記事一覧
【自作詩】だんだん夏
夏の大気が皮膚にはりついてくる
ゴーヤの蔓が巻き付いてきて
身体の末端から中心へ向かってのびてくる
くるしいけれども
わたしは夏を吸う
むねいっぱいに吸って
おなじ季節になろうとする
呼気がだんだん夏らしくなってきて
今年さいしょの蝉の声をきく
わたしも夏を鳴いてみる
【自作詩】風のように礫のように
会話が
風のように……
雨のように……
砂のように……
礫のように……
顔にあたっては
通り過ぎていく
目をあけていられず
とじている間に
取り残される
【自作詩】街
青いタイルが月の光を受けとめて
静謐な微笑みをかえす
四本足の動物が横切るとき
寝たふりをした街が片目を開けて
ちらりと見ているのを誰もしらない
死者の魂を宿した蛍の
明滅が草の陰で息をする
夜の濃淡を映した川が
過去にも未来にも揺れている
歴史は水がしっている
【自作詩】雨が降っていたら
電車を降りたとき
なんだかいま
雨が降っていたら
よかったのになと思った
雨が隣りに居てほしい
というときがある
花の香り
土の気配
雨に溶けた
そういうものに
しっとりと包まれる
のを想像する
薄く登った月が
明日は雨かもねと
微笑んでいる
【自作詩】フォークとナイフ
なにを切り分けようとおもったのか
左手にフォーク 右手にナイフを
もって出かけた
ラザニアを食べかけていたから
赤いソースがついている
すれ違う人がちらっと目をやり
奇妙な持ちものに驚いた素ぶり
それでも結局のところ無関心だ
オープンカフェでマイクを握り
歌っているあの青年は
かつて内気だった
秘めていたエネルギーが
伸びやかな歌声に乗って
通りを抜けていく
声に押されながら道を行く
小高
文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!
5/19(日)開催の文学フリマ東京、ご来場ありがとうございました!
出店者もお客さんもかなりの数で、情熱溢れる数々の作品が並ぶ会場は熱気ムンムンでした🔥
毎回、出店者の皆さんの創作意欲に圧倒され、装丁やブースでの並べ方などの様々なデザインや工夫にも心底感心します。
自分ももっともっと良い作品を作りたいと思いました。
文学フリマで販売した詩集、ポストカード、詩皮(ブックカバー)は、東京の神保町
【自作詩】memory
0と1とで
構築された世界から
取り除かれた雑音は
どこへいったのか
復元などできなくとも
それを聴いていたこと
だれかと聴いてたこと
わたしたちのなかに
堆積していく音たち
【自作詩】なみだがでる
かなしいとき
なみだがでる
さみしいとき
なみだがでる
いかりが解消できないとき
なみだがでる
感情を言葉にできないとき
なみだがでる
明日が不安でしょうがないとき
なみだがでる
過去が悔やまれてならないとき
なみだがでる
山に行けば
海に行けば
花が咲けば
風が吹けば
自然のすがたに
なみだがでる
だれかが自分のことを
想ってくれたとき
なみだがでる
ほんとうに
なきたくなるのは
感謝
【自作詩】ひつような時間
言葉がいらない
ときがある
歌でなく曲を聴きたい
ときのように
言葉を必要としない時間
という選択