マガジンのカバー画像

37
運営しているクリエイター

#創作童話

四本足ちゃん

四本足ちゃんを作りました
どんどん どんどん 作りました

四本足ちゃんには頭があります
頭は一つのことを一生懸命に考えて
一つのことを一生懸命に見ます

四本足ちゃんには体があります
体は四本の足をしっかりつかんでいます
外れてしまわないように
まっすぐに動くように

四本足ちゃんを動かすのは本体のワタクシです
昔のワタクシは四本足ちゃんをたくさん持つことが
とっても良いことだと思っていましたが

もっとみる
生まれてきてくれてありがとう

生まれてきてくれてありがとう

大きくなったあなたは色々な人に出逢います
出会った人は思います
「あなたはなんでもできる人だ」
「あなたはなんでも知っている人だ」
「あなたは人の気持ちがわかる人だ」
「あなたは人の心の傷を受け止めてくれる人だ」
「あなたは人を笑顔にしてくれる人だ」
「あなたは自分の心の声に正直な人だ」
生まれてきてくれてありがとう

むかしに遡ってみましょう
あなたは山の麓でおばあちゃんと二人で暮らしています

もっとみる
絵の中のひと

絵の中のひと

おそらく 誰の心の中にも 美術館が あるのだと思う
そのひとは一枚の絵の中にいた
高い天井からさらさらとさがっている幾重もの布
まるでスポットライトのように
一段高くなっている 円い場所を包んでいる
円い場所の真ん中にある椅子に そのひとは座っている
深い色の 短い髪のそのひとは 微笑んでいる
優しそうに
愉しそうに
安堵したように
円い場所を遠くから囲むように 幾つもの太い円柱があり
その影から

もっとみる
あっちゃん

あっちゃん

あっちゃんはわたしの幼馴染
物心ついた頃には一緒にいた
同じ幼稚園
同じ小学校
同じ中学校
同じ高校
働き始めると飲みにいき
ときどき家に泊まりに行った
でも わたしがあっちゃんと一緒にいて心から笑っていたのは
たぶん小学校一年生の頃までだったと思う
カセットデッキの前で二人で笑い転げながら漫才をした
本当に楽しかった
あっちゃんは握力が強かった
家の庭にあった鉄棒に何十分もぶら下がっていられたん

もっとみる

わたしはシロちゃんです

わたしの名前はシロちゃん
わたしがお世話をされているようでしている
飼い主はあなた
あなはわたしにメロメロなんです
わたしがつまらなそうに下を向いてると
「どうしたの?シロちゃんあそぼ」
と声をかけ
わたしが髪の毛をつんつんしても
「あらあらシロちゃんあそびたいのね」
と受け入れ
わたしが窓辺に佇んでいると
「ほんとうに可愛いわねぇ」
と見惚れて
時には絵に描いたりします
わたしは思うのですが

もっとみる
こころのおもっちゃん

こころのおもっちゃん

ここにいるのは こころのおもっちゃん
もちぬしは えみちゃん

こころのおもっちゃんは どんどんふえるし
ちぎっても ちぎっても 全然へらないから

えみちゃんは
こころのおもっちゃんをどんどんちぎっては
いろんなところや いろんなひとに
ペッタンペッタンと おいていくの

生まれたおうちの 畳の上
パパさんの肩の上
パパさんが大切にしている畑の真ん中

おもちのようなこころのおもっちゃんは ペッ

もっとみる
無題

無題

ある村のトウモロコシ畑の真ん中にひとつの種がおちました

その種は土からたっぷり栄養をもらい小さな芽をだしました

とうもろこしの間からもれる陽の光をたっぷりあびて

葉っぱや茎がぐんぐん育ちました

陽の光にみちびかれるように

ぐんぐん伸びて

とうもろこしをおいこして

大きなひまわりの花を咲かせました

ひまわりの花は太陽が大好き

太陽の愛をたっぷり浴びて

太陽の愛

もっとみる