小豆洗はじめ

妖怪の小豆洗いが好きですが、妖怪には無関係の者です。 詩のようなもの(ほとんど散文)を…

小豆洗はじめ

妖怪の小豆洗いが好きですが、妖怪には無関係の者です。 詩のようなもの(ほとんど散文)を書いてます。 ブログ「暇つぶしにも、腹の足しにもならない」も見ていただけると嬉しいです。 http://one0123.blog90.fc2.com/

記事一覧

【自作詩】だんだん夏

夏の大気が皮膚にはりついてくる ゴーヤの蔓が巻き付いてきて 身体の末端から中心へ向かってのびてくる くるしいけれども わたしは夏を吸う むねいっぱいに吸って おなじ…

2

【自作詩】風のように礫のように

会話が 風のように…… 雨のように…… 砂のように…… 礫のように…… 顔にあたっては 通り過ぎていく 目をあけていられず とじている間に 取り残される

4

【自作詩】灼

車窓から目に 飛び込んできた夕陽が そのまま胸を灼く いつかなにかに 焦がれた気持ちが ちり ちり ちり と灼けている

8

【自作詩】秤

幾ばくかの 希望があるとき 天秤は 生に傾く 絶望がなにもかもを 満たしたとき 生と死は つり合う 板状分銅を 一枚、一枚 載せていく

小豆洗はじめ
2週間前
1

【自作詩】擬

兄は動物の擬人化が好きだ 弟は人間の擬動物化を見て笑っている ふたりとも動物も人も愛している 兄は人は好きじゃないけど憎めもしない 動物になりたいとこぼしながら猫…

小豆洗はじめ
1か月前
6

【自作詩】街

青いタイルが月の光を受けとめて 静謐な微笑みをかえす 四本足の動物が横切るとき 寝たふりをした街が片目を開けて ちらりと見ているのを誰もしらない 死者の魂を宿した…

小豆洗はじめ
1か月前
8

【自作詩】雨が降っていたら

電車を降りたとき なんだかいま 雨が降っていたら よかったのになと思った 雨が隣りに居てほしい というときがある 花の香り 土の気配 雨に溶けた そういうものに しっと…

小豆洗はじめ
1か月前
7

【自作詩】フォークとナイフ

なにを切り分けようとおもったのか 左手にフォーク 右手にナイフを もって出かけた ラザニアを食べかけていたから 赤いソースがついている すれ違う人がちらっと目をやり…

小豆洗はじめ
1か月前
12

【自作詩】オロロン

窓を開けると 雨が降っている 今気づいたことのように思ったけれど そういえば朝からだった 窓を閉めようとしたら ウロロロロ… ウロロロロ… 鳥がノドを転がすような鳴…

小豆洗はじめ
1か月前
5

【自作詩】欠落

感情の欠落を思わずには いられないときがある 花を見て美しいと思い 木を見て安らぐと感じ そういうこと以上に 大切な感情があるだろうか と思ったりもする それでも感…

小豆洗はじめ
1か月前
3

文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!

5/19(日)開催の文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました! 出店者もお客さんもかなりの数で、情熱溢れる数々の作品が並ぶ会場は熱気ムンムンでした🔥 毎回、出店…

小豆洗はじめ
2か月前
6

【自作詩】memory

0と1とで 構築された世界から 取り除かれた雑音は どこへいったのか 復元などできなくとも それを聴いていたこと だれかと聴いてたこと わたしたちのなかに 堆積していく…

小豆洗はじめ
2か月前
6

【自作詩】螺

あらゆる現実が遠くて 螺旋階段を降りていくとき 遠心なのか求心なのか わからない力に引っ張られながら 地下へ潜っていくように歩く こどもと同じ高さの目線まで 降りた…

小豆洗はじめ
2か月前
3

5/19(日)文学フリマ東京に出店します📚

来週5/19(日)東京流通センターで開催の文学フリマ東京38に出店予定です。 〈出品予定作品📚〉 ・詩集 10種  『季節の階調』シリーズ   春、夏、秋、冬、間(はざま)、 …

小豆洗はじめ
2か月前
3

【自作詩】なみだがでる

かなしいとき なみだがでる さみしいとき なみだがでる いかりが解消できないとき なみだがでる 感情を言葉にできないとき なみだがでる 明日が不安でしょうがないとき …

