモノ」などを批判し、人が理解しやすく使いやすいデザイン原則を示す一冊です。
2.『デザインのデザイン』 原研哉著 / 岩波書店 (2003年)
著者は日本を代表するグラフィックデザイナーのひとりである原研哉氏。「“表層的なスタイリングの差異”や“商業的な賑わい”に注力することがデザインの価値を下げている」と指摘し、デザインが目指すべき姿のひとつとしての、“消費者のニーズに合わせたものづくり”ではなく、“生活者の美意識を育てるものづくり”という在り方を提示する一冊です。
3.『HELLO WORLD』 アリス・ローソーン著 / 晶文社 (2013年)
「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」のデザイン評論家を勤める著者が、「商業目的の”スタイリング”以外のデザイン活用の可能性」を説く一冊です。古代から中世そして現代に至るまでの歴史を振り返り、本来のデザインは、“私たちの暮らしや環境を前向きに変化させる強力なツール”であることを明らかにします。
Q.デザイナーは、事業成長に貢献する仕事?
昨今は「広義のデザイン」という概念も浸透し始め、「経営×デザイン」や「事業成長に貢献するデザイナー」という話もよく聞くようになりました。しかし、利益を上げることがデザインの目的だったでしょうか?
4.『生きのびるためのデザイン』 ヴィクター・パパネック著 / 晶文社 (1974年)
WHO(世界保健機関)のデザインコンサルタントを勤める著者が、デザイナーが背負うべき社会的・道徳的責任を説く一冊です。自身もデザイナーでありながら、不必要な製品を売りつけるために欲望を刺激する“広告デザイン”と、その製造過程や使用後に地球を汚すことになる“プロダクトデザイン”を痛烈に批判します。
5.『人間のためのデザイン』 ヴィクター・パパネック著 / 晶文社 (1985年)
『生きのびるためのデザイン』の著者が、資源の浪費や環境破壊を最小限にして、ハンディキャップのある人や新興国の人も対象とするデザインの実践方法として「生態学的デザイン」を提唱する一冊です。
Q3.デザイナーは、豊かな暮らしを提案する仕事?
産業社会・消費社会において、高価なモノを所有することや、大量のモノを消費できることが豊かさのように扱われています。モノを作ることを通して人々の行動変容を促す力を持つデザイナーは、その豊かさの定義を見直す倫理的・道徳的責任や、環境に対する責任を担うことができる職業です。
6.『日用品のデザイン思想』 柏木博著 / 晶文社 (1984年)
デザイン評論家の著者が、現代のメディアが広告やモノを通じて喧伝する“豊かな生活様式”は、地域や時代との繋がりのない単なる使い捨ての虚構の生活様式であることを指摘する一冊です。モノが使用価値ではなく単なる記号として消費されることは豊かさなのか、と問題提起します。
7.『デザインの20世紀』 柏木博著 / 日本方法出版協会 (1992年)
前述の『日用品のデザイン思想』の著者が、19世紀に始まるモダン・デザインから、第二次大戦前のイデオロギー闘争を経て、戦後の消費社会に至るまでの歴史を振り返る一冊です。テクノロジーの発展により時代の転換機となり得る現代こそ、「理想の社会をデザインする」ことを目指して未完に終わったプロジェクト「モダン•デザイン」を見直すタイミングであると主張します。
おわりに
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