【井戸尻考古館】高原の縄文王国収穫祭2022と物々交換イベントレポ
はじめに
富士見町の井戸尻考古館では秋の恒例のイベントとして、「高原の縄文王国収穫祭」があります。本年は10月22日(土)に行われました。感染対策を行い、3年ぶりにこれまでと同規模の開催内容となりました。今回初めての試みの物々交換イベントにも注目です。
厳しい冬の訪れに備え実りの秋を祝う、井戸尻の収穫祭の内容を紹介いたします。
物々交換イベントは、雑誌「AERA」の記事でも紹介されています。
過去2回の収穫祭
正式には「高原の縄文王国収穫祭」です。富士見町には中部高地縄文の遺跡が集中していることから「高原の縄文王国」というキャッチフレーズがよく合います。
この2年間も収穫祭は続いてきました。
2020年(令和2年)は、非公開で祭式のみ実施(動画配信)、しかも初の夜の祭式でした。
2021年(令和3年)は、諏訪地域からのお客様に限定した石器による収穫体験を行いました。
収穫祭が帰って来た
2年間はあえて普段では出来ない収穫祭を実施していましたが、本年は、3年ぶりに従来規模の収穫祭となりました。ただし、会場での飲食の提供を伴わない形としています。水分補給をしながら食べ物持参で休憩テントや芝生で思い思いにすごす形になります。
また、井戸尻考古館と歴史民俗資料館は入館無料となるため、常に人が出入りし、考古館の見学者も絶えません。
今回初めて行う、注目の企画があります。物々交換イベントです。貨幣価値によらないモノと人の交流を目指して企画されました。
ちなみに同じ日の夕方、富士見駅前で富士見町商工会の「縄文ハロウィン」もありまして、K館長は縄文人のまま、収穫祭へ移動していたようです。
ハロウィンはもともと収穫を祝うお祭りなので、収穫祭を行っている井戸尻においては、縄文とのコラボは自然な形なのです。
会式セレモニー
朝10時、女性司会の第一声により始まりました。
実行委委員会の野沢会長に続いて、名取富士見町町長、地元池袋(いけのふくろ)区の小熊区長の順に登壇して挨拶がありました。
登壇者、スタッフは全員貫頭衣を着ることがならわしになっています。
町長は、現在進んでいる、考古館の新館建設に触れ、遠くないうちに移転先を明らかにした計画案を示したいと進捗を話されました。
収穫の祭式
続いて、祭式です。舞台中央に穂倉がこしらえてあります。ここに収穫された穀物を奉納します。
土笛や民族風の打楽器の演奏に合わせて仮面をつけた縄文人が登場します。縄文人は「先輩」ことS学芸員です。
雅楽演奏
今回初登場の下諏訪長持保存会雅楽部の皆さんによる演奏です。
縄文の地に大陸の渡来音楽が響きます。龍笛の若者と笙の姫を真ん中に据えてベテランがこれを支え越天楽をはじめ4曲を奏でました。
ワークショップ・お店
飲食物の試食ブースがありませんが、農産物の直売などはこれまでどおりです。以下、ブースの紹介です。
貫頭衣の貸し出し
この貫頭衣ですが、貸出コーナーが入口にあって、SNS用に撮影してみたり、貫頭衣姿のまま収穫祭を楽しめちゃうのです。考古館の職員が貸し出しをしてくれます。
例えば、会場のワークショップでアクセサリーを作れば、オリジナルな縄文人になれちゃいます。衣装を着てバンダナを付けるだけでも気分は上がります。
物々交換イベント
今年の注目イベントです。貨幣価値によらないモノと人の交流を目指して企画されました。思い出、エピソードも交換しましょうというのが、井戸尻的です。
一度おさらいしますと、何か収穫物やその地域の特産など、人に分けてあげたいものや、おみやげなど、交換したいものを持ってきます。ケーキとか魚とか肉といった生の食べものはだめです。
持ってきたら受け付けで専用のタグに、説明を書いて職員とスタッフに渡します。代わりに好きなものを持って帰ります。置いて帰るだけでもOKです。
