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【富士山はどこから見ても美しい(山エッセイ)

関東もそろそろ梅雨入りするだろうし、夏までに富士山を見られるチャンスはあまりない。

都合よく今日は晴れで仕事も休み。そこで山梨の山に行った。

山中湖を囲む山の北側、石割山からの縦走路。

石割山から大平山までのルートは、調べた限りでは、晴れていれば富士山を眺める絶好のスポットらしい。山中湖は富士山のお膝元なので当然と言えば当然。天気予報では晴れだけど実際はどうなるものやら、行ってみなければわからない。この時期は天気も安定しないし晴れていても富士山だけ雲に隠されることは十分考えられる。

それでもいつも登る丹沢や高尾・陣場のあたりに比べれば、富士山に近い山に登る分、見られる可能性は高い。

石割山の登山道は木々に覆われて見晴らしが悪く、すぐ横にあるはずの山中湖も富士山も見えない。

頭上の木々の隙間から見える、千切れて浮かぶ雲の数から嫌な予感はしていたが、辿り着いた山頂では案の定、富士山は隠れていた。

すっかりと雲に隠れた富士山

裾野しか見えない。これで山頂まで見えてたら絶景なんだろうになぁ…と思いながら次へ。見えないものは見えないのだから仕方ない。

次の目的地、平尾山でも富士山は見えず。

最後の目的地、大平山では若干、雲が千切れて薄れていた。これは雲が晴れるのでは? と期待して1時間ほど待ってみたものの、雲は晴れそうで晴れない。

残念だなあ、と思うが山頂部分が隠されていたって富士山が美しいのには変わりない。それに、初めて山中湖を山頂から眺めたけれど、それもまた美しい。

今日はこれで十分じゃないか。

今年の夏は絶対に登るぞ、と決意を新たにして、隠れたままの富士山に別れを告げて山を降りた。

雲は晴れそうで晴れない。

ところが。
山を降りたあたりで富士山頂の雲が晴れた。

わずかな時間、富士山は頂きを覆う雲を千切るようにして、まだ雪の残るその山頂をさらした。

なんてにくい奴だ。目的の山頂ではその姿を隠し続けたクセに、帰り際にちらりと見せてくれるなんて。

山の上からは見られなかったけれど、下から見上げたって富士山は変わらず美しい。

帰り際、ついに見えた富士山の頂き。


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