見知らぬ森に迷い込んだ羊
一匹の羊が、見知らぬ森に迷い込んだ。
首を右へ左へ小さく揺らしながら、恐る恐るその一歩を進めている。
そうだ。
改めて言っておくほどのことでもないが、これは、もちろん、見知らぬ森かどうかは羊本人にしかわかり得ず、その羊の挙動不審な様子を見て、「おそらく知らない森に迷い込んだのだろう」という、僕の仮説の域を超えない話である。
この羊と会話でも出来たらいいのだけれど、あいにく羊の言葉はわからないし、羊もまた僕ら人間の言葉はわからないのだから、それを確かめる手段もない。
そもそも