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2月18日、東京ドームで。

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土曜深夜1時。
みなさんは、毎週どんなふうに過ごしているだろうか?
おそらく、眠りについていると答える人が大多数だろう。

しかし、そんな寝静まった深夜1時から始まる、あるラジオ番組を生きがいにしている人たちが、この世の中にはたくさんいる。
そんなリスナーたちが2月18日に、東京ドーム、全国の映画館、オンライン配信、各々の場所に集まり同じ時間を共有した。
その数は、総勢16万人を超えた。

16万人が固唾を飲んで見守る中、東京ドームに姿を現したのは、オードリーの二人だった。
若林さんは満員の観客に向かって「今日はラジオをやりにきました!」と言い放った。
そして、東京ドームのど真ん中に設置されたラジオブースに座った二人は、いつも通り喋り始めた。
その瞬間、東京ドームが巨大なラジオブースに変わった。

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オードリーのオールナイトニッポンにメールを送るようになって、6年目になる。
この長い投稿人生の中で、オードリーのオールナイトニッポンがきっかけで様々な出会いがあった。

僕が初めてリトルトゥースと出会ったのは、2021年の夏だった。
もう卒業してしまったが、自分が生まれて初めて好きになったアイドルがいた。
その子のライブによく通っていたのだが、ある日のライブ終了後、彼女が興奮気味に僕にこう話しかけてきた。

「ねえねえ、ブーメランチャンネルー!オードリーのオールナイトニッポンでメール読まれてたからビックリしたよー!えっ?えっ?ブーメランチャンネル?ってなったよー!!」

当時オードリーのラジオを聴き始めた彼女が、番組を聴いていたら突然僕の名前が出てきたのでビックリしたと言ってくれた。
普段ラジオネームなんて隠して生活しているから、こうやって「オードリーのラジオで読まれてたね!」と声をかけてもらう経験が初めてだった。
だからあの時、本当に嬉しかった。

名古屋にライブを見に行って、たまたまチェキを撮ったアイドルが偶然リトルトゥースだったなんて事もあった。
飛び跳ねるように驚きながら「本物ですか!?握手して下さい!」と言ってくれて、握手しながらツーショットチェキを撮ったのもいい思い出だ。

遠く離れた北海道のリトルトゥースのアイドルとの運命的な出会いもあった。
SNSがきっかけで出会い、実際に直接初めて会いに行った時にラジオネームを伝えたら「えーーーー!!」と信じられないぐらい大きな声を出してビックリしてくれて本当に嬉しかった。

東京でも素敵な出会いはあった。
noteの文章が好きで会いに行ったアイドルが偶然リトルトゥースで、僕のラジオネームを知ってくれていたという嘘みたいな本当の話もあった。
その子とオードリーの話をするのが本当に楽しくて、今でもよく会いに行っている。

他にもリトルトゥースのアイドルとの出会いはいろいろあった。
その一つ一つの出会いが、全て奇跡みたいな巡り合わせだった。

アイドルとの出会いだけではない。
オードリーのオールナイトニッポンでメールが読まれるたびに、SNSのフォロワーもどんどん増えていった。
これだって一つの出会いだと思う。
SNSがきっかけで実際に直接会った事のあるリトルトゥースだっている。
同じラジオを聴いているという共通点があるから、どのリスナーとも一瞬で仲良くなれた。
これこらもイベントとかがあったら、フォロワーのみんなとは是非直接会ってみたい。
なぜなら僕らは、ラジオを通した「おともだち」だから。

このラジオを通して本当にたくさんの出会いがあった。
それは僕だけではなく、このnoteを読んでいるリトルトゥース一人一人にも、ラジオを通した素敵な出会いがそれぞれあったと思う。
全員に共通して言えるのは「オードリーのオールナイトニッポンが好き」という気持ち。
その気持ちだけで、僕たちリスナーは全員心が繋がっているのだ。

そんなオードリーのオールナイトニッポンを通して心が繋がりあった全国のリトルトゥースたちが、2月18日に大集合する事になった。
オードリーの二人から指定された待ち合わせ場所は、オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドームだった。
現地組、ライブビューイング組、配信組、様々な場所で同じ時間を共有するために、みんなが予定を空けてその日が来るのを楽しみに待っていた。

人気番組という事もあり、当然チケットは争奪戦となった。
僕は残念ながら東京ドームのチケットが取れなかったため、ライブビューイングのチケットを買っていた。
でもどうしても諦めきれなくて、時間がある時にチケットぴあのサイトを開き、リセールが出ていないかをチェックする生活が続いた。

そして東京ドームライブの2日前。
思いもよらぬ、奇跡が起きた。
なんと幸運にも、リセールでチケットがゲットできたのだ。
現地で見る事はできないと諦めかけていたので、本当に嬉しかった。
あまりにも嬉しすぎて、チケットが取れた事をXでつぶやいた。
するとたくさんのリトルトゥースが、祝福の「いいね」を押してくれた。
その数は実に1000件を超えた。
中にはチケットが取れずに、現地に行けなかった人もきっといたと思う。
それでも僕の投稿に「いいね」を押してくれたリトルトゥースたちの心遣いに、僕は感動した。