年配のおばちゃんが、「これもらっていいの?」と言っていました。配布じゃないので、交換できるものを用意していないと指をくわえて見ていることになります。
開始早々は、我こそはという方が持ち込んでくるようでして、職員とスタッフがてんてこ舞いしていましたが、それだけによいものがいっぱい。交換目的ならば午前中に来る方がよさそうです。
どんなものが並んでいたかと言いますと、
K館長は自作の小鋤を出品、タグのコメントには「タモリさんも納得の緑色片岩」と。
縄文ZINEからも交換品がありました。すぐに誰かに引き取られていました。
さて筆者は4点出品して交換してきました。入れてくれた紙袋の「雑穀くん」と蛙の紋がかわいらしいです。なにを出品したかは内緒です。
富士見町観光協会
ほかの出店ブースを紹介します。
ルバーブを使った製品などを富士見の特産品を販売しています。
縄文の里振興会
新鮮な野菜の販売です。古代米もあります。
池袋区
考古館の地元、池袋(いけのふくろ)区から出店です。土器片から文様を写し取って、大きな水煙土器のパネルに張り付けて模様でいっぱいにするというアート企画です。縄文ハロウィンでも土偶(始祖女神像)バージョンでやっているらしいです。
みとし会・たまり場作りの会
裂き織り作品の展示と販売です。
ほのおの会
ほのおの会は、富士見町で活動する土器作りサークルです。土器の展示と販売です。独創的な作品が多い傾向です。
紅蓮織りの会
紅蓮織りの会は、歴史民俗資料館での機織り体験で教えて下さるグループです。
木の実の飾り玉作り
町議会のみなさんによるアクセリ作りのブースです。
土器の野焼き実演
こちらは、土器作りの会による土器の野焼きです。さすが井戸尻、土器サークルが複数あります。こちらは、実際に出土した土器をほぼ忠実に作っています。
みすまる自然農園
みすまる事前農園は、井戸尻の近くに住み農業と環境活動に取り組まれている方たちです。
有料になりますが、素敵なリースが作れます。
井戸尻応援団
井戸尻応援団は、井戸尻考古館を盛り上げようと有志が立ち上げたグループです。ハス池の手入れとか、復元住居の吹き替えなんかもやっています。井戸尻のシンボルマークも井戸尻応援団の力によります。普段から動画配信などもやっているため、情報発信に勢いのあるブースです。土器模様の拓本づくりを体験出来ます。
神話再現・くく舞
午後に入り、恒例の神話再現とくく舞が始まりました。
神話再現はオホゲツヒメのお話。オホゲツヒメは食物の神で食べ物を要求されるとと鼻と口と尻から、食べ物を取り出します。それを知られオホゲツヒメは殺害されますが、バラバラになった屍体の各部から穀物が発生するのですが、土偶をバラバラにして埋める行為がオホゲツヒメにつながるのです。
後半は、くく舞です。縄文土器の文様や土偶のポーズから着想を得たという創造上の舞です。飛び入り参加を呼び掛けるアナウンスがあり、我こそはと入る人もいます。
太鼓演奏
ジミフー・コイダ(富士見太鼓)の演奏も復活しました。謎の頭領のもと、インパクトのある太鼓パフォーマンスです。
閉祭のあいさつ
3時で収穫祭は終了です。まだ早いようですが、この辺りは、山に囲まれていて、日暮れが早いのです。途端に冷えてきます。
おわりに
井戸尻遺跡で1日過ごすことができました。
3年ぶりの収穫祭は、人出は半分程度に感じましたが、密を避けるにはちょうどよかったのかもしれません。これまでの日曜日ではなくて土曜日にしたこととかも影響しているのかもしれません。また、周辺のイベントが多くて観光客の取り合いになっているのかもしれません。
来年の収穫祭も楽しみにしています。
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