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poetry

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#口語詩

苦行の上に咲く花

苦行の上に咲く花に想いを馳せてみたのです それはそれは想像もしえぬ 色の無い花でした それ…

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瞼の裏に住んでいた少年

見ることが出来なかった。 それは、物理的にではない。 この目は確かに目の前に映る机と、風に…

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自分ではオレンジって言ってたけど、おそらく紫のような気がするんだよね。 君の唇から漏れる…

4

夕日、影

連なる山々と浮かぶ雲の間に一つの沈み行く夕日が見えた。 その光景を仮に切り取ったとするの…

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見知らぬ森に迷い込んだ羊

一匹の羊が、見知らぬ森に迷い込んだ。 首を右へ左へ小さく揺らしながら、恐る恐るその一歩を…

2

明日を待ってる

薄明かり公園の電灯の下 静かに開いた本の中に 浮かび上がった一言 それが何かは思い出せない…

4

相対的な世界に生まれたレジスタンス

男は道端に落ちていた誰かの希望を見つけた。 優しく拾い上げて、一言「ごめん」と言った。 罪無きものが有らぬ刑を課せられて、途方に暮れて立ち尽くしている。 本当は誰もがいつだって、好きな歌を歌っていいのに。 一体、何が出来るというのだろう。 捨てられてしまった名も無き愛を掻き集めることか。 それに名前をつけて、声高らかに叫ぶことか。 限りある想像力を超えていこうとすることか。 悪にでもなる覚悟を持つことか。 耐えることない誰かの悲しい泣き声は、今も確かにこの街に鳴り響いてい

忘我に沈め

何も始まっていなかった この間、終わったつもりでいた人を見たよ どこか視線は虚ろで、握る手…

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解けた首輪とペティグリーチャム

あの日窓ガラスは水滴に溢れて 待ち遠しかった 外は雪模様 扉が空いたら カラカラと音がし…

3

虚空の彼方へ

過去に憧れる自分が映る その水面に あぁ 風が吹く でも 命の最初を見つめても そこには何…

3

巡り巡る創造なき世界 掠れゆく憧憬 消え行く彩り それでも尚 残された心緒が 行く宛も知れ…

5

全てのものが自らの生を堪能できる世界

拭い切れぬ潜む虚空と、汗ばむ体の間に佇む空間は、何処か居心地が悪そうで、申し訳程度に温も…

9

舞い降りた曲と花の間に

突然舞い降りた衝動が 一編の曲を生み出した 身体に流れる音楽が外界に飛び出た時 そこに一輪…

4

見慣れた景色が変わる時

コンクリートの隙間から雑草が生えていた それはきっと僕の気分がよかったから 登る朝陽に目が眩んだ それはきっと僕が動物だったから 笑っているあの子が気になった それはきっと僕が恋をしていたから 窓ガラスに付着してる結露に心奪われた それはきっと僕が美しいという概念を取り出したから いつもの帰り道にふと涙が溢れた それはきっと僕と世界に終わりがあることを知ったから もう一度ギターを弾きたくなった それはきっと僕が過去を取り戻したかったから 昔、無くしたものを思い出し