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あなたならどうしますか?【「もしあと一年で人生が終わるとしたら?」小澤竹俊】

最近話題の一冊、「もしあと一年で人生が終わるとしたら?」を読んだ。

読む前に、もし私が「あと一年の人生です」と言われたらどう思うだろう?と考えた。多分、「え!?」って思ってすぐに絶望して、やりたかったことへの後悔が、ゴーーーーーっ!!と滝のように心に襲いかかってくるな、と想像。

こんな感じで。

イタリアで本場のピザ食べたかったな……
沖縄に住んでみたかった……
家族ともゆっくり過ごしたい……
あ〜Googleマップに「行ってみたい」のピンを立てた居酒屋たち……etc

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(コロナがなければ1年間でやれることだらけかもしれませんが。笑)

やりたかったことは、まだまだ出てくる。いつでもできたのに、先延ばししていたことも。このままでは私の人生は、後悔だらけ……?

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本の中で、著者の小澤さんは「より後悔がない人生だった」「より良い人生だった」と思えるための条件として、4つ挙げている。

・自分で自分を否定しないこと
・いくつになっても新しい一歩を踏み出すこと
・家族や大切な人に、心からの愛情を示すこと
・今日1日を大切に過ごすこと

あれ?わりとすぐにできそうじゃない?

でも、「できそう」と思うということは、今の自分ができていないことの裏返しであることに気がついた。

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著者の小澤竹俊さんは、25年間人生の最終段階の医療に携わり、3500人以上の患者さんを看取ってきた、ホスピス医の方。

小澤さんは、「人生に締め切りを作る」意識をもつことが大切だと、本の中で何度も言っている。締め切りとは、「自分の人生の終わり」となるところだ。本書では例として、「一年」としている。

私にとって、2021年の1年は、あっという間だった。

ずっと、今のままで生きていけないことはわかる。それなのに、誰にでも来る締め切りを、自分はまだ先だろうと、思い込んでいる。締め切りは日々、迫ってきているのに。

この本は、「日々ぼんやりと生きてしまっているけれど、そんな自分を変えていきたい」。そんな方にぜひ、おすすめの一冊。

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人は「死」を前に人生の意味を考える

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はじめの方に、こう書かれている。

患者さんたちをお見送りしてきて、私には一つ、気づいたことがあります。それは、「死」を前にすると、人は必ず自分の人生を振り返るということ。

私はこれを読んで、死という現実が近づいてきているのに、今までの後悔よりも自分の人生を振り返るの?と感じた。死に直面したら、今までの後悔が浮かび続けてしまいそうな、私。

しかし、人生最後の時が近づくにつれ、多くの人が穏やかに幸せに日々を過ごすようになると、小澤さんは言う。

痛みを緩和するケアを受けながら、時間をかけて丁寧に自分の人生を振り返り、人生の意味を考えるうちに、「自分の人生にも幸せなこと、誇れること、大切だと思えること、学べたことが確かにあった」自分なりに頑張って生きてきた」と思うようになるからです。

本書には、いろいろな患者さんのお話が出てくる。きっとどの人も、「なんで自分が」とか、「これをやっておけばよかった」とはじめは思うのだろう。そして、「もう少し経ったら、やるはずだったのに」とか。

ところが、小澤さんをはじめとする職員の方々の、“時間をかけた丁寧な人生の振り返り”(ディグニティセラピー)によって、患者さんの多くが徐々に自分の人生の意味を理解していくそう。

※ディグニティセラピーについては、以下を参考にしてください。

これまでの人生を振り返って、自分の意思で選択してきたことや、関わった人を思い出すなどして、「生きてきた実感」を得られるのだろう。

私は、「人生の締め切り」は先だと思っていて、今までの人生を振り返ったことはあまりない。でもこれまで、自分なりに自分を築いてきたことは、なんとなくわかる。

まだ人生の意味は漠然としているけれど、今はそれでもいいのかもしれない。

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人生の意味とはなにか?

