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【心に残るプログラムへの想いを語る】エデンの東

心に残るプログラムへの想いを語る、今回は町田樹選手の2013-14シーズンのショートプログラム「エデンの東」です。
またまたエデンの東の登場です、本当にこの音楽がすきなんですね、私は。


 
町田樹選手といえば、氷上の哲学者と呼ばれ、インタビューでの独特の世界観が有名な選手でした。
プログラムを通じてフィギュアスケートの本質を追求する姿は、尊敬できるものがあり、彼の追い求めるスケートをずっと見ていたいと思っていました。
しかし突然の引退発表、競技会で彼の演技は見れなくなってしまいましたが、研究者としてフィギュアスケートに向き合っていて、彼の今後にとても期待しています。

 

町田選手のプログラムが好きな理由

今回ご紹介するエデンの東に限らず、町田選手のプログラムは、振付全て意味を持たせた上で演じられています。
わたしはプログラム音楽の物語や背景を理解して、演技者としてその人なりの解釈でプログラムを演じて新たな作品として紡いでいくことが、フィギュアスケートにしかできない芸術性の一面だと思っています。
バレエや舞台だと既存の物語や演出で演じられます、もちろん新盤として新たに演じ変えられたりもしますが、新しい解釈をした新盤がその後世間に定着していくかとどうかはまた別の問題です。
しかしフィギュアスケートでは、選手のプログラムとしてまたその作品が作り変えられ、フィギュアスケートのプログラムとして存在し続けることができます。
スポーツでありながら、プログラムの中に作品への自分なりの解釈を加えて新しい演じ方をすることができる点がスケートを好きな理由です。
町田選手は作品を深く理解し、フィギュアスケートのプログラムとして作品を表象する貴重なスケーターだったと思います。
 

運命は自分で切り拓く

このエデンの東には「運命は自分で切り拓く」といったテーマがあると話していました。
作品の中に「Timshel(汝、治むるを能う)」という言葉を彼は、「運命は自分で切り拓く」と解釈したそうです。
実際にこのプログラムで大躍進をして、町田選手は一躍世界のトップスケーターになりました。
自ら運命を切り拓く姿を見せてくれました。
力を込めて手を握り締めるポーズから始まるドラマティックなプログラム、この作品に込めた思いが伺えます。
 

芸術作品としてのエデンの東

彼は研究の話をしている中で、フィギュアスケートは総合芸術だとお話をされていました。
高難度なジャンプを組み込んだフィギュアスケートもちろんすごいことですが、ジャンプスピンステップ音楽の表現などすべての要素のバランスが取れた総合芸術として楽しめるのがエデンの東のプログラムです。
彼はこのプログラムを競技会だけにとどまらず、昨シーズンの躍進を祝う「East of Eden - Celebration -」と題し2014-15シーズンのエキシビジョンとしても使用しています。
過去に演じたことのあるプログラムをエキシビジョンとして再度演じるスケーターはいますが、彼のように再演という形で題名をつけて演じた選手は私の知る限りいません。
彼が研究で目指している「プログラムの継承」は、すでにここから始まっていたのではないでしょうか。
他のスケーターによってこのエデンが演じられる日が来てほしいものです。
 


 
辛いときや大きな決断をするときはいつも、「運命は自分で切り拓く」という言葉とともに彼の演技が脳裏に浮かびます。
そして実際にわたしは、このプログラムから本当に計り知れない力をもらいました。
きっとこの先も、このプログラムとともに人生歩んでいくと思います。
こうして人の心に残るプログラムは、やはり芸術だと思います、プログラムが芸術として継承されることが当たり前になる日はそう遠くないように感じます。
 
 

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