【人生ノート 234ページ】一心に実行すればいつとなくものの呼吸をさとるなりけり
超理論的なるもの
人に接して、その人の気持は、いかに態度でかざっても、私には明らかに分かる。これは、ちょうど腹がへったと感ずると同じようなもので、どこということなしに、しかし明瞭にわかるのである。
人間には、こういう本質的な作用がたくさんあるのだが、現代人は外部的、理智的な理論にのみ頼りすぎる結果、内部的、超理智な大切な根本的なものをないがしろにしているので、努力や苦心のわりには本当のよりよい生活ができぬのである。
なに事もみな神さまはご存じとまこと知る人少なかりけり
苦しみの今を堪へつつとことはの栄えの国に入らむとぞ思ふ
一心に実行すればいつとなくものの呼吸をさとるなりけり
○
とにかく、人は一心になることが一番肝要であり、一心になるような感興におかれることが、また有難いのである。
自分も一旦この世に望みを失って、生ける屍として煩悶を重ねていたのであるが、大本によって正確に神の実在を知り、懸命に、ただただ神の一下僕として働かんことをのみ念願とするにいたったのである。かくて始めて、生きていること、働くことに楽しみと意義とを見出したのである。
ただし、神慮を知るということにおいて、いろいろ苦しんだが、その時の力徳相応にしか神慮は分からぬものであるということがわかり、結局、その時のベストを勇敢に細心に実行するより外はないと悟ったのである。その時、わが身にふりかかる一切のことは、要するにみな因縁であり試練である。
『信仰覚書』第七巻、超理論的なるもの 出口日出麿著
【これまでの振り返り】