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竹刀でホームラン~婚活迷子の16年~③

 婚活市場の現実は甘くない。
 もう「おばさん」なんだという事を
 まずわからないといけない。

 20代の肌の美しさ、心の清らかさでは絶対に勝ち目がない事をわからないといけない。

 男性はもっとだ。
 20代、顔だけが取り柄でチヤホヤされていた男が40まで結婚出来ないほど哀れなものはない。
 また若くして稼いて、常に若い女性を金で縛っていた男もその末路はバツイチか、結婚出来ずどんどん仕事ばかりが忙しくなっていき金を払わないと出会えなくなっている。


 私は40歳の時に、もう辞めたい辞めたい、
でも辞めたら終わると周りに励まされ、
婚活アプリを続けるも最後の二人がもう人間的にもクズ過ぎて、
こんな辛い思いをして、ストレスを抱えるくらいなら、一人で犬でも飼って人生楽しもうと決意した時に、全くターゲット外の男性(夫)がいいねをくれて、犬の写真を載せていたので、ただ一人暮らしでどう犬を飼うか、それが聞きたくて会った。


 一応話題が犬だけも失礼と思い、プロフィールを見るが、全くもって婚姻歴があることも、年収も仕事も顔も身長も年齢もどうでもいい状態だった。


    しかし、結果それが良かった。


 もう、婚活歴の長い人は分っているだろう。


   ただただ落ちていくだけの男を・・・


 プロフィールだけで、妄想が広がり、
 いざ会ってみたら全然違って

   ざざざざざざざざざざざざざざっと、
     砂の山が崩れていく瞬間を・・・

 1回だけではない、何度も何度も次こそは!と、理想の砂の山を作るがすぐに崩れる。

 写真に振り回され、仕事や年収や学歴に振り回され・・・で、会ったら
「何しに来たんですか?」と言いたくなるような男。
 嘘がどんどんばれて行き、「あー時間の無駄だった」と思う瞬間。
 人間が腐ってるような、女を見下す態度、
 オレはいけてると勘違い甚だし男・・・


 本当は分っているはずだ。
話がはずんで、ただ楽しくて、お互い無理せず笑っていられる人を求めている事を。
自分らしくいられる理解者を探していることを。

 そこに、本当なら顔や身長なんて一番関係ないのに(まぁ清潔感は必要だが)、学歴や仕事も関係ないのに、何故か「合格」「不合格」の2択だけで判断してしまう自分がいる事を。


 夫は真逆の発想の持ち主だった。
申し分ない年収と、3本の指にはいる国立大を出ているのに、年収を低く書き、大卒とだけ書いていた。


 私は何十回、いや何百回とこの「罠」にはまっていた。

 年収が高いだけで、ものすごい上から目線で女を見定める男。
俺劇場の俺自慢の話を延々とする男(女性の話は興味なし)。
 年収自慢から高価なものを身に着けているのに安い居酒屋であげく割り勘する男。
 「車屋さんですか?」と言いたくなるような自分の高級車を自慢して全く興味のない車のスペックの話を聞かされて、乗せる事自体が目的なのであてもないドライブに付き合わせる男。
 また年収自体が嘘(上乗せ)というのもザラにいた。

 大学も、いい大学を出ている人に限って大卒の横に(〇〇大)とわざわざ個人情報を出す。
 何十年前の過去の栄光を自慢する。 
 今が大したことないのを露呈するかのように昔話ばかりする。
 その大学卒が生かされて今が輝いていたら今の話をするはずだ。


 しかし夫は違った。
 作戦・・と言えば作戦だが、そもそもそんな作戦はアプリ婚活ではまず「会う」ところに至らないので意味をなさない。
 皆、選ばれたいからその部分を強調するのだ。

 夫はまじめに年収を書いたら、若い子とマッチングしても、ただの「奢られおじさん」になる事が目に見えていたし、大学も四半世紀前に出た大学をいちいち知らせる意味が分からないという「ど正論」を付き合ってだいぶしばらくして言った。

 私は何故かそれまで、年収も大学の話も質問をしなかった。
今までなら一番気になるところだったのに。

 好きじゃないからではない、そんな事が全く気にならないくらい「楽しい人」だったからだと思う。
 そんな会話をふる暇がないくらい、次々とお互い話のネタがつきなかった。
 決してカッコイイタイプの人ではないが、年齢も7歳も上のおじさんだったが、


 ちゃんと会話のキャッチボールが出来る
     「普通」の人だった。


 今、この婚活迷子になっている人、その「普通」すらいない事は十分にわかっている。
 お互い社会人を何十年もやっているのに、まともに会話が成り立たない人がこんなにも世の中たくさんいて嘆いているのはわかる。


  でも、見渡してごらんなさい・・・

「普通」の人は結婚しているのだ。

 誰かの夫であり、パパなのだ・・・
  この現実をわからないといけない。

                   ~続く~




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