見出し画像

脳が「書け」ってうるさいんだ。

ルチルクォーツという宝石を、あなたはご存知だろうか。
中にひびが入った水晶のことである。
一見質の悪い天然石のように思われるが、この「ひび」こそが、実は美しい。ひびによってこそ、石ひとつひとつの個性が出たり、光の反射できらめいたりするのだ。

私はこの石を、まるで人生のようだ、と思う。
人生にムダなことなんてない。受けた傷はいつか輝く、悠久の時を経て形成された天然石のように。
文章を書くようになって、ようやく気づけた。

人生の傷は、やがて書く糧(俗な言葉を使えば「ネタ」)となるのである。

そもそも、なぜ私が「書く」ようになったのか。
結論、「脳が『書け』ってうるさいから!」である。
ただ、これでは記事にならない。自己分析にもならない。
この記事を読んでくれているあなたには、勝手ながら、私の自己分析にしばしお付き合い願いたい。




私はうつ病療養中の主婦である。
仕事は春からずっと休職している。

最初のころは、日常生活もままならなかった。
1日中頭が重くて、回らない。普段なら「この行動は頭を使うなー」と意識していないことでも、脳がオーバーヒートして進まないのだ。
たとえば、ごはんを食べる、お風呂に入る、歩いてトイレに行く、洗濯物をたたむ、など。
休職期間の最初の2ヶ月くらいは、ほとんど床に伏せって過ごした。

あるとき、「なんか今日は頭が軽いな」という日がやってきた。
次の日はまた脳を底なし沼に沈められるが、次の日にはまた軽くなる。
そんな日々を繰り返しているうちに、「あれ、最近頭が重くならないな」と気づいた。

そうなると、今度は「なんかヒマだなー」がやってくる。
このヒマを、なにで埋めるか。
私の場合、「書くこと」だった。

「書く」のは、数年前に仲間内に向けて日記的なnoteをアップしていた以来だった。昔書いたエッセイをたまたま読んでくれた人がいて、「面白かったよ!」と言ってもらえたのをきっかけに、試しにまた書いてみることにした。
だが、当時と明らかに違いがある。


とにかく書きたくてたまらない。
ネタがバンバン浮かんでくる。
衝動が、とまらない。


こんな感覚は、人生ではじめてだ。
脳が壊れてストッパーを失ってしまったのだろうか?
あるいは、人生経験を重ねて、吐き出したいことがたまっているのだろうか?

(あるときは、お風呂上がりに裸で書きたいことをメモしていたら夫に怒られた。それ以来、メモは服を着てからするようにしている。なぜかシャワー中にネタが浮かんでくるのだ)


わからないけれど、確実に言えることは、とにかく、
書いて自分の思いをアウトプットしたい
・誰かに届けたい
私は今、そんな気持ちなのだ。



書くことには、もろもろメリットがある。
①自分の思考を整理できる
②鬼のように話しまくって身近な人を潰す可能性が低くなる
③世の中に主張ができる
④あわよくば一発当てて、お金を稼ぐことができる
⑤文章を褒めてもらえる



①自分の思考を整理できる

これは精神疾患の治療において、重要なことだ。
自分がストレスに思う場面を整理して、ストレス解消法を見つけていく過程に欠かせない。

もっとも、私は「書く」こと自体が、ストレス発散の方法なのだが。


②鬼のように話しまくって身近な人を潰す可能性が低くなる

私は発達障害でもある。特性上、頭に浮かんだことはすぐに話したくてたまらなくなる。それまでの話の流れに関係なくても、だ。

しかし、それを続けられた周囲の人間はどうなるか。いつか必ず疲弊してしまう。

それを防ぐには、noteなどのSNSで自分の思いを書き殴るのは、とてもよい解決策だ。


③世の中に主張ができる

私は障害者女性のため、マジョリティ(健常者や男性)向けにつくられた社会では、たびたび不利益を被っている。

「保育園落ちた日本死ね」じゃないけれど、自分が困っている点は、まず主張しないと、絶対に変わらない。
特に、見た目ではわからない障害だから、なおさらである。

辛い経験をたくさんしてきたからこそ、これからの共生社会のために、改善できることはしていきたいのだ。そのための伝える努力は惜しまない。


④あわよくば一発当てて、お金を稼ぐことができる

仕事ができなくなって、一番困るのはやはり経済面だ。
幸運にも、私には働いて支えてくれる夫がいるからなんとかなっているが、ひとり暮らしならのたれ死んでいたに違いない。

だが、働いていないと、お金を使うことにいちいち罪悪感を感じてしまう。
本当は自分の稼いだお金で、夫婦ふたり暮らしに貢献したいし、自分の好きなものも買いたい。


それならば、どうするか。
「どうせヒマだし作家目指しちゃえ!」という思考に至った。
もちろん、noteの有料記事で稼ぐやり方もあるが、副業厳禁の会社に一応籍を置き続けている以上、それはできない。
実際には、専業作家で食べていくのはいばらの道、ということがいろんな本を読んでわかってきたので、いつかまた働けるようになったら、転職して障害者雇用で会社員をやりながら、副業で執筆活動をしていきたい。


でも一発当てたい気持ちは捨ててない。夢の芥川賞獲るぞー!

今はそのための、種まきの時期。
noteで修業しながら、新人賞応募用の長編小説を、ちまちま書き進めていくのだ。

芥川賞と言ったけど、純文学に留まらず、実用書とかエッセイ集とかも出版してみたい。私は欲張りなのだ。


⑤褒めてもらえる

何気ないことだが、今の一番の書くモチベーションはこれだと思う。
文章を書いている、と伝えただけで、お世話になっている就労支援員の方から「素晴らしい!」と言われたり、このアカウントを教えている、ごく一部の信頼できるリアルの知り合いに「あの記事面白かったよ」と言ってもらえたり。

もちろん、アクセス数や、スキの数だって気にしている。
もっともっと、自分のアカウントを成長させていきたい。
もっともっと、いろんな人に読んでもらいたい。


そのために、今は読書によるインプットも頑張っている。
寝たきりだった数ヶ月前には考えられなかったことだが、自力で図書館に通って本を借りまくっているのである。



「書きたい」エネルギーって、こんなにも強いんだ。

私は、これからも「書く」力が自分を幸せに導いてくれると信じて、書き続ける。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?