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ゆとり教育と先の見えない大学受験改革

みなさんは「ゆとり教育」という言葉をご存じと思いますが、具体的にいつどのように「ゆとり」だったのか、あまりご存じないのではと思います。

むしろネガティブワードとして「これだからゆとりは・・・」というような言葉がはやったので、そのような印象の方が強いと思います。

では実際どのようなものだったのでしょうか?


2002年度の学習指導要領改訂で大幅な学習内容の削減や休みの増加があり、メディアがこの教育を受けた世代を「ゆとり世代」と呼び始めました。


一般的には、ゆとり教育は2002年(平成14)の学習指導要領改訂から8年間を指すと言われています。
(実際は1990年ごろから徐々に始まっていた)

この期間、学校の完全週5日制が始まり、小中学校のカリキュラムがなんと3割削減され、その分は高校に回されました。

円周率を3でOKと教えている、という話が広まったのもこの頃です。
実際は教科書には3.14と書いてあり、大手学習塾の広告による誤解が広まったためと言われています。

しかし国際的な学力調査のスコアが下がるなど、実際に弊害が目立つようになり2011年にこの施策は終わりました。


さて、私の子供は少し前に中学受験を経験しとても大変でしたが、さらに今年は史上最高に近い中学受験率に達したというニュースを見ました。
都市部では競争相手が増える一方という非常に厳しい受験となっており、あと数年はこのような状況が続くそうです。

ところで、中学受験がいつからこのような加熱状況になったのか確認してみたところ、面白いことに気づきました。


バブル期に上昇した受験比率はその後の景気後退でいったん下がりますが、2000年ごろから8年間上昇し続け、2008年のリーマンショックで後退し、2016年から現在まで再び過熱しています。

多額の費用がかかるため景気の動向に大きく左右される中学受験率ですが、2000年と2016年ごろに急に景気が良くなったとは聞きません。
小泉政権の構造改革やアベノミクスなど、景気の上昇がなかったわけではありませんが、さらに別の強い要素があったと言われています。

その理由として挙げられているのが下記です。

2000年
「ゆとり教育による小中学生の学力低下を恐れた親が、子供を中学受験に向かわせた」

2016年
「大学入試改革によって進学が危ういと感じた親が、子供を改革への対応が見込める学校に向かわせている」


ゆとり教育は子供にとってはうれしい制度だと思いますが、親からすると心配の原因にしかならなかったようです。
確かに勉強の内容が3割も減ったら、少しできる子ならきっと楽過ぎて遊んでしまいますよね。

ゆとり教育ではない現在でも、小学校高学年のカリキュラムは成績上位2割くらいの子にとっては簡単すぎると思います。

ただでさえ子供に勉強させるのは本当に大変なのに、学校自ら子供に遊んでいいよと言っているようなルール変更をされたら、家庭が子供の将来を心配して中学受験に乗り出すのは当然と思います。

そして、今進んでいる「大学入試改革」に対応しなければと考える親が、同じように家庭主導で子供の教育を積極的に進めています。
ちなみにその大学入試改革はすでに失敗説が出ていて、実際どうなるのかよくわからないのですが、良くない雰囲気が強く感じられます。

(ちなみに私はいくら調べても、結局今後どうなっていくのか把握できませんでした・・・。詳しい方がいたらぜひ教えてください!)

文部科学省の有識者会議は、2025年以降の大学入学共通テストでの英語民間試験の活用と記述式問題の導入について「実現は困難」と提言しました。


「ゆとり教育」と「大学入試改革」が同じような経緯をたどっていると感じるのは、私だけでしょうか・・・?

まるでデジャブじゃないかと思うくらい、2つの改革が同じような失敗を繰り返すのではと感じられてなりません。
実際に学生の子供を持つ身としては、思いつきとしか思えない詰めの甘い改革とやらに振り回されるのは本当に困ります。

しかもここ20年で2回も失敗したとなれば、責任を取って担当部門を総入れ替えくらいしてほしいと思います。(したのかもしれませんが・・・)

教育制度のようなとても大事なルール変更は、目先の何年ではなく何十年単位の視野を持って進めてもらいたいと思います。
何とかうまく進めてほしいですね。


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