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「あなたにとって人生の意味は?」と聞かれたら、なんと答えるだろう?「仕事」とか「家族」とか、“社会において何かの価値を提供すること”が思い浮かぶ人が多いのではないか。

小澤さんは、「人生の意味が誰かの役に立つことだけでは限界がある」という。私は「どうして?」と思ったが、小澤さんだからそう感じるのだと、読み進めてわかった。

人の役に立つ仕事をしたくて医者になったにもかかわらず、患者さんの病気も治せず、苦しみを和らげることもできない。

確かに、患者さんの病気を治したり、和らげたりすることが、医師の方々の中心となる仕事。でも、「死」に直面している方との関わりが多い小澤さんは、そればかりでない。

「何もしてあげられない」と悩んだ小澤さんは、悩みぬいた結果、このような考えに辿り着く。

何もできない自分だからこそ、患者さんのそばで、患者さんの苦しみを共に味わうことができる

「何かを提供しなくては」と思うのでなく、患者さんの気持ちを共有する。小澤さんにとって「何もできない自分」を許すことは、勇気のいることだったはず。

私も家族や友人の話を聞いて、自分のことのように苦しみや悲しみを、感じることがある。小澤さんの治療と同じで、本当の意味で相手の苦しみを取り除くことはできないとわかっているが、気持ちの共有はできる。

私も悩んだら周りに話を聞いてもらい、気持ちをすっきりさせ、新たな方向性が見つかることは多かった。何かをしてもらったというよりも、「共に考える」が近い。

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もしかしたら時間の共有が、その場に生きていた証であり、それが小澤さんのいう、人生の意味なのかもしれない。

「人は存在するだけで、すでに価値をもっている」

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やりたいことは我儘に

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「やりたいことがあるのは当たり前のことだ」という価値観は時に人を苦しめます……あなたにはあなたの生き方があり、人生のペースがあります。夢や目標を持っている人と比べる必要はないのです。人生に、「こう生きるのが正しい」と言った正解はありません

「やりたいことをやろう」と言われても、やりたいことがわからない。仕事を辞めたときの私が、そうだった。

“やりたいことがない”

よく考えたら、悲しいことだ。こんなに平和で、不自由ない日本に暮らしていながら、なぜだか息苦しくて、心の不安定さを感じていた。周りの目や評判を気にして、心の声を無視してきたからなのだ、と今では思う。

現在では、SHElikesに入って新しいことを学び、noteを書いてみる中で、徐々にやりたいことが見えてきた。

些細なことから、長い時間をかけて叶える夢まで、すべてやり切るというくらい我儘になってください。

我儘(わがまま)って、よく考えてみたら「我がまま=私のまま」だ。それこそが、自分なのではないか。

本当にやりたいことを我慢して、人生の締め切りが突然訪れたら、そんなの悲しすぎる。ほんの小さなことでも心の声に耳を傾け、「我がまま」にやってみたい。明日からと言わず、今すぐにでも。

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自分らしさって、考えるもの?

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今までの自分は、自分が「こうありたい」と願う自分とは違う。その思いが、「自分らしく生きてこられなかった」「これからは自分らしく生きたい」という言葉になって、現れてしまうわけです。気持ちはとてもよくわかりますが、それはそれで、一生懸命生きてきた「今までの自分」が、ちょっとかわいそうな気もします

今までの私も一生懸命生きてきたのに、ついそのことを忘れ、否定までする始末。「こっちの選択肢を選んどけばよかったのに」とか、「あのときこう言えばよかった……」とか。

でも、これまでだって、自分がいいと思った方を選んできた。

今のあなたの人生は、過去の無数の選択の積み重ねによってできあがった、最良の結果なのです。

今、この本を読んだことも、noteに感想を書くことも全部、自分が選んだ他の本を読むことも、感想をnoteで発信しないこともできた。でも、そうしなかった。これだって、立派な選択。

日常で何を食べようとか、何を着ようとか、そんなことにだって、自分にしかない選択が絶対にある。

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「今の自分が何をしたいか」を意識して、行動することが大切なんだ。

最近、ふと思うことがある。実は、「自分らしさ」はすでに自分の中にプログラミングされていて、それに気づいてない、もしくは無視しているのではないか、と。

子供のときみたいに、気まぐれに遊んで、好きなことだって目移りしてもいいんだ。どんな選択でも、自分を許していってあげたい。

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未来に思いをはせること

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私は、人生において、何を始めるにしても「遅すぎる」ことはないと思っていますし、未来に思いをはせることは、より良く生きるうえで、必要不可欠だと思っています。

先日読んだ本の、藤子・F・不二雄さんの言葉にも、似たことが言われていた。

人生をよくしたい、よい選択をしたい、という気持ちは、多くの人がもっている。でも、自分以外の何かに縛られることがある。

もっと、気楽に考えていこう。「こんな未来、いいな〜!」と、漠然とでも未来を想像したら、意外とやりたいことが明確になるかもしれない。

未来に思いをはせることは、人に与えられた素晴らしい能力であり、自由であり、権利であり、生きる支えになります。

読みやすくて、いろいろな気づきを得られる一冊です。ぜひ読んでみてください。

※小澤さんのプロフィールと、ディグニティセラピーについては、小澤さんが院長をされている病院のサイトより、引用させていただきました。

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