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movie 『アニメーションの神様、その美しき世界』

『アニメーションの神様、その美しき世界』ユーリ・ノルシュテイン監督


君に連れられて夜の映画館。

上映時間はもうすぐで、歩道橋の上を走った。道路は車のライトでキラキラしていて、私の手を引く君の呼吸もキラキラしていた。

なんとか間に合った映画館は赤い幕が下りていて、贅沢にも空席が多い。2つ隣のおじさんが咳払いをする。君が缶を開ける頃、館内は暗くなる。

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『25日・最初の日』

社会主義を彷彿とさせる赤が目を焼きつくす。目の前を駆け抜けていく映像に、私の思考も脳内の隅々を駆け巡っていた。

この映画の感想を聞いて、図らずも私は君の心の綺麗さを再確認してしまった。


『ケルジェネツの戦い』

ノルシュテインは、「この作品で重要だったのは平面で空間を作り上げたこと」だと言う。

本当にその通り。切り絵の映像は平面なのに立体的で、そのすごさに私は圧倒されるしかなかった。


『キツネとウサギ』

キルトの毛布の上で繰り広げられているような映像。キツネに家を奪われて取り返すウサギの物語。

ウサギはギターみたいなのを弾いていてとても可愛い、しかも上手い(笑)キツネの氷のお家はとてつもなく美しく、ナイフとフォークを投げ捨てて助けに行っちゃう狼はいい感じにキュートだった。

「色々な動物に次々と戦わせるも負け、しかし最終的には勝つ」みたいな童話によくある流れ。でもそのお決まりパターンの無駄な感じが、私はたまらなく好き。


『アオサギとツル』

アオサギとツルの恋のお話。二人ともツンデレすぎるよ。結局イチャラヴにはならず、ツンデレしあったまま終わってしまった。

しかし、この後の世界でも二人はツンデレし続けてるんだなとなぜか知っている。映画が終わっても物語の続きが見えるなんて、素敵な構成に脱帽だ。


『霧の中のハリネズミ』

霧の中で「はっ?はっ?はっ?」って落し物を探しているヨージック、かわいすぎるよ・・・。

ヨージックはいつでもぼんやりしていて、それをクマが心配して怒っているのが微笑ましい。

大冒険の後、最初にヨージックが想定していた通りの会話が、クマとヨージックの間でテンプレのようになされる。話をするクマを横に、霧の中の白馬に思いを馳せているヨージック。全てが愛おしすぎるね。

そして「この世界は本当に存在する」と思わずにはいられないようなリアリティ。ため息が出る程に美しい映像。霧の中の木に至っては、実写かと見間違えてしまった。アニメだと理解した瞬間、思わず感嘆の声が漏れた。


帰り道にずっとヨージックの真似してる君も可愛かったな。


『話の話』

全てのシーンが断片的な記憶のままフィルムに焼き付けられたような映画。温もりを感じる手触りなのに、どこか冷たくもあるノスタルジックな情景。縄跳びを飛ぶ女の子、踊っていると男性が消える戦争の暗示、紙をとったら居る赤ちゃんをあやす狼、、、。

果てしなく詩的で、どこまでもくるくるしている。


見終わった瞬間に「もっかいみたい」と思った。

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映画に見入る私の顔を、君はチラチラと盗み見る。

そんなに心配しなくても、私はこの映画がすごく好きだった。


そして同時に、君のことをますます好きになっていた。


君がこの映画を好きだから。




映画みたいに映画を見た日。

コンテクストも含めて、特別な作品。


ばばみお

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