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お味噌を一から作る 1. はじめたきっかけ

自分の行動への理解の追いつかないまま一年間のプロジェクト第一弾が終了しました。

何をしていたかと言うと

お味噌を一から作っていました。

お味噌に使う、米・大豆・塩を全部一から作るところから。

畑を開墾し、種をまき、稲を育て、脱穀し、収穫し、海水を汲み、煮詰めて、仕込んで・・・


仕込みを終えてから2ヶ月間ほどは、燃え尽き症候群に陥りました。


食べ物ができあがるまでの果てしない労力に


ひれ伏しました。





プロジェクトの発端となったのは、実家でのお味噌作り。

毎年、家族と親戚とで食べる2年分のお味噌を仕込んでいます。

当たり前の習慣でしたが、それが当たり前でないことに

年々、気がついてゆきます。



40年前にいただいたその土地の品種の大豆を、毎年毎年、種豆をとって、育てて種(しゅ)を受け継いでいること。

100年前の道具を今でも使い続けていること。

地域のお味噌屋さんとの付き合いがあり、麹が出来上がる過程で見えてくる人と自然のつながりがあること。

道具を作る職人さんとのつながりがあること。

米・豆・塩、たった3つの材料でずば抜けた美味しいお味噌ができること。



サステイナビリティや多様性、共存のヒントがここに詰まっています。

いまや消えようとしていることでもあります。

時代に適したライフスタイルは変遷していきます。

革新は加速しています。

わたしは小さな違和感と危機感を持っています。



このままで良いのか?

人間として、生き物として、共同体として、何かが足りないのではないか?



戦争の時代に生命の危機を体験した人々や

祈りと感謝と生きる喜びと誇りに満ちていた人々が

もうすぐいなくなってしまいます。



わたしはいま32歳です。

シングルですが、結婚や出産ができる年齢でもあり、次の世代の未来との

はざまに立っています。

いま学ぶべき大切な精神がある気がします。



お味噌作りを受け継ごう、という心が少しずつ芽生えました。

自分で一からやってみたい。という意欲が出てきました。

数年前、「カレーライスを一から作る」というプロジェクトを知りました。

わたしは武蔵野美術大学出身ですが、当時、文化人類学の講義を受けていて、その先生は関野義晴さんと言う、探検家の方です。

「カレーライスを一から作る」は、関野さんのゼミの企画です。

鳥を育て、皿も作り、スパイスも育て、海水もとってくる。

なぜそれをやるか。

「無駄の中に気づきがある」「起源をたどると世界が見えてくる」からです。


その言葉を思い出しながら

わたしの心は、「お味噌を一から作る」へすでに動き出していました。


つづく




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