コロさん日記(11)〜新しいトイレを使ってよの祈り〜
猫はニンゲンの言うことを聞かない。
というのは今や猫飼いでなくとも、常識かと思う。試しに「猫」「言うこと」「聞かない」といったキーワードでググってみると、いかに猫がニンゲンの言うことを(往々にして犬と比べて)聞かない生き物であるか解説するサイトがごまんと見つかる。
猫たちが狂喜乱舞して飛びつくと謳われる魚のオモチャを買ってみたところ、一瞥さえくれない。茶トラ猫が楽しげに遊んでいる画像のついた、じゃらしが自動でぶんぶん振り回される装置を配してみたところ素通りされる。かと思えば、抜け毛を集めて丸めただけの経費ゼロの鞠には火がついたように反応して、延々追いかけ回したりする。
そういった猫飼いたちの悲喜交々のエピソードは枚挙にいとまがない。
まったく読めない。猫だけは。
コロさんはもうだいぶ歳なので、あまりオモチャで遊んだりはしない。それでも好き嫌いはかなりあり、今回コロさんのために猫トイレを新調することになって、我が家のヒト亜族は男も女も、果たしてコロさんがちゃんと使ってくれるのか戦々恐々としていた。
なぜなら、それなりに値がしたからである。
猫たちはオモチャと同じく、トイレについても選り好みする。せっかく新調したトイレには見向きもせず、結局もとのオンボロトイレを使い続ける羽目になることなど、ざらである。猫たちにはもちろん“銭”という概念がないので、ニンゲンがどれだけ身銭をドブに捨てようが涼しい顔だ。
猫に何かを買い与えるというのは、これおしなべて博打である。
これまでコロさん用に使っていた猫砂は、ものすごく粒度が細かい鉱物系だった。この“エバークリーン”は砂糖に群がるアリのごとくびっしりと糞尿を包み込み、臭いを封じる優れもので、猫砂も無駄にならないので家計的にはたいへんありがたいのだが、あまりに粒が細かすぎて、肉眼では見えない猫砂がフローリングに散らばるのが難点だった。そのため裸足で床を歩くと、足の裏がザラザラになってすごく不快である。
そこで同居人たるヒト亜属(女)は考えた。カバーが付いているタイプの猫トイレなら、砂粒が外に散らばりにくいはずだ。そしてこういう時だけ発揮する異様なまでの集中力でもって、最安値のショップをネットの深海の中から探りあて、祈りを込めて購入したのである。
果たしてコロさんは、この新しいトイレを使ってくれるのだろうか。
続報を待たれし。
(第12話へ)
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寄稿ライターさんたちの他でのお仕事も。ラノベ作家の蛙田アメコさんがメインライターを務めた、貴銃士育成モバイルRPG『千銃士R』がリリースされたそうです!これは絵柄といい、ヒットしそうだなあ…
最後に編集長の翻訳ジョブも。eスポーツでおなじみ『リーグ・オブ・レジェンド』初のNetflixアニメ作品『アーケイン』を見ましたが、これはクオリティやばいですね。不肖私が翻訳しました同ゲーム初のノベル作品『ガレン:一番盾』も熱いのでどうぞ!
これもう猫めっちゃ喜びます!