大鍋の季節✧♡
母からもらったアルミの大鍋がうちにある。
母は公(おおやけ⇒本家?)の家の娘で、いつも家には下働きの若い者が数人いた大家族であった。
だから、父のいない母と姉と私の、たった3人家族であるのに、いつも大きなアルミ鍋いっぱいの何かを作った。
それはシチューだったり、カレーだったり、おでんだったりした。
3人家族に、その量はないでしょ?と子供心ながらに思っていた。
おかげで、飽きるほど、それを連日食べることになる。
うちが3人家族であること、母は気づいてくれないのかと思っていた。
でも、よく考えると、母は、働く母親である。
大鍋いっぱい何か作ると、しばらく、ご飯の支度は心配しなくてもいい。
大鍋にはそういう意味もあったのかな?と気が付く今日この頃。
今でも思い出す、母の作った料理のこと。
ある時、突然、うちに、スパゲッティというハイカラなメニューが投入された。ナポリタン風のものだったと思うケド、正直、ピーマンやソーセージの具が入っていたかは記憶にない。(はいっていなかったかもしれない笑)
子供には好評の、甘いケチャップの味のする赤いスパゲティだった。
それは確かに我々(姉と私)に好評だった。
しかし、それが数日続いた後、最後はケチャップを切らしたらしく、黄色い麵だけのものが出てきた。
味が無い。ってか、これって、ハトの餌の匂い?
と、姉と話した。
なんか、ケチャップ味と違って、ハトの餌の匂いがするスパゲッティはさすがに美味しいとは思わなかった笑。
母も働く女性で一杯一杯だったのだ。
昭和2年生まれの女性にしては、いつも、買ってきたお惣菜が夕飯にのぼることが多かったし、母の手料理で、これが美味しいという名物はぱっと思いつかない。(少しはある、いつかそれについても書いてみるw)
そんな私であるから、ダンナがお料理上手であることは、とてもラッキーなことであると思う。
うちのダンナの家事のスタンスは、夕食の支度はやれるほうがやればいいんだよ、という風だったので、帰る時間が曖昧な私と違って、いつも定時に家に帰ってくるダンナが、自然に、夕飯の支度をすることが多くなった。
まあ共働きだから、買ってきたものを食べていることも多かった。
しかし、我々は今、自由人である。
さすがに、たった二人で、天ぷらとか揚げ物をする気は、昔から全くないので、それらは食べたければ買ってくる。
しかし、本当に食べたいものは、いつも同じような材料で作られる。
そして食べたいものは、そういう、なんでもないお惣菜である。
さやいんげんの油炒めとか、切干大根とか、きんぴらごぼうとか、そんなものが食べたいのだ。
それと、何か、煮物があったら嬉しいってことで、ダンナの優しい煮物が大活躍するのであるが、夏が過ぎて、秋がやってくると、大鍋の季節がやってくるのである。
先日、その大鍋の季節がスタートし、一番初めに作られたのは豚汁であった。3日ぐらい、昼の味噌汁として、または晩酌のアテとして、美味しく飲まれた。
いつも、大概、なんでも美味しいけど、今回のは、特に美味しかった。
シェフに聞いてみよう。
「いがったんじゃないかな?
その調和が。
分量が良かったんだと思うよ。
具材のバランスが良くて、いい出汁が出たんだよ。」
大根、人参、じゃがいも、ごぼう、マイタケ、椎茸、糸コン、焼豆腐、豚肉、油揚げ、長ネギ、小葱。
夏の猛暑の間も、我々を救ったのは、味噌汁だったが、
豚汁もある意味、味噌汁の一種であり、
なんというか、普遍的に、そこに居て欲しいモノであった。
本当は、次の大鍋は、シチューにしようとか、
いい感じの牛肉が売っていたから、やっぱ、カレーにする?
と言いながら、
やっぱ、また、豚汁にするか、
と話し合っている2人であった。
で、結局、美味しい豚汁。
めっちゃ、美味い(⋈◍>◡<◍)。✧♡