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河合隼雄を学ぶ

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河合隼雄先生の著作や関連書籍から、河合隼雄先生の思想を学んでいきたいと思います。
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#ファンタジー

河合隼雄を学ぶ・2「ファンタジーを読む①」

河合隼雄を学ぶ・2「ファンタジーを読む①」

児童文学作家を志すものとして、河合隼雄の「ファンタジーを読む」は何度も読んだ。

心理療法家である河合隼雄が、なぜファンタジーや子どもの本に関する著作をたくさん出しているのか。それについては、こんなふうに書かれている。

『心理療法を長年行ってきて、近年はあまり流行しなくなった、などというより、心理学の世界では完全に忌避されていた「たましい」ということを、最も大切なことに感じるようになったものの、

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河合隼雄を学ぶ・3「ファンタジーを読む②」

河合隼雄を学ぶ・3「ファンタジーを読む②」

(前号からの続きです)

【エリコの丘から】

スターになるには才能がいる。それでは才能がないものはどうすればいいのだ。このことをアイデンティティの問題と関連して考えるならば、誰もが自分自身の宇宙の星(スター)になるのだと考えてみるとよくわかる。スターになるのを、単純に有名になることや目立つことなどに結びつけて考えすぎると、「出世病」にかかることになるだろう。誰もが自分の宇宙のスターになる才能をも

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河合隼雄を学ぶ・4「ファンタジーを読む③」

河合隼雄を学ぶ・4「ファンタジーを読む③」

(前号の続きです)

【影との戦い ゲド戦記1】

ユングは「影をリアライズすることが、人間の責務である」ということを主張する。つまり、影のことを真に「知る」ためには、なんらかの「実行」が必要なのである。この物語は、まさにゲドによるゲドの影とのリアライゼーションが語られているのである。長い苦しい航海の末、ゲドはついに「影」に会った。一瞬に、ゲドも「影」も同じ名を語った。「ゲド!」

【こわれた腕環

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