ブランドとは何か



ブランドとは


ブランドの定義

ブランドとは、製品やサービス、あるいは企業そのものに対する顧客や社会の認識やイメージを表す概念です。一貫性のあるブランド戦略を持つことで企業のアイデンティティを明確にし、顧客に対して信頼感を与えます。

また、ブランドに対する認知〜共感までの4つの評価基準を「ブランドエクイティ」と呼び、ブランドの資産価値や総合的な質を段階的に表すことができます。

ブランド認知
認知というのは、その名の通りブランドが認知されている度合いのことをいいます。顧客が知っているブランドであれば、より安心感があり、選択される可能性はより高くなります。

ブランド連想
ブランド連想とは、顧客がブランド名を聞いたときに連想できるすべてのものを指します。既存のイメージが存在しなかったり、悪いイメージが定着している場合は、ブランドの一貫性を高め、いいブランド連想の定着を計る必要があります。

知覚品質
知覚品質とは、顧客が持つブランドの実際の品質やパフォーマンスに対する認識を指します。知覚品質は、品質や機能に対する理性的な評価と、感情的な評価の2つに分けられます。

ブランドに対する共感
ブランドへの共感は、4つの要素のなかでも特に重要な要素です。顧客へアイデンティティが浸透し、ブランドへの忠誠度や愛着度が高い状態であれば、継続的に購入したり利用したりする割合が高まります。


なぜブランドが必要なのか

現代では、ブランディングの重要性は急速に増加しています。それは時代の流れを見ると明確になります。

1980年代では、とにかく物が不足しており、物の価格やスペックなどが重要視されていました。しかし、2000年頃からは技術や生産力の向上により、品質の良い物が手頃な価格で入手可能になることで、消費者の関心は単なる「機能性重視」から、他者と差別化された商品や権威性のある商品を求めるなどの「デザイン重視」に移行していきました。

現代では、新型コロナやSNSの発達が貢献し、消費者の興味は企業の存在意義や、その商品が持つ意味、サービスを通じた感情・体験の共有などの「共感重視」に移り変わっています。この約40年間の歴史を見ると、消費者の関心が物の機能性から徐々に人間の内側にある部分に焦点を移し、ブランディングの役割が拡大していることがわかります。


ブランドの目的を考える

顧客の興味が「共感重視」に移行しているからこそ、企業側も思想や価値観を軸としたコミュニケーションが必要になります。

ブランドの目的を考える時には、お金を稼ぐこと以上に「この会社は何のために存在しているのか」「何のためにこの事業をやっているのか」そのような軸が通っていなければ組織が有機的に動くことも、消費者の購入意欲を高めることも難しいでしょう。

顧客に共感されるブランドの目的を定義することで、顧客は自らの信念に従って自社ブランドを選ぶようになります。これにより、顧客と深いつながりを築くことが可能です。


ブランドを作る


ブランドコアを定義する

ブランドコアとは、ブランド戦略の最も上位に位置する概念で、そのブランドの中心にある思想や価値観などから構成されるブランドの核です。これにより、ブランドの基盤となる要素を明確にし、一貫性のあるブランドメッセージを発信することができます。

また、ブランドコアを定めた時点で、経営層が満足してしまっているケースも少なくありません。共感を得られるように設計した上で、Webサイトで開示するなど、社内外に浸透するような施策を行い、ブランド体験を適切に管理していくことが大切です。

ブランドコアは、ブランドの中に必ず存在します。まずはブランド創設者や社員、顧客に話を聞きながら考えてみましょう。

パーパス(目的)
企業・ブランドがなぜ存在するのか。社会にとっての存在価値

ミッション(使命)
ブランドの目的を実現するために、何を成すべきか。

ビジョン(将来像)
ブランドが事業を続けていくことで実現を目指す社会像

バリュー(価値観)
ブランドにとって大切にする価値観、行動基準


ブランドアイデンティティを定義する

ブランドアイデンティティは、ブランドコアから派生する「そのブランドらしさ」を意味します。ブランドにこうなって欲しい、これが相応しいという考え方を言語化します。

ブランドアイデンティティを明確化することで、社員が企業やブランドの魅力を言葉として把握できるようになり、顧客に対してブランドの魅力を正しく伝えることが可能です。

縦軸は、企業側の意思で創り上げるもの、もう一方は顧客側が主観的に持つイメージを置きます。横軸は、ブランドの外部に発信したり伝達する外的要素、もう一方は社内で浸透させるマインドや姿勢などの内的要素となるように各要素を配置します。

パーソナリティ
ブランドを表現する時の人格、性格。

カルチャー
ブランドの価値観から生じる企業文化や環境など。

セルフイメージ
顧客がブランドと接した時、ブランドに対してどのようなイメージを持つか。

ブランドの物理的特徴
パッケージやロゴなどのデザイン的要素やサービスや商品の印象など。

顧客とブランドの関係性
ブランドが顧客に対して、どういう役割を担っているかという関係性。

ブランドのターゲット
性別・年代などの表面的な情報だけではない心理的な特徴やライフスタイル。


スターバックスから学ぶ

スターバックスは「コーヒーを売ること」ではなく「人々の心を豊かにすること」を目的とし、自社のコーヒーショップの価値を、「心地よい店内空間」「スタッフ一人一人のオーナーシップ」と定義しています。

さらに、心地よい店内体験を徹底するために監視カメラは最小限にし、質の高いコミュニケーションができる人材育成を行いました。商圏を絞り、マス層向けのテレビCMなどの宣伝は行わず、経済情勢の影響で他店が値下げをせざるを得ない中、ブランド価値を維持するために一切値下げをしなかったことでも有名です。

そういった一貫したブランドの姿勢が顧客や従業員目線で「スターバックスでなければ」というファンベースを作り出しています。


ブランドを反映する


定義したアイデンティティやデザインは、名刺やWebサイトなどの、企業と顧客をつなぐコミュニケーションツールに反映しましょう。

Webサイト
Webサイトは、ブランドのコミュニケーションツールとして最も重要なチャネルです。WEBを通じて、企業の使命や価値観を伝え、顧客や投資家との間でブランドに対する共感や信頼を築くことができます。また、企業の価値観をリアルかつ魅力的に伝えることで、優れた人材の吸引や応募率の向上に寄与します。

SNS
SNSは、ユーザーとのコミュニケーションを図る重要なツールです。自社の商品・サービスに関する最新情報の発信やユーザーとの活発な交流を通じて、ブランド認知度や顧客満足度を向上させる役割を果たします。

広告
広告には、オンライン広告とオフライン広告の両方が含まれます。GoogleやSNS、LPなどのオンライン広告だけではなく、看板、地域のイベント、印刷メディアなどのオフライン広告に対しても、アイデンティティを浸透させることで、ブランドの一貫性を再現します。



お気軽にご相談ください

弊社では、企業の根幹にある価値観を軸にしたブランド開発やデジタル領域のデザインの開発を行なっています。ブランドやデザインの活用にご興味をお持ちでしたら、弊社までお問い合わせいただけますと幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?



この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,083件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?