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50回目のファーストキス

久しぶりに、もう一度見たいと思う恋愛映画と出会った。
この映画の予告を、私は映画館で見たような気がする。

『50回目のファーストキス』

あらすじ

舞台はハワイ。
たまたま立ち寄ったカフェで、大輔は瑠衣に一目惚れをした。
ツアーガイドをしながら天文学を研究する大輔。
美術教師の瑠衣。
気の合った2人は、明日もこのカフェで会おうと約束をした。
翌日、カフェを訪れた大輔。
昨日と同じ席に座っていた瑠衣に声をかけた。
しかし瑠衣は、まるで初めて大輔に会ったかのような反応をし、大輔を不審者扱いした。
大輔はカフェの店員・スーから、瑠衣の話を聞かされた。
瑠衣の記憶は1日しかない。一晩眠ると今日のことは忘れてしまう。そしてまた明日も、今日と同じ日を繰り返すと…。
その話を聞いても、大輔は瑠衣を諦められなかった。
明日自分のことを覚えていないとわかっていても、毎日あの手この手で瑠衣の気を引こうとする。
次第に、1日しか記憶のない瑠衣の心は大輔が占めるようになり、2人は恋人になった。
毎日が初めまして。毎日恋に落ちて、毎日ファーストキスをする。
それでも2人は幸せだった。
しかしある日、瑠衣は大輔に別れを告げる。

恋愛映画なのにコミカルで、恋愛というより人間愛が詰まっていた

予告だけで、「あ~見たいな~」と思える映画だった。
なのに、映画館が苦手な私は、見に行くことがなかった。
そして、映画の存在もすっかり忘れていった。
先週末、急に映画が見たくなって、何を見ようかなとAmazonプライムビデオを検索していたら、『50回目のファーストキス』が出てきた。
「あ~そう言えばこれ、見たかったやつだ」と思い出した。
気づけば上映から5年も経過していた。

見始めて10分か15分かした頃に違和感を感じた。
「あれ?これ見たような気がする」
だけど、見た記憶がない。

「あぁ、そっか…」
かなり前、見なきゃという使命感で見たけど、見続ける気分にならなくて、最初の方だけ見てやめたんだ。
それに気づいてちょっとホッとした。

映画はとても面白かった。
恋愛映画なのにコミカルで、恋愛というより人間愛が詰まっていた。
コミカルなシーンは中でも、佐藤二朗さんと中野太賀くんの掛け合いがよかった。
佐藤二朗さんは瑠衣の父親役。中野太賀くんは瑠衣の弟役。

2人の掛け合いのテンポがよくて、「これって台本があるんだろうか?アドリブみたい」と疑うほど自然体だった。
山田孝之くんとムロツヨシさんの掛け合いもそうだった。
山田孝之くんが大輔役。ムロツヨシさんは大輔の友人のウーラ役だ。

記憶が1日しかない女性に恋をするという、シリアスで超難題なラブストリーだが、4人の男性のノリの軽さおかげで、どんよりとした気持ちのまま見続けることはなかった。
あまりにもシリアス過ぎると気持ちが萎えてしまう。

また、長澤まさみちゃんが演じる瑠衣のあるシーンもよかった。
ネタバレになってしまうが、瑠衣がウーラをバットでボコボコにするシーンはすごくクレイジーで、笑みが止められなかった。

恋愛の“れ”の字もない私の心を動かした!

そんなコミカルなシーンもあるが、記憶が1日しかないというテーマは避けられない。
瑠衣にバレないように、同じ毎日を繰り返す父と弟。
今日という日を無かったように塗り替えるシーンは切ない。
そして、明日になれば忘れられてしまうのがわかっていながらも、何度も瑠衣にアタックをし、瑠衣が少しでも傷つかないように現実を受け入れらるよう、工夫をする大輔。
恋愛、家族愛だけじゃなく、人間愛を感じる作品だと思った。

そして、人を愛するって理屈じゃないんだと瑠衣と大輔を見て思った。
瑠衣の記憶は必ず無くなる。
なのに、大輔の気持ちは変わらなかった。
そして、瑠衣は記憶が無いはずなのに、大輔を思う気持ちだけは消えることがなかった。
むしろどんどん濃くなっていった。
終盤、大輔が瑠衣から見せられたその光景は、こちらも胸が詰まる思いになった。

「これは映画だ。作りものだ」
そうだとわかっていても、恋愛の“れ”の字もない私の心を動かした。
「また人を好きになってみたいな」と…。


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