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書評 破滅 ー 梅川昭美の三十年 何故か惹きつけられる凶悪犯罪の記録・・・

五十路のおじさん、ばっどです。

破滅 ー 梅川昭美の三十年
毎日新聞社会部編

昭和54年1月26日。
令和の今をもってしても、その異常さは未曽有といえる凶悪犯罪が発生した。三菱銀行北畠支店 猟銃強盗人質事件。

現金の強奪に失敗した犯人の梅川昭美は、駆け付けた警官のうち1名を所持していた標的射撃用散弾銃で射殺。
行員、来店客40名を人質に42時間にわたり立て籠もり、うち4名意を死に至らしめたのみならず、ちょっと書くのも憚られるような猟奇的な残虐行為を人質に対し働く。
最終的に梅川は突入した警察官に射殺され事件は、一応の終息をみる。

そんな事件を梅川の一生を追うことで事件を解き明かそうという試みが本書である。
たぶん20年以上前に買った本なのだが、数年に1回は読み返している。
なんとなく読み始めると止まらくなる、奇妙な引力がある本である。

覚えているのはテレビ局が銀行に張り付いての生中継が、通常の番組をすっとばして放映されたこと。
たしか最後の警官隊の突入もオンエアされていたんじゃないかと思う。
当時我が家はテレビのある居間と食堂は完全に別の部屋だったのだが、この時ばかりはウチの両親も居間に食事を運んでテレビに張り付いていたような記憶がある。
事件がちょうど金曜から日曜にかけて発生したためでもあろう。

この本を読んだからと言って、結局何がわかるでもないのだが、梅川が15歳で金欲しさに強殺をしていたことはこの本を読むまでは知らなかった。
強殺以前の少年時代や、大阪に出てきてからの暮らしぶりを丹念に追っている部分も読みごたえがある。

経済的に恵まれていたとはいえず、いわゆる普通の家庭のように親に構ってもらえなかった少年時代ではあるが、そんな人はいくらでもおったであろう。
どうして梅川は普通なら想像することも能わないほどの凶行に突っ込んでいったのか?
わかるはずもないが、何年かに一度、つい読んでは考えてしまう。

ちなみに、何か役に立ったりとかいう事は全くない本なので、全くおススメではありません。
絶版ではなく、今も買えるようではあります。

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