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無題

ある村の トウモロコシ畑の真ん中に ひとつの種がおちました 

その種は土からたっぷり栄養をもらい 小さな芽をだしました 

とうもろこしの間からもれる 陽の光をたっぷりあびて 

葉っぱや茎がぐんぐん育ちました 

陽の光にみちびかれるように 

ぐんぐん伸びて 

とうもろこしをおいこして 

大きなひまわりの花を咲かせました 

ひまわりの花は太陽が大好き 

太陽の愛をたっぷり浴びて 

太陽の愛にみちびかれてそだった 

その大きなひまわりの花には

 たくさんの鳥や虫があそびにきます 

ある日 

とうもろこし畑のもちぬしは 

収穫したあとの畑を 

お花畑にすることにきめました 

とうもろこしの茎をくだいて土に混ぜ 

ふかふかの土をつくり 

たくさんのお花のたねを植えました 

ゆり バラ すみれ チューリップ 

つばき あじさい クロッカス 

すずらん ダリア カーネーション 

ききょう アネモネ ラベンダー 

つつじ すいれん せんにちこう 

ガーベラ パンジー スイートピー 

ぼたん サルビア クレマチス 

しゃくなげ しゃくやく ヒヤシンス 

きく あさがお ライラック 

おおばこ ばしょう ほとけのざ 

ふかふかの土に包まれて 

つちの栄養をたっぷりすって 

たねたちは 

芽を出し 

葉を出し 

茎をのばしました 

陽の光をさえぎるものはありません 

ぐんぐんぐんぐん伸びました 

とうもろこし畑だったその場所は 

大きなひまわりの花をまんなかに 

たくさんの花が咲くお花畑になりました 

ある日ひとつの花がいいました 

「まわりはきれいな赤い花 わたしも赤い花になりたかった」 

次の日他の花がいいました 

「となりはとってもいい匂い わたしもその匂いがほしかった」 

それならばと花の声がつづきます 

「ほんとはわたしは もっとたくさんの花びらがほしかった」 

「背の低いわたしには太陽の光がとどかない」 

「わたしのところにはぜんぜん蜂さんがきてくれない」

 花たちから笑顔がきえました 

それをみた大きなひまわりの花がいいました 

「みんなもわたしもいっしょだよ 

ふかふかな土の大きな愛に包まれて 

芽を出しぐんぐんのびてきた 

太陽の光をあびてのびてきた 

それぞれの色はみんなの個性 

それぞれの形はみんなの個性 

それぞれの匂いはみんなの個性 

『みんなちがってみんないい わたしもね』

 今この瞬間をつかまえて 

大きく綺麗に咲きましょう」 

大きなひまわりの言葉をきいて 

花たちに笑顔がもどりました 

「あなたの赤い色すてきだね わたしの青色もきれいでしょ」 

「あなたの匂いはいい匂い わたしはとってもいい気分」

 「あなたの花びら綺麗だね みているだけで楽しいよ」 

「わたしのところに陽の光がさすこの時間 めいいっぱいうけとろう」

 「蜂さん蜂さん どうぞわたしのところにもいらっしゃい」 

大きなひまわりの花をまんなかに 

色とりどりの花たちは 

ふかふかな土と陽の光につつまれて 

今日も穏やかにじぶんの花を咲かせています 

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