そして「いいね」を押してくれた人の中には、オードリーのオールナイトニッポンの放送作家・飯塚さんもいた。
番組スタッフの方から届いた「いいね」が、とにかく嬉しかった。
「ドームで待ってるよ」と言ってもらえたような気持ちになり、胸が熱くなった。


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2024年2月18日

東京ドームの最寄り駅である水道橋駅に着いた。
駅周辺には、すでに大勢のリトルトゥースがいた。
LTユニフォームを着ている人、LTパーカーを着ている人、リストバンドやヘアバンドをつけている人。
周りはみんなリトルトゥースだらけだった。
もうこの時点でワクワクが止まらなかった。

東京ドームへ向かいながら、ふと思った。
「そういえば昔一度だけ、東京ドームに来た事があったよな」と。
大昔だが、新日本プロレスの東京ドーム大会を見に行った事がある。
その大会のメインイベントのリングには、中邑真輔が立った。
中邑選手といえば、若林さんが尊敬してやまないプロレスラーである事は、ファンの間では周知の事実だ。
「中邑選手も立った東京ドームに、若林さんも今日立つんだよな〜。若林さん、今どんな気持ちなんだろう?」なんて思いながら、僕は東京ドームの入場ゲートへ向かった。

開場時刻になり、東京ドームに入るとまずは会場の広さに圧倒された。
いままで様々なラジオイベントに行った事があるが、あきらかにその規模が違った。
とにかく桁違いのキャパシティだった。
客席はどんどん埋まっていき、5万3000人超満員の会場ができあがった。
アリーナ席からスタンド席までギッチリ客席は埋まっていた。
その光景は、まさに圧巻の一言だった。

そして遂に開演時刻になった。
全国各地の16万人が見守る中、前代未聞のラジオイベントが遂にスタートしたのであった。

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ライブが始まり、オードリーの二人が姿を現した。
客席から大歓声が沸き起こり、拍手が鳴り止まなかった。
若林さんは超満員の観客に向かって「今日はラジオをやりにきました!」と言い放った。
そして東京ドームのど真ん中に設置されたラジオブースに座り、いつも通り春日さんと喋り始めた。

オードリーのオールナイトニッポンを形容する時に「ストロングスタイル」という言葉がよく使われる。
深夜ラジオといえば、リスナーのメールを読んだり、曲をかけたりするのが定番だが、オードリーのオールナイトニッポンはそんな深夜ラジオのセオリーを全てぶち壊してやっている。
メールもほとんど読まないし、曲なんて全くかけていない。
オードリーのラジオは、トーク一本で勝負している。
それ故に、このラジオの事を「ストロングスタイルのラジオ」と世間は言う。
でも不満なんて一つもない。
なぜなら二人のトークが、おもしろいから。
シンプルだけど、この一言に尽きる。
そんなオードリーのトークが聴きたくて、みんなこのラジオを聴いているのだ。

東京ドームでも、二人はそのストロングスタイル路線を崩さなかった。
東京ドームのど真ん中にラジオブースを設置して、5万3000人に囲まれながら、いつも通りのラジオをやった。
そして爆笑を取りまくった。
ストロングスタイルすぎて本当にかっこ良かった。
トーク一本で勝負し、こんなにも大勢の観客から笑い声を引き出せる二人は、まさにラジオモンスターだと思った。

二人のトークゾーンの内容も、とにかく良かった。
若林さんは、ドームライブに向けての体力作りのために Uber Eats の配達員を実はやっていたという「現在」の話をしてくれた。
一方の春日さんは、学生時代に通い詰めた中華料理屋・長楽の話題を持ってきて「過去」の話をしてくれた。
このバランスがすごく良かった。
「現在」の話ではまだ聞いた事のないラジオ初出しのトークが聴けて、「過去」の話ではこのラジオでお馴染みの古典落語が聴けた。
東京ドームという特別な場所で、現在進行形の新しい話が聴きたいと思っていたリスナーもいたと思うし、ラジオで定番の昔の話が聴きたいと思っていたリスナーもいたと思う。
そんな両者のニーズを、オードリーの二人はそれぞれのトークで満たしてくれた。
この「現在」と「過去」のトークのコントラストがとてつもなく美しかった。

そして、ラジオを毎週聴いている人にしか伝わらない内輪ノリのトークを二人がする場面が何度もあったのだが、会場全体から大きな笑い声が漏れていたのも、すごく心地が良かった。
この会場にいる人たちには何の説明もしなくたって、二人の内輪ノリが分かっているのだ。

