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ブライトンの無料トラベルサービス


 ブライトンは、地域にとても愛されたチームで、地域社会と一体となったクラブであります。試合がない普段の生活の中でも、街を歩けばクラブの服やジャージ、タオル、マフラー、ニット帽、手袋を身に纏っている人々を多く見かけます。それは老若男女問わず言えることです。
 ある日バス停にて、隣でバスを待っていたおばあちゃんと話す機会があったのですが、話をしていくとその方もシーズンチケットホルダー者ということが分かり、週末のブライトンの試合について話して盛り上がったというエピソードもありました。
 まさに、地域に根付いてる、愛されているクラブであります。

街中を走るブライトンのバス


地域社会と一体となっているクラブはいろんな意味で強いです。それは日本でも、Jリーグでも同等に言えることだと思います。Jクラブも本拠地として活動する場所をホームタウンとして指定し、その地域社会と一体となったクラブづくりからサッカーの普及、振興を目指しています。近年では地域とJクラブが連携して取り組む活動が多く見られ、サッカークラブの在り方の変化を窺えます。ただサッカーだけをやっているクラブは、もうないように思えますし、そういったクラブに未来はないと言い切れるのではないでしょうか。
なぜそこまでホームタウンとの結び付きをこだわるのかは、ただ地域名がクラブの名前に入っているから、支えられているからという単純なものではなく、地域との繋がりが強いクラブが比例するように結果も残せるからだと思います。
まさにこれを完全に体現しているのがブライトンです。



ブライトンには地域社会と連携した取り組みとして、「フリートラベルサービス」というものがあります。これは、試合の日、ブライトンの本拠地アメックススタジアムまで、フリートラベルゾーンからは無料でアクセスできるという素晴らしいサービスです。バスと電車に乗車する際に、チケットを運転手か駅員に見せるだけで、アメックススタジアムまで行くことができます。
フリートラベルゾーンとは、ブライトンのホームタウンに当たる地域とその近辺の街が指定されています。実際にこのサービスを利用しているサポーターは多く、地元サポーターの多さを感じることができます。この取り組みが平日ナイトゲームでさえ30,000人ほどの観客が入ることにも繋がっているはずです。ちなみに、アウェーサポーターも同様にこのサービスを利用することができます。
尚、このサービスが利用できる時間は、試合3、4時間前から試合後3、4時間と決められていますが、試合前後の十分な時間が確保されています。




ブライトンのホームの試合は、基本土曜日の15時キックオフです。この場合は、11時30分から21時までこのサービスを利用できます。試合後、家に帰るまでの交通手段も保証されているのはとても有り難いです。
また、15時キックオフで、お昼と夜の中間に試合時間を設定するうまさも感じます。街で観光してから、お昼を食べてから、パブでビールを飲んでからスタジアムに行くことだって可能なわけです。フリートラベルサービスを利用して、街への経済効果も促せる仕組みになっているのです。

フリートラベルゾーン(バス)
フリートラベルゾーン(電車)


イングランド人は、試合が始まるギリギリまでスタジアムでビールを飲んで待っている人が多いのですが、こういったスタジアムまで車なしでアクセスできるサービスもあって、ビールの需要、売り上げも高まっていると感じます。また、試合後4時間もフリートラベルを利用できる強みは計り知れないもので、スタジアムで選手の出待ちも出来ますし、パブやレストランでビールやディナーを楽しんでから帰ることだって可能です。フットボールクラブが街にあって、それが街のシンボルで、街の活性化や振興にも繋がっている、Jリーグが目指す理想的なクラブの在り方がここにはあります。
ホームタウンのファン、サポーターが選手をサポートして、選手がその期待に応える。まさに、地域とクラブの結びつきの好循環。結果として、プレミアリーグで大躍進中です。
地域との繋がりの強さの重要性を理解できます。

電車を待つ様子



僕の好きな行き方は、ブライトンステーションから電車に乗ってアメックススタジアムまで行くことです。プラットホームからチャントを大合唱し始めて、電車に乗ってからもみんなで唱う。みんなが試合開始を待ちきれない、試合前から戦いは始まっているんだと言わんばかりのこの雰囲気が好きです。スタメンが発表されれば、車内で試合の展望をみんなで話し合い、スタジアム最寄りの駅につけば、みんな揃ってスタジアムに歩いていく。この一体感がたまらないです。
これからブライトンの試合を観にいく方は、是非参考にしてください。



そして、面白いのがブライトン女子のホームマッチデーにもフリートラベルバスが運行されることです。ブライトン女子の試合は、ブライトンから少し離れたクローリーという街にあるスタジアムで行われます。高速道路で30分ほどかかるのですが、これまたホームタウンからスタジアムまで、往復のアクセスが保障されています。ただし、女子の試合の場合は予約が必要なので要注意です。
このサービスもあって先日のブライトンVSマンチェスターシティ戦では3500人のサポーターが雨の中スタジアムに集まりました。
僕もこのサービスを利用して観に行きましたが、イギリス特有の2階建てのバスが満員。女子サッカーの人気も窺えますし、改めて良い取り組みだなと思いました。

ブライトンウーマンVSマンチェスターシティウーマン


最後に、イギリスはストライキが多く発生して、電車や地下鉄が1日動かないことがよくあります。あいにく、このストライキの日が、アメックススタジアムで行われるプレミアリーグと重なった日がありました。
しかし、この日はスタジアムからブライトンの中心街までの臨時バスが何本も用意され、電車が動かない、それ相応の対策をクラブが練っていました。早急な対応と、それに順応する地域行政、クラブの大きさに感銘を受けました。これは強いはと思わされました…。


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