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『さみしい夜にはペンを持て』に学ぶ、悩みの扱い方

娘が思春期になったら読んでほしいなぁ、だから本棚の目立つところに置こう、と思っている本がある。

『さみしい夜にはペンを持て』(古賀史健・著)という本だ。

10代の子も、主人公の悩み多き中学生タコジローに自分を重ねて読みやすいだろうし、大人も読むと日記が書きたくなる、書くことの大切さを教えてくれる素敵な小説だ。

その中で、ヤドカリのおじさんがタコジローに「悩みごとをふたつに分けて考える」という話をする場面がある。

「こんなふうに考えてほしい。ぼくたちはいま、たくさんの『悩みごと』が入った箱を持っている。このおおきな箱の中身を、整理整頓したいと思っている。」
ぼくは使えなくなったおもちゃがたくさん入った箱を想像した。
「じゃあ、どうやって整理整頓するか。ここでふたつの小箱を取り出そう。『考えごと』の箱と、『心配ごと』の箱だ」
「考えごとと、心配ごと?」
「たとえばタコジローくんが、体育祭当日の天気について考える。『波がおだやかだったらいいな』とか『嵐が来たらいやだな』と考える。でも来週や再来週の天気なんて、考えたところでどうなるものでもないよね?」
「うん」
「どんなに考えても答えが出ないもの。自分が手出しできないもの。そんな悩みについては『心配ごと』の箱に入れていこう」
~中略~
「たとえば、タコジローくんが体育祭当日の選手宣誓について考える。そこでなにを言うのか、どんなふうに選手宣誓するのか考える。これは答えを出せるかもしれないことだよね? つまり『考えごと』の箱に入れるものだ」
「でも、ぼく選手宣誓のこと心配だよ? それって心配ごとじゃないの?」
「見分け方は簡単さ。『いまの自分にできること』がひとつでもあるのなら、その悩みは『考えごと』の箱に入れる。もっと深く考える価値がある。一方、『いまの自分にできること』がひとつもないのなら、その悩みは『心配ごと』の箱に入れてクローゼットにしまう。考えても仕方がない。自分にできることはなにもないんだからね」
「自分にできることって?」
「考えるとは、答えを出そうとすることだ。悩みの解決に向かうことだ。たとえば選手宣誓について『いやだなあ』『やりたくないなあ』と思うだけでは、なにも解決しない。『いまの自分にできること』を考えてようやく、悩みは解決に向かう」

古賀史健. さみしい夜にはペンを持て. ポプラ社, 2023, 228p

おじさんの話がやさしくてわかりやすいので切るところが難しく、思わず引用が長くなってしまった。。

タコジローにとっての「体育祭の選手宣誓」のように、心配で憂鬱なことって、大人の私たちにもたくさんある。

来週のプレゼンがうまくいかなかったらどうしよう、今月の目標達成できなかったらどうしよう、このまま何者にもなれなかったらどうしよう、、

よく「自分がコントロールできることに集中しよう」と言われるが、大人になってよくわかっているつもりでも、できてないことってたくさんある。

ついつい、いやだなあと「思う」だけで、解決に向かうために「考える」ことをしてないのだ。

それでまたうまくいかなくて、周りと比較して落ち込む、負のループ。

そこで私は最近、前日の仕事を振り返って、GPSをつけるようにしている。
GPSとは、Good(良かったこと)、Problem(課題)、Solution(解決策)のことだ。

「考える」って、頭の中だけだと意外と難しくて、さら~っとなぞって「考えたつもり」になっていることも多い。
書き出してみると、ぐっと具体的に思考が深まる。

そして、考えても解決策がわからないときは、調べたり人に聞いたりする必要がある、ということもわかる。
頭で考えるだけだと、この「行動」まで落とし込めないことも多いのだ。

ここまでできると、いやだなあなんて思っているだけで何も変化のない状態よりも、少しずつ日々の解像度が上がってくる。

さて、あなたの悩みは、心配ごと? それとも、考えごとだろうか?
考えごとならぜひ、GPSフレームワークもお試しあれ。


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