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【七夕】一年ぶりに会ったら驚愕の再会だった~織姫と彦星【創作・コメディ】

今日は七夕。
愛しのオリオリと年に一回会える日。
彼女に会えない日はどうしてたかって?
それは言えん。
ま、向こうにも言えないことの一つや二つあるだろう。
年に一回しか会えない彼女オリオリと、七月七日を除く多くの日にデートしている別の星カノと、もはやどっちが本命なのかわからない。
年に一回会ってるだけのオリオリって、もはやセフ……おっと、そんなことを考えたりする時も正直ある。

しかし、オリオリとは長い付き合いだ。
俺たちは織姫と彦星という名でも知られ、アルタイルとベガという名でも知られている有名カップルだ。
破局したらネットニュースで騒がれるどころか、オリオリではない星カノの存在まできっと遡って暴露されてしまう。
オリオリは無邪気で可愛いところもあるし、他に星カノがいたとしてもそこはまた別格の感情だってある。
そんな事を考えながら天の川のほとりで待っていると、見知らぬ美女が駆け寄って来た。

「彦ぽん、ごっめ~ん☆彡遅れちゃってぇ☆彡」

……え? この声はオリオリ……。
でも顔が違うぞ……?


「あ、彦ぽんに言ってなかったけどぉ、オリオリこの一年で整形したのぉ☆彡ほら、目もくっきり二重だし~、涙袋も作っちゃったし~、鼻にもプロテーゼ入れてスッキリだし~、唇もヒアルロン注射でぷっくりリップにしたんだあ☆彡ダウンタイム間に合って良かったあ~☆彡」


……マジ!?
た、たしかに顔は違えど声はオリオリ……。
え、これモニ〇リングとかじゃないよな!?


「それだけじゃないんだよ~、ほら、オリオリって貧乳だったじゃん? 脂肪注入で、見て見てDカップになったの~☆彡」


……うそだろっ!!
俺は貧乳派なんだよ!!
ちょこんと慎ましく乗っかってるカンジの乳……もとい、胸が好きだったのになんだこの肉肉しい胸は!!

俺が呆然としていると、オリオリが俺の顔をじっと覗き込んできた。
オリオリは首をかしげると、呟いた。


「ていうか、彦ぽんもなんか変わってない? 肌キレイになってない?」

「ああ、今流行のメンズメイク。メンズ用のファンデ使ってんの最近。結構自然でしょ? 日焼け止めと変わんないのに肌キレイに見えるんだよな」


するとオリオリは、苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てた。


「え、男がメイクとかキモ。オリオリそういうのちょっと無理だわ」


おいー!!!
お前のやったそれはメイクどころか原形変えてるだろ!!
それはアリなのになんで俺のメンズ用ファンデは許されないんだよ!!
やばっ!!
その思考やばっ!!


そして俺たちは別れた……とは、ならなかった。
まあ、最後のデートになるかもしれないしと街を歩いていると、

「あの女の子めっちゃ可愛い~。モデルみた~い」
「カレシもイケメンじゃね? 清涼感あっていいよねー」

と周囲から声が聞こえ、気を良くしたオリオリは
「メンズエステとかメンズメイクもアリだよね~☆彡彦ぽんたしかに前よりイイ感じになったし~☆彡肌質違って見えると全体の印象変わるもんね~☆彡人からの見られ方に気を遣ってる彼氏って素敵だし~☆彡」
と、掌返し発言ですっかり気を良くしたのだ。

俺はというと、オリオリの最初の反応を知っているだけあって微妙な気持ちだったが、まあ長い付き合いだし、なりたい自分でいるってことを認め合えるならそれもいい関係だよな、と自分を納得させることにした。

ま、メンズファンデは別の星カノが
「彦星君、今はこんなのもあるんだよ。ひと塗りしただけで結構違うよ! 日焼け止め効果もあるし使ってみる?」
ってプレゼントしてくれたんだけど。

それは内緒。

【END】

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