ド天然とポジティブの合わせ技

「お兄さんが冷凍のケーキ送ってくれたんだけど、食べにくる?」
母から電話がありました。
「今はあまり外に出たくないから、そのまま冷凍しといて。今度食べに行くよ」

その電話があった時、スーパーから帰ってきてちょうど家に着いた時でした。
家から徒歩10分くらいの距離でけっこうヘトヘト。
行きも帰りもおばあちゃんかっていうくらい、ゆっくりゆっくり行ってきました。

そういえばここにこの花咲いてたなとか、こんなところに100円の自販機があったんだとか、散歩気分。そうじゃないと買い物に行かなきゃいけないという義務感にやられます。

その途中、庭にきれいな花がたくさん咲いている一軒家があって、おぉー花屋さんみたいと眺めてたんですね。そしたら見たことのない白いフワフワの花なんだかなんなんだか、不思議な植物が生えていました。
『あれなに?初めて見るかも・・・』
と思っていたら、庭の手入れをしているおばあちゃんの白髪でした。あっぶね!
眺めていたことを気づかれないように、俊足で離れました。
び、びっくりしたよ。

母が電話で喋っていた兄は、わたしにとっての伯父さんにあたります。
離れたところに住んでいて、結婚しなかったので一人暮らしです。
もう73歳になるし、一人暮らしが続くとちょっと心配だなーと思っていたので、母に伯父さんは元気そうだった?と聞くと、
「今ジムに通ってるみたい。一度コロナで2ヶ月くらい行けなかったらしいんだけど、また通い始めたんだって」
ジム?!73歳でジム!
もちろんそんなおじいちゃんだっていっぱいいるはずで、おかしなことはなにもないのですが、驚きはしましたよね。

そして年に4回は老人会の旅行に参加し、お土産をたくさん送ってくるそうです。
人生を楽しんでいる・・・今の自分と比べてしまいました。

しかも「ジム通えば?」と母は勧められたようです。
伯父さん・・・。うちの母、脳腫瘍で手術したじゃん。しかも脳幹にあった腫瘍は取りきれなくて、今もまだ頭に入ったままじゃん。
けっこう前の話だけど、あの時伯父さんお見舞いに来てたよね?大丈夫なのかって心配してたよね。
なのに、そんな母にジムを勧めてくる伯父さん。マイペーーース。
母は断ったそうです。

母も父も伯父も、人生を楽しむことには長けてるんですよね。
本を読み、ブランケットを編み、空がきれいと喜び、たまに自撮りをわたしに送ってくる母。
73歳でばりばりジムに通い、年4回旅行に行く伯父。
仕事の後にコーラとアンパンを美味しそうに食べるのが日課の父。
そして父と母は、2人で出かけることが好き。

わたしはその血を引いているはずなのに、生きることを楽しめていない自分。
成長過程での自己責任。自分の心の在り方。
スーパーへ買い物に行くだけでヘトヘトになり、外に出ることが好きじゃなくなり、人と会うだけでグッタリで、前向きな言葉にイラつく。全然楽しめてないし、相当こじらせている。
暮らしを投げやりにしているわけではないのですが、正直こんな感じなので、まだ見通しが立ちません。
いずれ、また気持ちも上がってくると思いますが、今は順調に不安定です。
うん、順調に不安定。ちょっとポジティブ。

なんか愚痴ってしまいましたね。ごめんなさい。


ちなみに電話の最後に母と交わした会話。

「自○しないようにねーじゃーねー」
「はーい、じゃあまたねー」

電話を切った後に、そんな軽いテンションでそれ言う?って気づきました。

とてもセンシティブな話題をいとも簡単に出してくる、ド天然とポジティブの合わせ技。勝てるわけない。
こういうところがわたしの母らしいなと思うし、逆にすぐ立ち往生して動けなくなるのもわたしらしいなと思いました。

わたしの家系に脈々と流れているポジティブな血は、大器晩成型であると信じたい。もしかしたらわたしの中に、実は今もメラメラと燃えてるかもしれません。
ちょっとここ半年くらいは消えかけてるけど。ちょうどいい火加減で、取り戻したいです。