【ほぼ百字小説】
また自転車の鍵を呑み込まれた。犯人は無論、家だ。うちの家は毎日自転車の鍵を呑み込む。どこに隠しても必ず呑まれ、見つけにくいところに吐き捨てられる。ある時は縁の下、ある時は屋根の上、ある時は祖母の箪笥の中というように。今朝は犬の胃の中か、どうも犬の様子がおかしい。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。