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嫌いなものを全力で作って、価値観をぶっこわした

私はナポリタンが嫌いである。

今までの人生で一度も、申し訳ないが美味しいと思ったことがない。母の手料理も、レストランでも、自分で作っても、夫が作っても。

だが、夫はナポリタンが好きである。
時々無性に食べたくなるんだとか。

先日、図書館で借りた絵本が洋食屋さんテーマのもので、パスタが好きな息子が「ナポリタンを食べたい!」と言い出した。

息子が新しい食べ物を食べたい!と言い出すことはあまりない。

これは、私がたとえどんなにナポリタンが嫌いだったとしても、愛する男たちのために作らなければ!!

しかし嫌いなメニューを作ることほど気の進まんことはない。普段は絶対やらない。

さて。そこで考えた。
作るからには、全力で作ろうと。
1番人気そうなレシピを検索してロックオン。
買い出しに出かける。

作るんだ、私ですら食べたくなるようなナポリタンを、この手で。

たまねぎ、ピーマン、ウインナー。
パスタは家にあるけれど、レシピがお勧めしているバリラの1.7mmとやらを探した。
1.6mmと1.8mmしか置いてなかったので、0.1mm差は気にせんでええかと、ナポリタンらしい太麺の1.8mmを購入。

途中、ソース出来合いのナポリタンキットを眺めたが、私の食欲がそそられなかったのでやっぱりぜんぶ自分で作ることにした。

私のナポリタン嫌いポイントをさらってみる。

1.玉ねぎとピーマンがシャキシャキして嫌
2.酸っぱいのか甘いのかハッキリしなくて嫌
3.そもそもケチャップがそんな好きでない
4.柔らかすぎる太麺が嫌

以上である。

てことで、まず玉ねぎとピーマンを徹底的に炒める。
私はなんの料理でも玉ねぎはとろとろにしないと嫌なので、中火で焦げないようのんびり火を通している。ひとつめのポイントはクリア。

ケチャップの酸味、酸っぱいのか甘いのかはっきりしろ問題については、レシピより少しケチャップの量を減らしてみた。
断じて我が家のケチャップがなくなりそうだったから減らしたわけではない。大さじ8て。

息子が楽しみにしていることもあり、息子が好きそうな甘めというか、酸味を減らしてみる作戦でもある。

最後、柔らかめの太麺については、規定の時間でパスタを茹でればまあ大丈夫だろう。
どうやら、私の嫌いポイントは、蓋を開ければ自分で作ればなんとかなりそうレベルだったわけだ。

とはいえソースを作りながら不安になり、恐る恐る、ペロッ。

それは私の知らない味であった。
酸っぱくない!甘くて、まろやか!これは美味しいかも!
期待を超えるソースに気分よくパスタを茹で始めたら、熱で寝込んでいた夫が「ご飯ができたにおいがした」と起きてきた。かわいい。でもまだできてないよ。

アレクサのタイマーとともに、茹で上がったパスタをソースの入ったフライパンにぶち込めば、じゃじゃーん、ナポリタンの完成だ!

運命の実食。
これが、まごうことなく今までの人生で1番美味しいナポリタンだった。夫もひとくちめに「うまい」と言ったし、私も食べながら何回も「おいし〜〜」と言った。我が家はあんまり食べながら食べ物の感想を言わない家なので、かなりレアである。

息子もはじめてのナポリタンにご満悦の様子。よかった、ひとあんしん。

パスタは規定時間で茹でたのだけど、ちょっとお湯が少なくてアルデンテだった。それだけ残念だったけど、大成功の夕食だった。
正直こんなに感動するできごとになると思っていなくて、写真を撮っておけば記事に貼れたのになあという後悔すらある。

次は麺の硬さをちゃんと試食しようと思う。
「次」を考えるくらいには、私は「この」ナポリタンが大好きになった。


大人になると、自分が嫌いな料理をわざわざ食べることってなかなかないんじゃないか。でも、「嫌い」はこれから食べるその料理すべてに当てはまるかどうかはわからない。

具材、味付け、食感、いくらでも調整できて、実はただ出会ってないだけかもしれない。

自分の中での常識を打ちこわすこと、価値観をひっくり返すこと。
自分ひとりだけで行うのは正直なかなか難しい。
夫や息子がいたから、私はナポリタンのまだ見ぬ側面を知ることができたのだ。

ひとりでこころの殻を閉めてしまわず、余白を持って、柔軟に生きたい。

うますぎるナポリタンを頬張りながら、私は誓ったのであった。

冷蔵庫のピーマンがだめになる前に、もう一度ナポリタンを堪能しよう。ふふ。
ちなみにレシピはこちらです。感謝感激。

こちら東京はすっかり雪景色です。
みなさんもあったかくしてお過ごしくださいね。

それでは。

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