2024年1月の記事一覧
『哀れなるものたち』おとぎ話を伝える”威力”
美しい。
にしても美しい映画だ。画面の隅々に至るまで”世界を形成したい”という欲望があふれており、派手ではあるものの決してけばけばしくはならないラインで色彩が調律されている。ロンドンの街並み、ファンシーでグロテスクな遊び心も感じられるバクスター家の内装、海も空も深く美しい青に彩られた遠洋定期船の光景、蠱惑的かつ頽廃的な雰囲気漂う売春宿、見下ろした先にあるアレクサンドリアのスラム街、丹念に手を加え作
左右がわからないのよ -道案内の天才、現る- (自由奔放な母、タモヨその4) #039
これまでに何度か、自由奔放なわが母、タモヨについて書いた。
タモヨはたまに、左右がわからなくなることがある。
小学校高学年か中学生くらいの頃、タモヨの運転する車の助手席に座った私は、よく道案内をさせられていた。
当時カーナビはついていたのだが、タモヨは運転に集中するあまり余裕がなく、その指示を聞いていない。そこで、私に次はどっちに曲がるかと聞くのだった。
「次はどっちなの!?」
「左」
「
書くべきものを書いてしまう人たち
この人は自分の書くべきものを書いている。そう思わせる作家がいます。作品の細部を読めば読むほど、その思いは強くなります。細部に勢いがあるのです。書くべきものを「書こうとしている」のではなく「書いてしまっている」気がしてきます。
この記事は、以下の「くり返すというよりも、くり返してしまう」の続編として書いたものです。
◆「ワンパターン」は褒め言葉*楽曲、小説、芝居、映画、ダンス
語弊はあり