長い長いハイキング①/フランス コルシカ島
約180kmのロングトレイルを12日間かけて歩いた記録
コルシカ島を歩く
リスボンを後にし、6月フランスのコルシカ島に来た。
GR20と言われるトレイルをハイキングするためである。
一日これくらい歩いて泊まりましょうという目安がステージと呼ばれ、それが16ステージある。
一日で複数のステージを歩き10日未満でゴールするツワモノもいるが、多くの人は14~16日間くらいで歩くようだ。私たちの予定も14日間。
ロングトレイルの魅力
私たちはハイキングが大好きである。
以前は日本の山に登っていたが、登って終わりではなく何日も歩き続けたいという思いからロングトレイルを歩き始めた。特に海外にはロングトレイルがたくさんあるので、休暇を利用しては海外のトレイルを歩くようになった。
ただ、トレイルは辺境にあることが多く、どうしても行くだけで時間がかかってしまう。仕事をしていたときは、2週間休みが取れても実際に歩ける期間は1週間くらいだった。
仕事を辞め旅を始めてからは、期間を気にせず歩けるのでトレイルの選択肢が広がり、期間が理由で諦めていたトレイルにも挑戦できるようになった。
去年はアメリカで18日間、チリで8日間のハイキングをした。去年の旅についてはいつかNoteで記事にしようと思う。
海外ハイキングが好きな理由は、歩いた先にしか見えない景色があるから。
頭の中が無になって、心配するのはその日の天気と水というシンプルさも好きな理由である。
特に働いていた時は日々いろいろ考えてしまっても、ハイキング中はどんな悩みも心配事も顔を出さなかった。
GR20を歩く理由
今回なぜGR20を歩くことに決めたかというと、素晴らしい景色が見れるのはもちろん、ヨーロッパの中で最もきついと言われるトレイルだからである。
きついと言われると挑戦したくなる。
5年後には挑戦できる体力があるかわからないから今やらないと、という弱気な思いと、その逆できついと言ってもそうでもないんじゃないの?というちょっと強気な気持ちもあった。
スタート地点までも長い
リスボンから飛行機で2時間半かけてフランスのニースに渡り、そこからフェリーに15時間乗ってコルシカ島のバスティアという街にやってきた。
そこからさらに3時間電車に乗りカルビという街に着いた。Google Mapの情報を基に、カルビからトレイルのスタート地点があるカレンザナまでバスで行くつもりだったのだが、バスが走っていない。仕方なく2時間歩くことになってしまった。
スタートするまでに1日かかる、ちょっとした小旅行である。
天気予報は雨
ハイキング前半の1週間は、午後から数時間雨の予報になっていて、なんだか心配な天気である。6月出発を選んだのは、天気が安定しているからなのに。
もう一つ6月出発を選んだ理由は、そこまで人が多くないという情報からである。
あとでこのどちらも、今年は当てはまらないと知るのだが。
1日目 Calenzana - Refuge d'Ortu di U Piobbu (11km)
前日はカレンザナのホステルに滞在。宿泊者は他に三組いて、全てGR20のハイカー。朝の6時半に目を覚ましたが、すでに全員出発していた。
本日の歩く距離は約11キロ。ハイキングが好きな私たちにとって短い距離。
地図アプリを見ても3時間ほどで到着すると表示される。
みんななんでそんなに早く出発するのかねー、なんて話しながら、頼んでいたサンドイッチをパン屋さんに取りに行く。
ホステルの居心地のよさに後ろ髪をひかれながら8時にスタート。
なぜみんなが早く出発するのか、その答えを数日後に実感することになる。
半年ぶりのロングハイキング。高揚していた気持ちはすぐにつらさへと変わった。
なにより荷物が重い。テント、寝袋だけでなく食料も持っているため、初日はいつも重いのだが、それにしても重い。
初日はとにかく登って登った。登りに荷物の重さ。さらに暑さも加わって、バテバテだった。
なんとか2時にキャンプ場に到着した。
ヨーロッパのトレイル
どこにでもテントを張っていいですよ、というトレイルは案外少ない。
GR20も例外ではなく、山小屋のそばにだけテントを張ってよいと決まっている。
GR20はトイレはもちろん、シャワーも使用できる。
今まで世界でかなりの数のトレイルを歩いてきたが、シャワーが使えるトレイルはほとんどなかった。
ヨーロッパの国の中には、ハイキングとは「山小屋でおいしいご飯を食べ、シャワーを浴びて気持ちを切り替え、明日も楽しんで歩こう」という考えがあるような気がする。
GR20でも、山小屋に泊まっている人はもちろん、自分でテントを持ってきた人たちも、朝、昼、夜とご飯を注文できる。売店ではパスタ、チーズ、サラミなどの食材やお菓子、ビールやコーラも買える。
また、洗濯だってできる。これも「洗いたてのきれいなウエアを着て気持ちよく歩こう」という考えがあるんじゃないかと思う。もちろん洗濯機はないが、持参した洗剤を使って流し台でウエアを洗うこともできる。
ロングハイキングだからって、食事や汗をかいた体やウェアを我慢することはないのである。
毎日シャワーですっきりし、汗臭さとは無縁のウエアを着るのは快適過ぎる。
それまでアメリカ、オーストラリア、そのほかの国々でも、ロングトレイルでシャワーが使えない、洗濯はできず数日同じウエアを着るのを当たり前だと思っていた。でも違う世界があったのである。
一度この味を覚えてしまうと危険だ。今後のトレッキングが心配になる。
ふらふらになりながらキャンプ場に着いた時には、すでに多くのテントが張られ、トイレ、シャワーから遠い場所しかあいていなかった。
この日はとても疲れていてシャワーを浴びるどころではなかったけれど。
結局天気はもちこたえてくれ、夜にパラパラ雨が降るだけで済んだ。
とにかく一番重い食べ物から食べて荷物を軽くしようと地味な努力を開始。
ご飯とシチューのドライフードという初日から超ごちそうを食べ、7時には眠りについた。
久しぶりの寝袋で寝れるかなという心配は無用で、ほとんど途中で起きることなく、翌朝6時までぐっすり眠った。
続く。
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