若林さんも「東京ドームでする話じゃねえだろ!」と突っ込んでいたが、学生時代に通っていた中華料理屋・長楽の話を延々する春日さんが、本当におもしろすぎた。
24時間テレビの黄色いTシャツを着た店員の話とか、もう飽きるほどこのラジオで聴いた事があるはずなのに、やっぱりこの日も笑ってしまった。
「長楽」とか「24時間テレビの黄色いTシャツを着た店員」とか、このラジオを知らない人が聞いたら何の話をしているのか全く分からないような言葉を、あの日東京ドームに集まったみんなは共通言語として認識しており「きたきたきたー!長楽の話がきたー!」と心の底から楽しんでいたと思う。
なぜなら、そう確信するぐらいの大きな笑い声が、東京ドームにはこだましていたから。
あの日、あの場所に集まったみんなが、そんなオードリーの内輪ノリをずっと楽しんでいた。

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トークゾーンが終わると、春日さんとフワちゃんのプロレス対決が行われたり、星野源さんがサプライズ登場して若林さんとセッションしたり、ひろしのコーナーまであって、本当に内容盛りだくさんで楽しかった。

プロレスをしたり、歌を唄ったり、車庫入れをしたり、一見ラジオとは関係のない事をやっていたように見えたかもしれないが、その根底には全て「ラジオ」があった。

フワちゃんとのプロレス対決のきっかけは「味玉は嗜好品」という春日さんのラジオでの発言からだったし、星野源さんとのコラボも今回の東京ドームライブのテーマソングを作ってもらったとう流れがあっての事だし、ひろしのコーナーではラジオで話題になっていた春日さんの愛車のゲレンデまで生で見られた。
全部ラジオの話題から派生したエンターテイメントだった。


ライブのオープニングで若林さんが「今日はラジオをやりにきました!」と宣言していたけど、その宣言通りずっと「ラジオ」をやっていた。
「東京ドームライブ」と銘打っていたが、中身は完全に「東京ドームラジオ」だった。

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イベントのラストは、オードリーの漫才だった。
二人は約30分漫才をやってくれた。
僕はオードリーのオールナイトニッポンと同じぐらい、オードリーの漫才も好きだ。
僕が初めてオードリーを見たのはM1グランプリ2008の決勝戦だった。
あの日見た二人のズレ漫才に衝撃を受けた。
こんなに新しくて、こんなにおもしろい漫才をする芸人がいるのかと思って、心を撃ち抜かれた。
録画したM1のビデオを何度も何度も繰り返し見たのを覚えている。
それ以来、オードリーの漫才がずっと好きだ。
だからそんな二人の漫才を生で見られてとても嬉しかった。
そして二人の漫才、最っっっ高におもしろかった。

漫才を終えた後、東京ドームの長い花道を歩きながら帰って行くオードリーの背中が本当にかっこよかった。
芸人ってかっこいいなって思った。
人を笑わせる職業ってかっこいいなって思った。
この二人の背中を、これからも見続けていきたいなと思った。

若林さんはライブのエンディングで「我々は土曜深夜1時にしゃべり続けていくんで、気が向いたらまた聴いてください。」と言った。
「しゃべり続けていく」という言葉がとても頼もしかったし、その言葉から若林さんがラジオに懸ける信念がひしひしと伝わってきた。
オードリーの二人は、これからもまだまだ土曜深夜1時にしゃべり続けていく。
僕もリスナーの一人として、これからもまだまだ二人のラジオを聴き続けていきたいと思う。


2024年2月18日。
オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドームを目撃した16万分の1になれて、本当に良かった。
僕はこの日の事を一生忘れない。
春日さん、若林さん、最高にトゥースな時間をありがとうございました!


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東京ドームからの帰り道。
水道橋駅を出発し、いつも使っている沿線の電車に乗り換えた。

僕の隣に一人の女性が座ったのだが、オードリーの東京ドームライブで配られたラスタカラーの紙袋を持っていた。
僕の正面に座った女性も、同じくラスタカラーの紙袋を持っていた。
いつも電車に乗っている時には全く意識した事がなかったけど、自分の生活圏内にもこうやってリトルトゥースがいるんだなと思い、なんだか嬉しくなった。
僕もラスタカラーの紙袋を持っていたので、その事に気付いてくれた隣の女性が僕にこう話しかけてきた。

「東京ドーム楽しかったですね!」

それからしばらくその女性とライブの話をした。
初対面だったけど、ついさっきまで同じ時間を共有した仲間だから、話が全く尽きなかった。
その子が「絶対にまたライブやってほしいですよね!」と言ってきた。
僕は「絶対にやってほしいです!」と笑顔で返した。
きっとその日にライブを見た全国各地のリトルトゥースの間でも、同じような会話が多くされていただろう。
誰もがまたライブをやってほしいと思ったに違いない。
それぐらい、オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドームは、人の感情を揺さぶる素晴らしいイベントだった。

東京ドームライブの最後に若林さんが「何年後になるか分からないけど、お互いトゥースだったら、またやろうや!」と言ったが、それは春日さんに対してでもあり、リスナーに対しての発言でもあると僕は受け取った。
いつかその日がくる事を願いながら、これからも僕は土曜深夜1時にオードリーのオールナイトニッポンを聴き続ける。


いつかまた、東京ドームライブの続きが見れますように。

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