小豆洗はじめ
2か月前
5

【自作詩】ひつような時間

言葉がいらない ときがある 歌でなく曲を聴きたい ときのように 言葉を必要としない時間 という選択

小豆洗はじめ
2か月前
2

【自作詩】だんだん夏

夏の大気が皮膚にはりついてくる

ゴーヤの蔓が巻き付いてきて
身体の末端から中心へ向かってのびてくる

くるしいけれども
わたしは夏を吸う
むねいっぱいに吸って
おなじ季節になろうとする

呼気がだんだん夏らしくなってきて

今年さいしょの蝉の声をきく
わたしも夏を鳴いてみる

【自作詩】風のように礫のように

会話が

風のように……
雨のように……
砂のように……
礫のように……

顔にあたっては
通り過ぎていく

目をあけていられず
とじている間に

取り残される

【自作詩】灼

車窓から目に
飛び込んできた夕陽が

そのまま胸を灼く

いつかなにかに
焦がれた気持ちが

ちり ちり ちり と灼けている

【自作詩】秤

幾ばくかの
希望があるとき
天秤は
生に傾く

絶望がなにもかもを
満たしたとき
生と死は
つり合う

板状分銅を
一枚、一枚
載せていく

【自作詩】擬

兄は動物の擬人化が好きだ
弟は人間の擬動物化を見て笑っている

ふたりとも動物も人も愛している

兄は人は好きじゃないけど憎めもしない
動物になりたいとこぼしながら猫を撫でた

弟はそれって愛なの?
ぼくは人が好きだし嫌い
ふたつは同時に存在するんだよ
猫はみんな好きと言って猫を撫でた

ふたりの間でわたしはもいちど
猫を撫でた

【自作詩】街

青いタイルが月の光を受けとめて
静謐な微笑みをかえす

四本足の動物が横切るとき
寝たふりをした街が片目を開けて
ちらりと見ているのを誰もしらない

死者の魂を宿した蛍の
明滅が草の陰で息をする

夜の濃淡を映した川が
過去にも未来にも揺れている
歴史は水がしっている

【自作詩】雨が降っていたら

電車を降りたとき
なんだかいま
雨が降っていたら
よかったのになと思った

雨が隣りに居てほしい
というときがある

花の香り
土の気配
雨に溶けた
そういうものに
しっとりと包まれる
のを想像する

薄く登った月が
明日は雨かもねと
微笑んでいる

【自作詩】フォークとナイフ

なにを切り分けようとおもったのか
左手にフォーク 右手にナイフを
もって出かけた

ラザニアを食べかけていたから
赤いソースがついている

すれ違う人がちらっと目をやり
奇妙な持ちものに驚いた素ぶり
それでも結局のところ無関心だ

オープンカフェでマイクを握り
歌っているあの青年は
かつて内気だった
秘めていたエネルギーが
伸びやかな歌声に乗って
通りを抜けていく

声に押されながら道を行く
小高

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【自作詩】オロロン

窓を開けると
雨が降っている

今気づいたことのように思ったけれど
そういえば朝からだった

窓を閉めようとしたら
ウロロロロ…
ウロロロロ…
鳥がノドを転がすような鳴き声がする
雨だし気のせいだろうか

昔読んだ絵本の
オロロンチョウを思い出す

オロローン
オロローン

想像の中でしか聴いたことのない鳴き声が
雨に混じって聴こえてくる

【自作詩】欠落

感情の欠落を思わずには
いられないときがある

花を見て美しいと思い
木を見て安らぐと感じ

そういうこと以上に
大切な感情があるだろうか
と思ったりもする

それでも感情の欠落を
思わずにはいられないときがある

深海のように暗く冷えた場所が口を開けて
私の中から私を見ている

文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!

5/19(日)開催の文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!

出店者もお客さんもかなりの数で、情熱溢れる数々の作品が並ぶ会場は熱気ムンムンでした🔥
毎回、出店者の皆さんの創作意欲に圧倒され、装丁やブースでの並べ方などの様々なデザインや工夫にも心底感心します。
自分ももっともっと良い作品を作りたいと思いました。

文学フリマで販売した詩集、ポストカード、詩皮(ブックカバー)は、東京の神保町

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【自作詩】memory

0と1とで
構築された世界から
取り除かれた雑音は
どこへいったのか

復元などできなくとも
それを聴いていたこと
だれかと聴いてたこと

わたしたちのなかに
堆積していく音たち

【自作詩】螺

あらゆる現実が遠くて
螺旋階段を降りていくとき

遠心なのか求心なのか
わからない力に引っ張られながら
地下へ潜っていくように歩く

こどもと同じ高さの目線まで
降りた場所には

素足で立った砂浜や
素手で触れた花弁が
在るだろうか

月の光が螺旋の
中心に射していて

遠心なのか求心なのか
わからない力が
ぼくを土へ還す

5/19(日)文学フリマ東京に出店します📚

来週5/19(日)東京流通センターで開催の文学フリマ東京38に出店予定です。

〈出品予定作品📚〉
・詩集 10種
 『季節の階調』シリーズ
  春、夏、秋、冬、間(はざま)、
旅、ことば、よる、音楽、日々
・ポストカード 6種
  五月の風、夏の呼び声、根、
photographs、as time goes on、骨
・詩皮(ブックカバー) 6種
  五月の風、夏の

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【自作詩】なみだがでる

かなしいとき
なみだがでる
さみしいとき
なみだがでる

いかりが解消できないとき
なみだがでる
感情を言葉にできないとき
なみだがでる

明日が不安でしょうがないとき
なみだがでる
過去が悔やまれてならないとき
なみだがでる

山に行けば
海に行けば
花が咲けば
風が吹けば
自然のすがたに
なみだがでる

だれかが自分のことを
想ってくれたとき
なみだがでる

ほんとうに
なきたくなるのは
感謝

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【自作詩】ひつような時間

言葉がいらない

ときがある

歌でなく曲を聴きたい

ときのように

言葉を必要としない時間

という選択