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映画『47RONIN』覚え書き~ファンタジー映画

 日本、という国そこで培われてきた歴史は、外からはどう見えるだろう?

 同じ島国でも、ヨーロッパ大陸とつながっていたイギリスと違い、300年近く、外との交わりを断っていた時期もあった。(その時期に生まれた浮世絵は、開国後、ヨーロッパで大人気を博す)

 外からは様子をうかがい知れない謎の国―――そこで実際にあった、忠義に生きたサムライたちの物語は、一種の神話のようにも思えるのではないか。

 キアヌ・リーヴス主演の映画『47RONIN』は、日本についての映画、というよりも、ファンタジー映画と呼んだ方が近い。

 赤穂(アコウ)や長門(ナガト)といった物語の舞台、出島(デジマ)や飛騨(ヒダ)など、地名こそ実在のものだが、そのイメージは、名前だけを借りた別物。

 CGで作られた巨大な怪物(モンスター)も出てくるし、黄色い袈裟をまとった天狗は、『ハリー・ポッター』の「例のあの人」を彷彿とさせる。。

 だが、それで良い。

 無理に「本物っぽく」作って、ところどころで違和感を感じさせられるよりは、最初から「あーパラレルワールドなのね」と思える方が良い。

 敵味方がはっきりした勧善懲悪のつくり、

 題材は、日本でも時代劇の題材としては使われてきた『忠臣蔵』(赤穂四十七士)。

 主人公は、キアヌ・リーヴス演じる混血児カイ(魁)。彼は、幼いころに赤穂に迷い込んで、鬼子として迫害されるも、城主・浅野の温情で生かされ、彼に忠誠を誓う。

 やがて、ライバル吉良の陰謀で浅野が切腹に追い込まれ、浅野の娘ミカが吉良との婚姻のために連れ去られると、家老・大石や家臣たちと共に、敵討ちに参加し、運命を共にする。

 キアヌ・リーヴスを看板として表に出しているが、この映画を支える一番太い柱は、大石役の真田広之ではないだろうか。

 白状すると、私は真田さんが好きで、『ラストサムライ』も、トム・クルーズや渡辺謙ではなく真田さん目当てで見た。

 目力、低い声、そして刀を抜き、構えた時の立ち姿や、戦う所作の自然で流れるような様はまさに「武士」だ。(そのせいで、『ラスト・サムライ』では、「トム・クルーズが目立たなくなる」と、シーンをカットされてしまったというエピソードもある。)

 彼がいるのといないのとでは、作品の印象も大きく違ってしまったのではないだろうか。

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